「冗長な映画でした」アンダーニンジャ はて1984さんの映画レビュー(感想・評価)
冗長な映画でした
若手の俳優さん達が頑張っていると感じました。山田さんのずっと笑顔で攻撃してくるヴィランは新鮮でしたね。シソンヌ長谷川も、さすがお笑いのプロは安心して見ていられます。
原作は、一言でいうことが難しく、ナンセンスギャグ忍者アクション漫画でしょうか。わりと緩い感じで展開される中、所々にえぐいシーンが挟まれ、筒井康隆的な世界観が面白いです。その「えぐい」方面をどこまで表現してくれるか心配でしたが、講談高校襲撃事件はきちんと虐殺していたので(映画のコードギリギリに薄めていましたが)その点は良かったです。
一方、マイナス要素はいくつもあります。主な3点を挙げると以下の通りです。
第一に、これはかなり原作に沿った内容です。世間の「原作に忠実に作れ」という声があまりに強かったせいでしょうか。尖った作家性が感じられず残念でした。もしかしたら、今後、日本ではクリエイティブな映像作品が見られなくなるかも知れませんね。
第二に、ギャグが寒いです。何度も押し入れを開けるシーン。演者が笑いを嚙み堪えているお笑い的な描写がやや受けでしたが、さすがにしつこすぎです。この時点で、フィルムをカットする事が苦手なんだな、と感じました。地下の伝説のヤンキーとかいうのも、オリジナル要素でしたが茶番なだけ。ここは、例えば瑛太が人質に取られて罠と分かっていても行くだけにしても良かった。
第三に、逆に原作から変えた部分で世界観の厚みが減っています。登場人物の整理は重要ですが、やはり組織の薄っぺらさが目立ちます。削った要素は、大人数が必要で、CGでごまかすことが出来ずに、地味にお金のかかる所というのが予算を察せられる所です。(だから最初に言った、高校襲撃シーンは頑張った方だと思います。)
ちょっと今後も日本映画は低調が続きそうな予感がして、残念な映画でした。