重ねるのレビュー・感想・評価
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釣り恋愛映画という概念
訳あって岐阜を訪れた女性と都会での生活を離れ地元に帰省した男性が出会い次第に惹かれあっていくストーリー。 軽快なリズムの音楽が心地良いと思っていたら官能的な描写も随所にあり、終いには昆虫すらもエロく見えました。 一徹は妻帯者じゃないのかな~なんて考えていると衝撃度高めのラストシーン。余韻が強く残ったままエンドロールを迎えます。 上映後には配島監督とパワハラ上司役の関さんのトークショーもあり、大自然の中での撮影で天気には苦労したというお話が聞けました。美しい自然を撮るために時間をかけて撮影したということもあり、透き通った川や、岐阜の大自然の美しさが画面全体に広がっていました。釣った鮎を炭で焼いて食べるシーンが堪らなく羨ましかった…。
色んな要素がほんと余計
2024年劇場鑑賞315本目。 パンフレットないのでマイナス0.5。 妻と小さい子供がいながら若い女性と不倫し、仕事で失敗したので一人で実家のある田舎にリフレッシュか何かで戻ったらそこでまた別の女性と知り合う話。 釣り恋愛映画と謳われているので当然この女性と恋愛になるのだろうけど、完全に不倫なので全く応援できず、結構色んなキャラクターが喫煙するのでせっかくの綺麗な自然の空気も煙たく感じてしまいました。 ヒロインが吸うのはお父さんとのことがあるということでまぁいいとして、奥さんが吸うのは、まぁ冷え切った夫婦関係を暗示しているのかなとは思ったんですが。 不倫と喫煙なかったらもうちょっと綺麗な風景楽しめたんだけどな・・・。
何を「重ねる」のか気になって観てきました。
人間皆それぞれ、多くの事を重ねて生きていますね。 一人一人の人生が偶然誰かの人生と重なる。何重にもなった層の中での生活は、とても複雑で僕はよく逃げ出したくなります。そんな時にこの映画を観て、心の中で絡まっていたものが少し解れたような気がしました。 映像がとても綺麗で、岐阜県へ足を運んで鮎を頬張りたくなりました。
あなたは何を「重ねる」のか
衝撃のラスト。 エンドロール後、最後のカットが流れた時、 複雑な感覚が胸を締め付けた。 ラストシーンは、 人それぞれの解釈を求めるかのように、 私を含めた劇場内の人間感情が重なり、 まんまと監督の意図した空間へと変化していた。 監督自身の実体験を基に想起したこの作品は、 ・世の中への問題提起 ・人と人との繋がりの希薄さへの警鐘 ・改めて感じる自然の力強さや生命力 ・(そして、)命の継承 を我々に説いている。 劇場内で重なり合った、その時の各々の感情こそが、 映画「重ねる」の答えなのかもしれない。 映像美、発する言の葉、音、 映画に関わる人々の鼓動、物事の余韻… 是非劇場で味わい、 自分なりの「重ねる」何かを見つけて欲しい。
ユーロスペースで観てきました
最初はよくある、都会に疲れた人達が、 田舎に帰って自分の心を取り戻すみたいな展開を予想してたが、実際には少し違った。 まず観終わった直後の感想が、 「生(性)と死のエントランス」 何故かこのフレーズだった。 確かに都会の閉塞感だったり、田舎の切なさ・孤独感を、壮大な大自然を舞台に撮影してるんだが、夏の山や川に宿るあの特有のジメジメした匂いをエロティックな描写で、第五感をジワジワ刺激されていく内に、どんどん巨大な滝の中に飲み込まれていくような感覚になっていった。 これはきっと自然界がもたらす現象を熟知している人間だからこそ描ける、心地よい2時間の小旅行みたいな映画だと思う。
映像美がすごい。一枚絵としてとても綺麗なカットが多く、丁寧に撮影さ...
映像美がすごい。一枚絵としてとても綺麗なカットが多く、丁寧に撮影されたことが分かる。 釣り×恋愛という斬新さも面白いし、監督独自の世界観が表現されていた。
全編通して絶妙!
日常から抜け出せば そこに拡がるはうたかたの幻か いやいやそれは誰もが心の奥底に抱える原風景 蓋を開けたら覗くだけでは終わらない 毒を食らわば骨まで 中年の男女が織りなすビターでスウィートな恋愛模様を 豊かな自然と渓流釣り大会を通した地域の繋がりとともに 優しい目線で繊細で時に大胆に描かれた なにか人には秘密にしたくなるような スペシャルな佳作であった
ラストカットの衝撃度が半端ない、自然&昆虫&釣り映画!
【釣り恋愛映画】とキャッチコピーにあり、もちろん釣りと恋愛がメインで描かれてはいるけれども、その裏には文明批評だったり、家族の繋がりだったり、ホンネと嘘だったり、様々なテーマが折り重なっているのが興味深い。 タイトルにもある「重ねる」という抽象さが、監督のイメージする一番外側の言葉だったのだろうか。そこから内側に降りてくるにしたがって、より具体的な映像であったり、カットだったり、人間関係が襞のように重なってくる。 劇映画なので、とうぜん物語形式をとってはいるけれど、コンセプチュアルアート的で、哲学的な側面も持ち合わせているような気がする。人物が重なり、台詞が重なり、風景が重なり、カットが重なり、そこに観客の脳内が重なり…と、無限に重なり合うこの世界で「自分はどこにいるのか?」が問われてくる。それは監督が自分で脚本を書かねばならなかった世界だからこそ産まれた問いに感じられた。 そして、何と言ってもラストカットの衝撃が凄まじい。オープンエンディングになっていて、その可能性は観客に開かれている。このラストを語ることは、それぞれ自分の人生を見つめることにもなると思う。 自然、昆虫、そして魚がしっかりとカットに刻まれた、切実で、力強い映画だ。
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