「あのコロナ禍を、天文観測を通して、自問自答しながら前向きに自分らしい生き方をしてゆく。」この夏の星を見る mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
あのコロナ禍を、天文観測を通して、自問自答しながら前向きに自分らしい生き方をしてゆく。
これがかなりの掘り出し物(と言っては失礼か)。正直言って今年のベストワン!(見たばかりで熱くなっているせいもあるが)
コロナ禍の高校生、中学生たちが天体観測を通して全国で交流した話。
あのコロナ禍の切なさや大変さ、ストレス、青春の一番大切な時期を「なんで、私たちが?」と自問自答しながら、前を向きに天体観測を通して、自分らしい生き方をしてゆく。
なんていうか、映像と、モノローグとセリフと音楽と渾然一体になって展開する。映像と音楽で語ろうとしていて、それがとても上手くいっている。
アップを多用して、カット数も多い、時折のロングショットが決まるし、音楽ととてもうまくシンクロする。その心地よさ。新人監督ながら、なかなか侮れない。
高校生や中学生の日々のシーンは、当然こちらもコロナ禍の大変さを経験済みなので、切実に思えて、途中からウルウルしながら見てしまった。
主演が、桜田ひより。あまり気にかけたことがない子だったが、この子がいい。他にも若い役者たちは、「PERFECT DAYS」の姪っ子役の中野有紗や、「国宝」の黒川想矢など、最近の映画、ドラマでよく見る若手役者が多く出ている。それぞれがとてもいい顔をしている。
で、岡部たかしが素晴らしい。彼は、数年前のドラマ「エルピス」で初めて見て、なんだこの人は!と驚いたものだが、それ以降は器用貧乏な役者になってしまった感があった。今回は素晴らしい(後半のみんなに声掛けする長セリフは泣ける)。他、「虎に翼」の兄役だった上川周作も良かった。出ているみんな良かった。
今回は、原作の良さもあったと思うが、監督を中心とする制作陣が素晴らしい。演出、編集が良かったが、特にカメラが驚くほど良かった。抜けが良く(星を写すので)精緻な映像が違和感なく撮られていて素晴らしい。
ただ題名が、ストレートすぎてイマイチ見たくなる題名ではなかった。これでソンをしている。もっと見たくなる題名だったら、と思う。大勢の人に見てもらいたい映画だけに。
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