「全部違ってみんな良い、オムニバス」アット・ザ・ベンチ かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
全部違ってみんな良い、オムニバス
面白かった。よくできています。
5話からなるオムニバスだが、5が1の後日談で一括りとして、4話全部違うテイスト。
天気も違えば撮り方もちがう。
キャストが豪華、そしてみ~んな芸達者。
ひとつのベンチ周りだけで起きる小さい出来事ばかりだが、どれもセリフと会話のやり取りのタイミングが秀逸。1話でもどかしいふたりの幼馴染を描いて、最終5話では、どうやら二人は結婚(もしくは同棲)する予定、ほっこりとめでたしめでたし。
優しい夕日の中、じゃれあいながらおうちに帰る幸せなふたりが微笑ましく、余韻が残ります。
もやしスーパーみたいな店、あるよね。
1話から順に、時間の経過が、眼の前の橋の工事の進捗でわかるのもよい。
2話の岸井ゆきののひたすらめんどくさい理屈を、岡山天音のカレシが目を白黒させながらもちゃんと受け取っていて会話が噛み合っているのが可笑しい。ベンチの後ろの、多摩川だけど荒川な良々が絡まってきて、なぜかめんどくさい彼女と波長が合うのが理不尽で笑った。外でスーパーのお寿司食べるよ、美味しいよ!
3話、怒鳴り合い、物を投げ合う過激な姉妹喧嘩だけど、そうかそうか、愛だよね、とほろっと来てしまう。長回しでテンポの早いセリフの応酬はタイミングが重要、演じる今田美桜と森七菜のセンスがないと成立しないエピソード。手持ちカメラで二人の動きを追い、周囲の風景もぐるりと撮って躍動感ありました。
4話は、草彅くんの言い草がまるで私の職場の上司、自分で言ったくせにまずくなると知らない、言ってない、そして私がずっと言ってたのに否定してきたことを自分が言ってたように。。。と知らず知らずこめかみピキピキなりかけてたら。そういうことですか、とスーッともやもや消滅。ちょっとおもしろいけど、どうってことないエピソード。
1話と5話の、ベンチの二人の、夕日に染まる横顔がいい感じ。
普段見慣れていてあるのが当たり前で気にもしなかったものが急に無くなると悲しい。
急に別れ難くなり、昔を思い出したりする。
そういうときに、一緒に思い出を話せる人がいるのはいいなと思いました。
かばこさん、コメントありがとうございました。
お家へ帰ろうが隠されているというご指摘に、ハッとしました。その通りです!
帰るお家があってこそのベンチですし、それを宇宙人が担っているかもという妄想も、余計面白く感じられます。
自宅が近所なのでひと言。
あそこに保育施設は無理。3年前の多摩川氾濫は『岸辺のアルバム』級。電柱には地上4メートル水没注意のシールあり。
epi②ああいう彼女は面倒くさい!
かばこさん、共感&コメントをありがとうございます!私もEp.2の3人のやりとりがめちゃめちゃ好きで、特に岸井ゆきののワードセンスには脱帽でした(笑)
Ep.1と5の映像美も秀逸でしたよね。空気感がスクリーンを通してわかる感じが好きです。