ガザからの報告

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ガザからの報告

解説

イスラエルとパレスチナの取材を30年以上にわたって続けてきた映像ジャーナリストの土井敏邦監督が、激動のガザの記録を2部構成でまとめたドキュメンタリー。

第1部「ある家族の25年」では、故郷を追われてガザ最大の難民キャンプ「ジャバリア」で暮らすエルアクラ家を取材。1993年9月の「オスロ合意」直後から25年の歳月をかけて一家の人生を見つめ、「ガザのパレスチナ人」と一括りにされる彼らの素顔を映しだす。

第2部「民衆とハマス」では、後にイスラエルによって暗殺されたハマス指導者やスタッフ、戦闘員、ガザ住民へのインタビューを中心に、かつては慈善事業と武装闘争の両面で支持されていたハマスが民衆から乖離していった過程を追い、現在のガザの惨状の根源を浮かびあがらせていく。

さらに2023年10月7日に始まったイスラエルによるガザ攻撃の現地からの報告をもとに、すべてが破壊されてしまったガザの厳しい現状を伝える。

2024年製作/205分/日本
配給:リガード
劇場公開日:2024年10月26日

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(C)DOI Toshikuni 2024

映画レビュー

3.5「現地の人々が可哀想だから支援するのではない」

2024年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

200分声の長尺のドキュメンタリー。1部と2部の間に10分の休憩を挟んで約4時間。上映後に監督のトークも聞くことが出来た。

1部は監督がパレスチナを30年以上にわたって長年丁寧に取材し、現地家族の生活だけでなく人となりもうかがえるような良い内容だった。映画を通して丁寧に世活を追っていったガザのエルアクラ家の人々はイスラエルの侵攻により安否不明となっている。日々、ニュースで流し見していただけのパレスチナにも当たり前に個々の生活があったことを思い知らされる。

2部はオスロ合意以降のPLOの求心力が衰えるなかで、ハマスが何故パレスチナ民衆の支持を得たか、またいかにしてその支持が失望に変わっていったかが、地元の人々の生の声も交えてわかりやすく描かれている。

さすがに3時間以上の映画を劇場で見るのは体力が必要なので、人に奨めるハードルを下げるためにもできれば配信も検討してもらいたいところ。

上映後に監督の著書である岩波ブックレット「ガザからの報告」も購入。2023年以降のが座侵攻の現地の人の置かれている状況がより詳細に記載されているのでこちらも併読したい。

監督が上映後のトークで「現地の人々が可哀想だから支援するのではない」と言うように、パレスチナの人々は非常に苦しい状況に置かれていても、(月並みな言葉だが)その生き方は貧しくない。常に個々が出来ることに目を向け、イスラエルがどんなに強大な経済力と軍事力で痛めつけても屈服することなくパレスチナの地を離れず必死に生きて抵抗し続けている。

ただ1点、イスラエルの侵攻のせいで失業しても明るくカードゲームに興じる男達を監督は「豊かである」と評したが、その間も女達は家事育児しながら男達にお茶出しをしているので「豊か」というのはあくまで男たちにとってだけなのではないかと思えてしまった。イスラエルのせいで仕事がないのは仕方ないが、お茶ぐらい自分で淹れたら良いのに・・・。
イスラムの文化的な面もあるので仕方ないが、選挙の候補者も男ばかり、抵抗勢力の幹部も男のみ、ただでさえ女性の発言する機会が少ないのに、パレスチナ側のインタビューも相手も男性に偏っているのはやはり男性監督の限界だろうか。このあたりは次回作に期待したい。

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Jax

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