金子差入店のレビュー・感想・評価
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父性が救う
こんな職業があるんですね
更生後の前科者がするにはうってつけの仕事です。
真司とその母、小島家の母と高史、美和子と和真、そして二宮佐知とその母
子供は母の影響にどっぷりつかって成長するんだとつくづく思った。
影響を受けた子供がどんな風に消化して成長するかは、子供の個性と子供自身の思索と、周囲によるだろう
毒母のせいで闇に落ちかけたコドモたちを救ったのは、大いなる父性を持った大人たち。
真司には叔父・星田、二宮佐知には横川、そして真司と意外なことに弁護士の久保木。
毒母では当然なくむしろ賢母(かつ良妻)だが、きれいごとばかりの聖母のような美和子に個人的に違和感。
社会が悪くても自分のほうで折り合いをつけるべき、という考えは現実的なようだがせめて子供は守ってやらなくては。息子がいじめられているのを知りながら何もしないどころか相手の肩を持つような発言に、思わず「はぁ!?」と声出てしまった。息子がいじめを苦にしていたのではなく、いじめられている弱い自分を恥じていたのを見抜いていたからなんだろうか。いじめを知った父の真司はなりふり構わず学校に怒鳴り込む。やりすぎでひやひやするが、学校は事なかれ主義だから多分大事にはしないだろうし、結果的に息子へのいじめが公になったし、いじめっ子たちはビビッてもう和真に手出ししないのではないか。
父親である真司は、行動で息子を守った。
小島母が叫ぶ、「私は20歳まで息子を『育て上げ』ました」
確かに、彼女があんな風に育て上げたんだと思う
世の中には親がどれほど手を尽くしても矯正できないサイコパスな子供はいるが、高史は母親が育てたように育ったと思える。
密室で母に育てられたらしい小島高史には、父性を持った人と会う機会がなかった。
社会が悪いのか、自分の責任なのか、ケースバイケースで一概に言えるものではないし、どちらに責任があるにせよ、大事なのは、ではどうしたら良いか、のほうだ。
父性は、コドモを社会的にうまく生き延びられるように育てる、導く、手助けする、もののように思える。どうしたら良いか、を伝え、実践するのも父性ではないか。
多分、社会経験によるところが大きいと思うので、母親が父性を持っている場合もあると思う。
胡散臭げな弁護士の久保木が、「良心」に沿って仕事をしていること、そして警察(検察?)との間で、二宮佐知の事情をくんで、売春の件には触れないことで了解したとか、その昔の八百屋お七の「お前はたしか14歳だったな」みたいな人情判断があるなら、公的機関も人間も捨てたもんじゃないと思いました。
佐知の横川への面会が門前払いだったのは、面会した佐知が余計なことを言って彼女が追及されないようにという配慮だったんではないか。
もしそうなら、他人や社会は意外と温かいなと思いました。
丸山くん、好演。
真木よう子さん、いつもとイメージが違ってて似ている他人かと思いました。
役作りのためなんですかね
岸谷五朗の横川の漢気に、惚れました。
地味めのタイトルとは裏腹に、強烈に気持ち揺さぶられましたー。
2025年劇場鑑賞6本目は「金子差入店」〜差し入れるのは小さな希望〜、観て来ましたー。地味めのタイトルとは裏腹に、強烈に気持ちを揺さぶられる重厚なヒューマンサスペンスです。
刑務所や拘置所で勾留された人への差入を代行する「金子差入店」。
犯罪加害者とその家族にほんの少しの支えとなって寄り添う「代行屋」金子真司(丸山隆平)。金子自身も犯罪加害者として勾留経験を持つ。時に自分の仕事の意味に疑問を持ちながらも、小さな希望を届けたいと淡々と仕事をこなす。
もって行き場のないやり切れない気持ち、救いようのない加害者の態度やその家族の対応に翻弄される。ある犯罪者への差し入れをきっかけに、自分の妻や子供までが誹謗中傷に晒される。その激しい葛藤に観ている私の気持ちまで大きく揺さぶられました。一体自分は何のために、誰のためにこんな事をやってるんだろうか? そのやり切れなさに、観ていて本当に気持ちが辛くなりますです。
真木よう子さん、北村匠海さん、岸谷五朗さん、寺尾聡さん、共演者の役者さん達の素晴らしい存在感が作品をさらに引き締めています。
あー、しんどかった。今日はミッションインポッシブルにしとけば良かった。笑笑。
真木よう子さん…いぃですねぇ。
知らない世界が観れました
店主の妻の強さに救われました
丸山さん演じる金子真司は拘置所に差入れを届ける差入店の店主。彼を信じて支える真木さん演じる妻美和子。真司、そしと彼の母に対する美和子の包容力と強さは母として尊敬します。
この映画に母親が5人出て来ますが、いわゆる毒親が3人。自己愛が強く男に依存する母。殺人犯の母、娘を売った母。
母に愛されなかった子どもの孤独と絶望。
「母」がこの映画のひとつの大きなテーマ。
真司の過去を全て包み込み、世間に何と言われようと自分のすることに誇りを持て。悪いのは世間だ。偏見や嫌がらせにも屈しない、被害者にならない美和子の強さに真司も彼と関わる人々も救われます。この愛情の連鎖がもうひとつのテーマだと思います。
人は弱さとどう向き合うか。どう支え合って生きていくか。観終わってそんなことを思う、良い映画です。主題歌の「抱き合えばわかる」「信じる以外に希望はない」が響きました。
投げ捨て感
拘置所や刑務所への差入を代行する金子差入店の店主と家族、そして彼らに関わる人たちの話。
赤ちゃん預けて面会の過去から始まり、あっという間に時間が経過してる?からのあれ店名違うの?と思ったら金子差入店???
ちゃんと観ていけばわかるけれど、こういうわかるから良いだろ的な感じあまり好きじゃない。
そしてクソ母親と嫁の行からのその言い分とか、序盤から悪い意味で個人的感覚とズレが…。
なんだか話しも横にのペっと広がってテンポが悪いし、作り手のこうすれば響くんだろ的なものを感じるし、その割に前述の様なズレを他にも結構感じるし投げっぱなしも多いし。
そして、オリジナル脚本とのことだけれど、どうも既視感が…拘置所の制服ガールの行とかはそんなにある題材でもないと思うけれど、それでもやっぱりどこかで観た気が…。
一つ一つの話しの題材は悪くはないけれど、上手く繋げられていなくて盛り沢山だから長く感じるし、ぶつけた感情をあっさり引っ込めたり流したりで以降触れずというところが多くて、あまり響かなかったかな。
それにしても、滑舌悪過ぎるのはもう少しがんばれってくれ。
毒親
世間が悪い
本質的な人間の愛情と家族愛を見事に描き出した作品
差入店という設定が独自固有であり、またまた私の知らない世界が開けた作品。
齢50を過ぎても知らないことばかりで、映画で自分の世界が開けるのが鑑賞モチベーションでもある。
本作、主人公金子真司の服役中から始まり、そこでの妻美和子との関係性がどうなんだ!?という冒頭から
時間が飛ぶ。結構時間軸が行ったりきたりするので、集中力が必要だが、飽きさせない展開と
時間がどの時点なのかはだいたいスグわかるので、ストレスにはならなかった。
時間が行ったりきたりしながら、人物像や金子家族の解像度が上がっていくのが、実に巧みに紡ぎ上げられている。
そして実に映画的であるため、現実的なリアリティには少し乏しい気がするが、観ているうちにそれはどうでもよくなった。
俳優陣の演技が素晴らしい作品でもある。
特に真木よう子の存在感が圧倒的。その母性・愛情たるや圧巻ですらある。
主人公を演じた丸山隆平も素晴らしかった。私は今まで認識していなかった俳優だが、実によかった。
声がなんとなく小栗旬に似ていると思った。
名取裕子のやさぐれ感もなかなかいいし、寺尾聰は安心して見ていられた。
フィジカルにエンターテインすれば、もっと評点は高かったと思うが、どこか客観的にしか見れなかった自分がいる。
主人公に感情移入できなかったのがその要因だろうと思う。
それにしても、人は何故優しくなれないのかな。
こういう作品を観ても優しくなれない人っているのかな。
どうなんだろう。
少なくとも私は人に優しくありたいと、鑑賞後にはあらためて思えた。
綺麗事かもしれないけれど、まずはそこからな気がする。
エンドロール後の映像も必見!ここも時間が飛んでいる!
何を伝えたいのか見る側がそれぞれ解釈を求められる作品
予告で見た感じとても面白そうだと思い鑑賞。予告からの期待通りの作品でした。
北村匠海は先日の悪い夏での役ともまた違った感じでしたね。普段はなかなかやらなそうなサイコパス野郎の役でこれがまたハマっていたと思います。このサイコパス野郎のことが中心に進んでいくのかと思いきや中盤から後半にかけて別の事件を軸に物語が進み、岸谷五朗さんと少女の話は胸が打たれるものがありました。
自分が見た感じではこの作品、いろいろなところにいろいろな要素が散りばめられていてこれはこういうものでこういうテーマだというものを提示する感じではなく見た側に委ねられる感じがある作品かなと思いました。
なんとなく親と子、家族、つながりみたいなものを考えさせられる感じがしました。
被害者家族の悲しみの視点なんかは昨年の石原さとみの「ミッシング」を彷彿させる、というかそれをさらに酷くさせたような描写でしたね。それとは逆に加害者側の家族の視点、そして今まで母に振り回されてきた主人公。
後半に明らかになる少女の実態。
どんな親でも親は親、どんな子供も子供は子供、ただそれだけでは成り立たないこともある、血のつながりがなくても何というか絆のようなもの、救いがあることもある、なんとなくこのような要素が物語の全体として散りばめられていると考えました。
しかし主人公はなんで暴力沙汰で逮捕されたのか、植木鉢を壊してるのは誰なのか、そのあたりは詳しく描かれなかったのでよくわかりませんでした。
ま、そういうことがありながらも日常は続いていくということを表現したいから最後のカットはああなったのかな?なんて思いました。
深く考え、胸を打たれ、いろいろと感じることのできる作品です。
作品としてはとても重いものだと思います。
ぜひおすすめです!
クセが無さ過ぎ
金子差入店
モチーフは良かったのに、未熟な差入屋なので、話が淡白で深みがない。
あと10年は年季を積んだ話にして、少なくとも4話以上のエピソードを盛ってもらいたかった。
唯一、岸谷さんの入れ込みはど迫力があった。
ただ、相手の女の子がチョロいから腰砕けとなったのが無惨でごわす。
(^o^)
金子差入店
「SUPRE EIGHT」の丸山隆平が「泥棒役者」以来8年ぶりに映画主演を務め、
刑務所や拘置所への差し入れを代行する「差入屋」を家族で営む一家が、
ある事件をきっかけにその絆が揺らいでいく姿を描いたヒューマンサスペンス。
金子真司は刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを代行する「差入屋」を一家で営んでいる。
ある日、息子の幼なじみの女の子が殺害されるという凄惨な事件が発生する。
一家がショックを受ける中、犯人の母親が「差し入れをしたい」と店を訪れる。
差入屋としての仕事をまっとうし、犯人と向き合いながらも、金子は疑問と怒りが日に日に募っていく。
そんなある日、金子は一人の女子高生と出会う。彼女は毎日のように拘置所を訪れ、なぜか自分の母親を殺した男との面会を求めていた。
この2つの事件と向き合う中で、金子の過去が周囲にあらわとなり、家族の絆を揺るがしていく。
主人公・真司役を丸山が演じ、真木よう子、寺尾聰らが顔をそろえる。
「東京リベンジャーズ」シリーズなどの助監督を務め、本作が長編初監督作となる古川豪が自らのオリジナル脚本でメガホンをとった。
金子差入店
2025/日本
俳優さん達が良かった
本当にこんな職業が存在するのかは知らないが、全編フィクションであり拘置所とのやりとりに疑問を感じた。また、北村匠海の殺人動機もありきたり感があり既視感を感じた。だが、だからといってこの映画がつまらないのかというとそうではなく、作られた設定の中で幾つもの縦線を集約していく様は面白かった。いや、この映画は面白いという感想ではいただけない。色々な人生を描いているので面白いではなく、良い映画と言うべきか。各俳優陣の演技が素晴らしく。特に、真木さん、子役の2人、北村匠海、岸谷五朗が素晴らしい。ラストシーンで割れた植木鉢を片づけるカットがあるが、あれは息子なんだろうか?エンドロール最後まで見た方がいいですよ。最後の面会のシーンは心を動かされました。
【刑務所の収容者に日用品や手紙や書類を収容者の親族の代わりに届ける男とその家族が直面する出来事を軸に、善と悪、罪と赦し、絶望と希望を3人の愚かしき母と1人の賢母の姿を絡めて描いたオリジナル脚本作品。】
■冒頭、暴力行為で刑務所に入っていた金子真司(丸山隆平)の元に、妻美和子(真木よう子)が面会にやって来る。だが、彼は妻に対し素直になれず、妻は大声で叫んで面会室を後にする。後に分かるのだが、彼女は男の子を身籠った事を告げに来たのである。
その後、金子は出所した時に、初めて息子、和真とずっと待っていた妻と会い、叔父(寺尾聰)が営んでいた”差入屋”を引き継ぐのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作では、愚かしき母親が3人と、1人の賢母の姿が描かれる。
●愚かしき母
・1号 真司の母親( 名取裕子)。真司が生れてからずっと自堕落な生活を送っている。描かれないが、真司が刑務所に入るような性格になった一因。今でも、真司がいない時に店にやって来て美和子からお金を貰うが、若い男に貢いでいる。
・2号 二ノ宮佐知(川口真奈)の母親。自分が家で売春をしながら、娘にも売春をさせている。そして、自分を買ったヤクザの男、横川哲( 岸谷五朗)に娘を紹介するが、横川から拒絶され、且つ刺殺される。
・3号 真治の息子、和真の幼馴染の女の子を殺した男、小島高史(北村匠海)の母親(根岸季衣)。和真の行いにより、報道陣に平謝りしたり、逆切れしたり、笑いながらホースで水を掛けたりする。まるで、ヒ素カレー事件で死刑を言い渡された女の様である。息子には面会には行かず、金子真司に息子の衣料や、自らが書いた手紙を持たせ読んでもらうように依頼する。が、再後半に”アタシはあの子を二十歳まで育てたんだ!二十歳を越えた息子の罪を何で被らなきゃいけないんだ!”と本性を表す。
・今作では、この愚かしき母親2号と3号の娘、二ノ宮佐知と息子、小島高史が、人間の善性と悪性の代表として、対比的に描かれる。それにしても、小島高史を演じた北村匠海のチックが出て、右目の瞼が醜く歪んでいる表情が、物凄く不気味である。北村匠海の母親の愛なき故に出来上がった怪物の怪演は、表情と眼の演技を含めて、凄いと思う。
そして、ヤクザの男、横川哲に何度も面会に来るが拒絶される二ノ宮佐知が、それでも横川哲に面会に来る訳が最後半に描かれる。確かに彼は二ノ宮佐知の母を刺しているが、止めを刺したのは二ノ宮佐知だった事。そして、将来無き横川哲が、二ノ宮佐知の罪を被った事が描かれるのである。
〇賢母
・金子真司の妻、美和子である。彼女は夫に面会に行った時に、酷い態度を取られるも彼の子を宿していた事から、”この子の父親は、あの人だけだから・・。”と言い、男の出所を待ち、その後は夫を精神的に支えている。真司の母が金をせびりに来ても、封筒に大金を入れ差し出すのである。真司から”止めろと言っているだろう!”と言われても、”こんなことが出来るのは、今だけだよ。”と返すのである。
真司が真人間になった事と、息子の和真が、真司が小島高史へ差し入れしている事で、苛められても懸命に生きる力を持っているのは、この母親のお陰だろうな、と思う。
・今作は、和真の幼馴染の女の子が殺された姿が映されたり、二ノ宮佐知の売春のシーンなど結構観ていてキツイシーンが幾つかある。
だが、再後半に真司が、二ノ宮佐知をアルバイトとして採用し、彼女を漸くヤクザの男、横川哲に面会所で会わせるシーンは、沁みた。精神的なショックなのか声の出ない二ノ宮佐知は、画用紙にペンで”元気ですか?””私は元気です。”と書き、男が涙を流して、崩れ落ちそうになっても”生きて下さい。又、会いに来ます。”と書いて、男に見せるのである。二ノ宮佐知の、自分の罪を被った横川哲への、精一杯の思いであろう。
<今作は、刑務所の収容者に、日用品や手紙や書類を収容者の親族の代わりに届ける男とその家族が直面する出来事を軸に、善と悪、罪と赦し、絶望と希望を3人の愚かしき母と1人の賢母の姿を絡めて描いた作品なのである。>
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