「「エッ…、エッ…」シリアスとコミカルのギャップ」アンダーニンジャ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
「エッ…、エッ…」シリアスとコミカルのギャップ
福田作品は、先日『聖☆おにいさん』が公開され、現在も上映されている中、敢えてコミック原作の新作をぶつけてきて、精力的な映画作りには頭が下がる。しかも、主演には『キングダム』や『ゴールデンカムイ』の人気俳優・山崎賢人を迎え、マドンナ役には、福田作品初出演で、こちらも人気女優の浜辺美波が演じている。また、脇を白石麻衣と間宮祥太朗、そして福田作品には欠かせない佐藤二郎とムロツヨシと、話題にはこと欠かない出演者が勢ぞろいした。
原作は、アニメ配信で最初の数話を鑑賞。太平洋戦争終戦時まで存在した日本の忍者組織が、実は今も、世界各地の様々な機関に潜り込み暗躍しているという設定。物語の中心は、主人公・雲隠九郎が所属する忍者組織『NIN』と敵対する『アンダー・ニンジャ』との、シリアスで激しい戦闘アクションにある。一方で雲隠九郎のうだつの上がらないやる気なさと、雲隠れが住むボロアパートの住人との掛け合いが笑いを誘い、福田作品らしいコミカルさを備えた作品となっている。
山崎賢人は、『キングダム』で培ってきたスピード感あふれる忍者アクションを見せ、特に、足指を器用に扱い、刀を防御する技は、斬新なアクションだった。また、普段はアクションとは縁遠い白石麻衣と岡山天音も激しいアクションに挑戦し、白石麻衣が廻し蹴りやバク転をして、スカートを翻してチラ見させるシーンは、なかなかの見所かも…(笑)
そんな中、一番会場が笑いに包まれたのは、山崎賢人とムロツヨシがアパートの押し入れの戸を挟んで「エッ、エッ」とやり合うシーン。山崎がムロのアドリブに堪え切れずに笑っている演技が、そのまま採用され映し出されていた。また、冒頭の白石麻衣と佐藤二郎の掛け合いも、二郎さんらしいアドリブで白石を笑わせていた。本作でも相変わらず、「監督を笑わせないと、カットの声はかからない」という、福田作品得意のアドリブ合戦は健在のようだった。
しかしながら、物語展開やCGの映像のディテールに粗さが目立ち、シーンの繋ぎ方も雑に感じた。まあ、そこも含めて福田作品らしいのかもしれないが…。そして、本作が今や悪評地に堕ちた『フジテレビ』が製作に携わっており、最初のテロップで『フジ』のテロップが出た時には、会場からも失笑が聞こえてきた。