「あの夏」この夏の星を見る ふくもとさんの映画レビュー(感想・評価)
あの夏
私も劇中の彼らと同様、2020年の夏、学生時代真っ只中だった。
私は当時、一生懸命に部活動に打ち込み、夢だったキャプテンを背負い、大会で優勝することを夢見た。でも、その力を発揮する舞台にすら立たなかった。立たせてくれなかった。
周りからは、「この代は可哀想だね」と同情する言葉をかけられた。でも私自身、どこかその言葉に違和感を抱いていた。私たちは最初から、舞台に立てそうにない状態だということをわかっていたような気がする。そんな中でも、できることをひらすらこなして、1人で食べるご飯も多かったけれど、ネットワークが仲間を繋げてくれた。
憧れだった舞台に立てなかったことや、修学旅行が中止になってしまったことは、とても辛かった。でも、そんな状態の中でも夢に向かって必死に努力したこと、こんな状態の中だからこそ生まれた絆、沢山あったと思う。今を感じて、明日は自分の番かもしれないという恐怖と戦いながらも、今を必死に生きた。可哀想かどうかというのは人それぞれであると思う。
今を必死に生きる、そんな彼らの姿にどこかあの時の自分を重ねながら、胸を打たれた作品。
個人的に、岡部たかしさんの存在感がとても魅力的だった。顧問という、一番難しい立場だが、常に温かい目で彼らを見守るお芝居がとても好き。
最後、こちらに向かって語りかけた言葉には涙が止まらなかった。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。