劇場公開日 2024年11月15日

「秀逸な脚本+豪華キャストで想定外の面白さ」アット・ザ・ベンチ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0秀逸な脚本+豪華キャストで想定外の面白さ

2024年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

萌える

俺にとってのトップ ヒロイン 広瀬すずの作品なので、普通なら数回観賞するところだが、今回はSKIPするつもりでいた。理由は広瀬すずの話(EP.1)はWEB上で無料公開されたときに既に観ていたし、元々有料上映するつもりが無かった(であろう)自主製作映画だったし、上映館が僅かなので、いつも行かない映画館に足を延ばすのも億劫だった。

その実、そうは言っても気にはなっていた。ある日出掛けた帰りに映画を観ようという気になって、寄り道するのに都合の良い映画館を探したら、行ったことの無い109シネマ二子玉川だった。何上映しているか調べていたら、本作が有った。 偶然だったが、それなら本作を観ておこうとなって観賞。

【物語】
東京・二子玉川の多摩川の川原に、古びたベンチが一つ置かれている。このベンチの周りで織りなされる5つの短編映画。

エピソード1
ある日の夕方、久しぶりに再会する幼なじみの男女(広瀬すず、中野太賀)が、昔から知っているそのベンチに座って言葉を交わす。

エピソード2
ベンチで昼食を始めたカップル(岸井ゆきの、岡山天音)。ささいなことから口論を始める。延々と続く口論に居合わせた男(荒川良良)がなぜか参戦してくる。

エピソード3
ベンチで暮らし始めたホームレスの若い女(今田美桜)に対して、その妹(森七菜)が家に帰るように説得しに来るが、2人の間で姉妹ならでは激しい口論になる

エピソード4
ベンチの撤去を計画する役所の職員二人(草彅剛、吉岡里帆)がこの場所を訪れる。
(終盤に神木隆之介が登場する)

エピソード5
エピソード1の後日談的会話が展開する。

【感想】
観始めてからが気が付いたが、そうかこのベンチはこの映画館に近いのか。昼間だったら、主役のベンチにも寄り道したのだが、もう夜だったので見れなかったのは残念。

それはともかく、観て良かった。
期待よりはるかに面白かった。

EP1も観賞済のはずが、個々のセリフはほとんど覚えてなくて、「こんなに面白かったっけ?」
目当てのすずの美しい横顔もスクリーンに映えて〇。

EP2 は一番笑えた。とぼけた岸井ゆきのと荒川良良の味が堪らない。会話する岸井ゆきの、岡山天音の後ろに良良が見え隠れてし始めただけで笑いが込み上げた。「いつ会話に参加するの?」と思わせておいて、なっかなか参加しない。このあたりの、脚本・演出、そして影だけで演技する良良が上手い!

EP4を除いて、どの作品も会話にリアリティーがある。庶民あるあるだと感じる。でも、一方で「普通はそこまで言わないか」というところもあって、そのバランスが絶妙。“あるある”なんだけど、陳腐ではない。

EP3は今田美桜と森七菜の振り切った演技が良かった。姉妹だからこそこんな激しい喧嘩もあるような。

EP4はリアリティーとはかけ離れた、斜め上にビュっとすっ飛んでった展開で、それはそれで面白かった。神木隆之介は僅かな出番だけど、いい味出すよな、やっぱり。

全体を通して言えるのは脚本が秀逸(EPごとに脚本家も違うのだが)。 “カメラを止めるな”しかり、“侍タイムスリッパ―”しかり、低予算自主製作映画が面白い絶対条件は脚本が良いこと。
さらに、秀逸な脚本に加えて演じるのが自主製作映画としてはあり得ない豪華キャストだということが本作の魅力。主演級を8人も使ってる! 自主製作映画であり得ないでしょ。 皆さん友情出演???

これに2000円払う価値があると思うか否かは人それぞれの価値観だが、何カ月後かに配信で観るチャンスがあれば、絶対観る価値有り。自信を持って言えます。

泣き虫オヤジ