「守矢氏への言及がないのが残念」鹿の国 REXさんの映画レビュー(感想・評価)
守矢氏への言及がないのが残念
鹿の国。
諏訪という字ばかりが登場するが、この地は元々「守矢氏」が治めており、そこへ出雲から入った諏訪氏が戦いの末に奪ったという逸話もある。
なので大祝は諏訪氏が務めてきたが、諏訪大社上社の神長官は守矢氏が担ってきたという。その後ろにそびえたつ守屋山は、守矢一族のご神体だ。その辺のいきさつを、深く掘り下げてくれるのではと期待したら、守屋氏の守の字も出なかった。そこには少し物足りなさを感じた。
また、「御神(おんこう)」を御贄柱に縛り付け、神官が小刀で刺そうとした瞬間に止めて子供は解放される、という神事も映像にはなかった。
この儀式は旧約聖書との類似も指摘されている。
「モリヤ」はユダヤ人の国イスラエルの首都エルサレムにある山の名前と同音。御頭祭は別名「ミサクチの祭」と呼ばれているが、「ミサクチ」はヘブライ語で「ミイツハク」に似ており「イサク由来の」という意味にとれる。などなど。
この映画は確かに美しいが、イメージフィルムのような仕上がりだった。代々守り継ぐ桜の木、諏訪周辺に残る民間信仰、いろいろと知らないことも多かっただけに、もう一掘りしてほしかった。
それにしても、諏訪。知れば知るほど謎も深まるばかりであった。
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