金子差入店のレビュー・感想・評価
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単に物を届けるだけでなく、大切な何かを差入る感じの温かい作品。 本年度ベスト級。
鑑賞後「差入屋」という職業が実際に存在することを知る。
留置所の側にあり臨機応変に対応する仕事の隙間産業だった(笑)
丸山隆平さん演じる主人公の差入屋の真司。
真木よう子さん演じる妻の美和子。
(真木さん。少し太った?)
その2人の子供。
この差入屋を営む家族を中心に展開するストーリー。
様々な事情で直接差し入れができない人たちの代わりに、真司が刑務所にいる受刑者へ品物を届けるお仕事が本作の軸。
中盤、真司の息子の幼馴染みの女の子が惨殺される事件が発生。
その母親が収監されている犯人(北村匠海さん)に真司が差し入れをする展開。
その2人の会話に息を飲む!
北村匠海さんの不気味サイコパス的な演技に引き込まれた!
金子が刑務所に差し入れに行くたび、面会を拒否され続ける女子高校生の佐知の存在が気になる。
佐知は自分の母親を殺した受刑者との面会を諦めず、毎日刑務所を訪れる理由が分からない。
そんな佐知の姿を見ていた真司。
ある方法で彼女と母親を殺した受刑者との面会が実現する展開。
このシーンは涙なしには観られない!
受刑者を演じた岸谷五郎さんと、佐知を演じた川口真奈さんの演技が凄かった!
メッチャ胸が締め付けられる!
この岸谷五郎さん演じる横川と川口真奈さん演じる佐知のエピソードが、本作の最も心を揺さぶるハイライトだった感じ。
一方、北村匠海さん演じる殺人犯の小島のエピソードも、もう少し深く描かれていたら、さらに作品にのめり込めたかもで少し残念。
結果として、本作の核となる二つのエピソードの満足度は高くは無かったけど、全体として観終わった後に温かい気持ちが残る素敵な作品だと感じた。
金子差入店の前にある鉢植え。
一体誰がどんな理由で割っていたのか?
誰が犯人なのか気になります( ´∀`)
こんな商売もあるんだという興味本位で鑑賞
映画冒頭、収監されている時丸山さん(金子)と差入やとして働く丸山さんが
最初は同一人物だと思えなかった。奥さんの真木さんが冒頭と一緒だったので
真木さんは別の人と再婚したのか?という余計な混乱からスタートした。
丸山さんの演技がうますぎるのだ。傷害事件を起こした「金子」とそこから立ち直って商売をしている「金子」は同一人物であり、時折みせる優しい金子の中に、激しい感情表現をあらわにする金子と、爆発するまでに必死に葛藤する金子と、そのすべてに心が共感していく。更生し、まっとうな生活をしている金子が、その仕事柄、収監された犯罪者たちと日常的に顔を合わせる中で、その被害者や加害者の親族と接する中で人として心が揺り動かされないわけがない。その彼の他者への「共感力」に視聴者もついていきながら彼と同じ疲労感を共有する
「あなたがすごい人、あなたは正しいことをしているの!世間がおかしいの!」奥さんの真木さんの言葉が胸に刺さる。彼女もこの映画のもう一人の主役。彼女にも向けられる世間の「異常性」に、彼女の胆力は最後まで耐え、夫に、息子に、世間にまで寄り添う。
自分も「オカシイ世間」の構成員になっていないか、家族や仲間の悩みや苦しみにいつも気が付いてやれているだろうか、映画を見ながらずっと泣きっぱなしで考えさせられた。
観て良かった!誰かの為に寄り添える 人の繋がりとやる意味を知る。
囲われた拘置所。訳があって拘留者へ親族より依頼されて差し入れ業を行う人。
それが 金子差入店である。
へぇ~ そんな職業が有るんだと言う思いが最初はした。
今日は「金子差入店」を観に行きましたよ。
出ている俳優陣はどなたも凄い!
大御所の方多目ですね。
最初 パッとチラシ見た時 主は濱田岳さんなのかと。
だが違った、丸山隆平さん(SUPER EIGHT)でしたね 良く見たら。
ちょっと心配したけど全く大丈夫。両脇に前後を大御所ベテランさん達が支えてて
そこの連携が功を奏したと感じます。
社会の抱えてる闇を描いており、加害者と被害者。そのどちらでも無い家族。
一見無関係に見えるが 加害者側への援助支援をお金を取って業を行うと
被害者から見れば その支援が仇となり、敵視されてしまう。
この関係性を見事に描いています。
つまり 人の心に抱えている弱さですね これは。
ちょっとした行動が理不尽になって行く様が描かれてます。
この差入する人に まさかの焦点を当てた作品が生まれるとは 立派な取り組みに感じますね。
こう言う視点的作品 好きですわ。
映画”正体”とかは 面白がってカッコつけてる感じするので好きじゃないですね。
(感じた所)
・出だし 主の金子真司が拘置所にいて、妻(美和子役:真木よう子さん)が差し入れしてる場面がある。
そこで 子供が生まれた事を知るのだ。
大半差し入れは許可されないが、情報だけは伝える事が出来る。
自分たちの子供を夫に抱かせたら、きっと命の大切さを知って真面目に生きて行くだろうと 妻の思いが有って そこは見事な狙いだったと思う。
ただ この場面、丸山さんが力入り過ぎて 誰か??分からんかった。
ここの流れ もうちょっとアシスト表現欲しかったかな。
編集が粗く切り替わるんで、その波にこっちが最初感情 乗れなかったです。
・どうしようも無い母(金子容子役:名取裕子さん)の存在。
お金をせびって来ては 若い男に貢いでしまう母親。
真司は母を絶対に絶対に許さない。心の底から憎んではいるのだが。
ある時 叔父(星田辰夫役:寺尾聰さん)から この家業の話を聞いた。
まさか身内のお前が拘置所に入って そこへ差入するとは思わなかった、
でも そうさせたのは、お前の母親の ”何か差し入れでもしてあげたら”
その言葉が有ったからだった。未だに代金は払ってくれて無いけども・・・。
ここの 話、実はジ-ンと来るんよね。
母の感情がやっぱり存在していた証拠なんよね。そう思う。
それを 真司は知って、憎む母の事を理解して 生きて行くのだと思うのよね。
人が憎く思う(成る)前は やっぱり相手は普通の感情の持ち主と思うのよ。
この思いが、学生を殺す殺人者(小島高史役:北村匠海さん)にもあって、
また 娘へ強制売春させていた母を殺す殺人者(横川哲役:岸谷五朗さん)にもあってなんだと感じますね。
最後に小島の話相手に成って行く~ 金子の姿をみて その理解を得たんだと思うんだな。
・拘置所の管理官への手渡し場面。
ここの 金銭渡して融通させていた場面は ダメですね。
現実問題、有るのか無いのかって言ったら 無しでしょう。当たり前ですが。
気心加えてたと成ったら大問題。作品だから良いけどもね。
でも これを駆け引きにして 二ノ宮佐知(役:川口真奈さん)を
横川哲に面会させる手にでるのだ。
金子のそうしなきゃ ダメだと言う思い、誰かの為に 何かをする。
その強い思いが そこに在ったと感じます。
中々 パッと見では避けられそうな作品テーマですが
ご興味御座います方は
是非 劇場へどうぞ!!
視点により
視点により評価が変わる作品ですね。
今まで知らなかったことを知ることが出来た。
ただやはりそういう性質の方々なのか・・。
と思ってしまう人には評価されないのではないかと。
最後の少女のシーンも評価を二分するかも?
いい映画ではあるけど、素直に楽しむことが出来なかったので
誰かがやっているんだろうと思っていたが。
いろいろ複雑な感情が入り乱れている映画でした。ほとんどの人が被害者側の気持ちになってしまうのではないか。しかしこの映画は被害者、加害者、身内、それを取り巻く他人、の間で受刑者に差入を届ける差入屋という仕事の話です。普段は受刑者が何をしたかなんて関係なく毎日を過ごしているのだろうけれど、自分の子供の同級生が殺された事によって、いつもは踏み込まない所まで入り込んでしまう。
この仕事って誰かがやっているんだろうと思って生きて来ましたが、ホームページなどみると本当にあった。どんな受刑者にも家族や親族がいる。誰もが最初は純粋な赤ちゃんだった。
自分が加害者の家族や身内でだったらどうする?
途中で奥さんが旦那さんに、こんな素晴らしい仕事をやっているんだからと言うシーンがありましたがその通りだと思う。いろんな事を考えさせられる映画でした。
差入店とは?
白いデイジーの花言葉は「無邪気」
この国に「差入店」との生業があることを初めて知った。
拘置所や刑務所の近所で営業し、
被告人や受刑者に差し入れる物品を販売するのだと言う。
また、家族や知己の依頼で、
面会人の代行や差し入れ品を届けもするのだと。
その背景には、
差し入れ品には厳しい制限があり、
加えて面会は平日の決まった時間のみ可能で、
実際に訪問しても、
タイミングによっては会えぬことも多いことも挙げられるよう。
刑務所の近くで差入店を営む『金子真司(丸山隆平)』は
嘗て傷害事件を起こし服役していたこともあるが、
今は伯父の後を継いでいる。
世に必要な商いであり、
人の役に立っているにもかかわらず、
犯罪者と関係を持つことを疎んじる世間がある。
店の前に置かれている植木鉢が、
思い出したように壊されているのだ。
それが、ある事件を境にエスカレーションする。
息子の同級生の女児が殺害され、
犯人とは何の関係も無いのに、
世間は何故か『金子』一家をあからさまにヘイトする。
「コロナ禍」の際に、
医療関係者にぶつけられた心無い言葉の数々を思い出す。
怒りをどこに向けていいのか判らぬ心情とは言え、
我が身に置き換えることのできない、
想像力の欠けた人間が多いことに慄然とする。
その矛先が自身の小学生の息子に向かった時に
『真司』の怒りは爆発、
元々の短慮な性格も災いし、暴力を振う。
しかし、そんな彼を救うのは、やはり家族。
妻の『美和子(真木よう子)』や叔父の『辰夫(寺尾聰)』に助けられ、
幾度目かの立ち直りをする。
『美和子』も息子の『和真』も
『真司』の仕事に誇りを感じている。
それと対比するように、
子を自分が生きるための道具としか思っていないような母親や、
エキセントリックな性格の母親が幾人か登場する。
一つ間違えば、『真司』も同じような道に進んでいたかもしれぬのだ。
そうならなかったのは・・・・、とのハナシだが、
貴方は見捨てられてはいないのだと思わせるために、
「差入店」が果たす役割はあるのだろう。
母を殺された女子高生『佐知(川口真奈)』が
犯人の『横川(岸谷五朗)』に
拒絶されても面会要求を繰り返すエピソードは心に沁みる。
この挿話が、二人の男の大いなる救済に繋がるのだから。
オリジナル脚本は評価したいです。
拘置所近所にある「差し入れ屋さん」の存在は、大阪拘置所の前の一方通行のところに数軒あったので存じていますが、現在一軒しか無いようです。で、この映画で差し入れ屋さんによっては、代行差し入れはもとより代行の面会やお手紙代読まで引き受けてくれるというのは初めて知りました。
当然のことながら話はヘビーですし、私は必要無いとは思いますが、残酷なシーンも多々出てきます。なぜ必要無いと思うかというと、その事件の内容や性質は代行業の差し入れ屋さんには関係ないからです。もちろんそのようなことは劇中でも触れられていたとは思います。加害者側親族の当然の権利なわけですし。ただ、その内容を明らかにすることで、主人公は悩み、また学校に通う息子はいじめられ、妻も周りから差別を受けます。
日本では「死刑もやむを得ない」とする人が8割を超えるそうですが、そういう人たちにとっては重大な犯罪を犯したとされる未決囚に「面会・差し入れ」などをする必要はないと思う人も多いと思いますが。裁判で結審しない限りあくまでも未決囚・・・なんてのはうやはり綺麗事なのかもしれませんね。
予告編のみの知識で出演者を主人公やその伯父役くらいしか知らなかった私にとって、「あの未決囚は誰が演じてる?」とずっと疑問に思ってた私です(汗)エンドクレジットで「彼」の名前を観たときに。。。「え?どこででてた?」などと自ら大ボケをカマしてしまいました(笑)
なんといってもオリジナル脚本の作品であることは評価したいですし、なかなか興味深いところに目をつけたなと思いました。
罪を犯した者にも、その人を思いやる人がいる
今年の劇場版「名探偵コナン」に、「刑務所の近くには差入店がある」みたいな台詞があったが、それが、実際にどんな職業なのかは、本作を観るまで知らなかった。
刑務所への差し入れの代行業というと、受刑者の身内等にはありがたいのだろうが、犯罪の被害者にとっては、加害者に肩入れしているようにも見えてしまうので、映画の中で描かれているように、反感を持たれたり、非難されることがあるのかもしれない。少なくとも、「誰からも感謝されるような仕事ではない」ことは確かなので、それに従事する上での苦労や葛藤があることは、容易に想像することができる。
ただ、罪を犯した者であっても、その人を思いやる人はいて、そんな、依頼人の「思い」を受刑者に届けること、あるいは、受刑者に、「あなたを思っている人がいる」ということを知らせることも、差入店の重要な仕事であるのは間違いない。
劇中、主人公が、主に関わるは、彼の一人息子の友達を殺した若い男と、娘に売春をさせていた母親を殺した元ヤクザの2人の受刑者で、それぞれを演じている北村匠海と岸谷五朗が、共に強い印象を残している。
若い男の方は、「100匹の蟻」の話を持ち出して自分を正当化し、少しも改心する様子はないし、彼の母親にしても、情緒が不安定で、「二十歳を過ぎた子供の責任は取れない」みたいなことを言い出して、どちらにも、同情することも、共感することもできない。
一方、元ヤクザの方は、少女を救い出すために母親を殺したということが分かってくるのだが、売春の事実を表沙汰にさせないという配慮から、少女は、元ヤクザとの面会を拒絶され続けている。
終盤、主人公が、少女と元ヤクザの面会を実現させる場面では、自分のことを助けてくれた元ヤクザに、必死で「生きて」と訴える少女の姿に、思わず目頭が熱くなったのだが、これこそが、「思い」を差し入れるということなのだろう。
その一方で、主人公が、若い男と面会する最後のシーンからは、たとえ、人間として許せないクズであっても、業務として差し入れを続けるという職業人としての「矜持」は感じられるものの、サイコパスには「思い」は届かないという無力感も覚えてしまった。
ここは、そんな殺人犯でも、母親は「罪を償って立ち直ってほしい」と願っていて、そんな「思い」が、わずかながらでも彼に届いたみたいな展開になっていたならば、もっと感動できたに違いないと、少し残念に思ってしまった。
それから、主人公自身が元受刑者で、受刑者の心情を理解できるということが、比較的重要な設定になるのだろうと思っていたのだが、そうした背景が、まったくと言っていいほど物語に活かされなかったのは、一体どうしたことだろうという疑問が残った。
金子差入店(映画の記憶2025/5/17)
「おくりびと」から17年。新たな知られざるお仕事映画の誕生!
おくりびとで助監督を務めた古川豪さんの脚本そして初監督作品だという。構想から公開まで10年以上かけた作品とのこと。
思いを込めたデビュー作なのだろう。僕の苦手な誇張された感情表現もなく、しかしとても重たいさまざまな登場人物の感情を丁寧に描写映画であった。この映画での脇役岸谷五朗と川口真奈のエピソード回収場面は素晴らしく、泣かされてしまった。
古川監督が助監督を務めた「おくりびと」、調べてみたら2008年公開。そんなに前だったかな。
納棺師という職業について、初めて多くの人が知ることになった映画だった。単に棺に納める仕事ということにとどまらない職業の持つ意味や、倫理観、働く人の誇りと美意識。そう言ったものを見事に伝えた「お仕事映画」の最高峰の一つだと思う。
おそらく古川監督は助監督を務めた「おくりびと」からヒントを得て構想し、本作の主要モチーフ「差入れ屋」という仕事を発見し、10年以上かけて構想を深めたのだろう。
刑務所に差し入れができるのはなんとなく知っていたが、それを代行する仕事というのは聞いたことがなかった。収監された犯罪者に会えるのはおそらく家族や弁護士や、なんらかの関係者だけのはずだ。
その中で、なんらかの事情で面会できない、あるいはしない、家族の代わりに差し入れをする人というのは、物の差し入れをするだけではない、家族や関係者、そして当の犯罪者のケアに関わる人であるという監督の見立てはとても素晴らしく意義ある啓蒙でもあると思った。
物の差し入れだけでなく手紙の代読も許されているとのことだから、心の交流の代理人でもあることが映画の中でも描かれる。
さまざまな関係者が重層的に描かれる脚本の整理も素晴らしい。ただ、主人公が元服役囚であるという設定、また途中で描かれる殺人事件の被害者と関係がありつつ、加害者の家族の仕事を受けるという設定は、この映画のドラマ性を高めている一方で、本作で多くの人が知ることになる差し入れ屋という職業への掘り下げを浅くしてしまったような気がしている。
経験した人がとても少なく、まだ知られていない仕事であるだけに、その職業の持つ意味や意義、独自の職業倫理といったものがあるはずで、その辺りを掘り下げて欲しかったと感じた。
寺尾聰演じるおじさんがその職業の主人公の師匠でありメンターのはずなのだが、同居しているにも関わらず、主人公に対して十分な継承が行われていないようだった。
その継承が行われた上で、この職業の意味と持つべき倫理を身につけた主人公が、その倫理を超える決断をするという描写があったら、差し入れ屋について深く知ると同時に、その職業倫理の難しい壁を主人公が職を失う覚悟をしてまで、守ろうとする、あるいは越えようとするという大きな成長物語にもなった気がする。
10年以上もかけた監督の素晴らしいお仕事に敬意を感じた作品だから、こんな感想はなんか素人の身勝手な意見でおり、勝手な願望だ。
とにかく、主人公だけでなく周辺の人物の描写が見事で、相当な取材をされた脚本でもあるのだと思う。感情が揺さぶられる映画である。
普段接することのない世界
差し入れ屋の存在は知っていましたが、手紙も代理で差し入れ屋の人に頼めるのかな?(それは創作?)
普段接することのなかなかない世界の話で、着眼点はとてもいいと思った。
ストーリーは、弁護士の守秘義務が一番気になった。題材はとてもいいので、脚本がもっと良かったらとは思ってしまった。エンドロールの後に少しだけ映像があった。
とはいえ、色々考えさせられる映画ではあった。
塀の中とこちらの世界は紙一重であり、同じ世界に存在しているもの。もしかしたら、何かの歯車が狂って塀の中との縁が誰しもできないとは言えない。
恋愛要素がない映画を観たかったので、それは良かった。
SUPER EIGHTの丸山さんは思いの外演技がうまくてびっくりした。難しい役を上手く演じられていたと思う。
やり切れなさが詰まった話
魂のぶつかり合い
物語の最初から最後まで人間の悲しみ、哀れみ、喜びがぶつかり合って、交差する話でした。
悲劇的な事件を軸にその事件に関わる被害者、加害者、警察や弁護士、検察を描いた物語は数多いですが、拘置所への差入店という今まで描かれなかった視点から、ある2つの違う事件に翻弄されていく家族を描きます。
出演する俳優陣は皆、演技派の方々で豪華メンバーです。なので、各々の魂の叫びを見事に演じきって、ぶつけ合っているように思いました。
その中でも寺尾聰さんは、イケじいじですね。存在感がえげつないですし、真木よう子さんの演技力はさすがです。
物語は2つの異なる事件に関わることになった差入店の家族が翻弄され、その中で改めて絆に気づいていく話。
2つの事件は1つは起きた背景・原因に周囲の人が気づきながらもある少女を守るものに対して、もう1つの事件は背景・原因の真相はもはや犯人個人にしか理解できないもの。この2つの事件がコントラストを描くことで差入店の主人公と家族の揺れ動く姿が描かれています。
そして、みんなが自分自身の居場所を必死で探し、守っている、、だからぶつかり合うと激しく反応する。だから居場所があることが人としてとても大事なんだと思いました。
ラストの1つの事件の犯人役の岸谷五郎さんと主人公役の丸山隆平さん、高校生役の川口真奈さんの拘置所の謁見室のシーンは圧巻ですよ。
出てくる役者が全部いい! 珠玉の演技のぶつかり合いからまったく目が離せない
そもそも「差入屋」なんていう商売があることを、これまで生きてきてついぞ知らなかったが、「犯罪者への支援」という側面だけに焦点を当て、犯罪者であっても基本的人権を有するといったことは全く無視して、偏見を持って白い目を向ける人々が決して少なくないことは想像に難くない。
絶望の淵に立つ人に手を差し伸べる救済は間違っているのだろうか?「被害者家族の気持ちになれ」的なことをよく耳にするがいきなり加害者家族にさせられた方の気持ちはどうなのか?坊主憎けりゃ袈裟まで憎いみたいな反応が多すぎないか?
正義とはいったい何なのか?権利を履き違え声高に度を越した要求をすることは正義なのか悪なのか?
善意と悪意の境界線がどんどん曖昧になっている時代。
そこに「家族」の問題が絡むとより自体は複雑になる。子どもに一生懸命教育の機会を与えようとしているだけの親に「教育虐待」ということばを投げかける人もいる。自分の子どもを守ろうとすることが他人の目には脅威に映ることもある。
そう言えば小学校に大人が乗り込んで行った事件の記憶もまだ新しい。
何か一つの価値観で決めつけるのではなく、余白のあるものの見方・考え方で柔軟に対応していくことの難しさと大切さを教えてくれる作品だ。
なお、自分は当初、真木よう子目当てで行ったのだが、観ていると出てくる役者が全部いい! 珠玉の演技のぶつかり合いからまったく目が離せない。
少し変われたら見方は変わる。
刑務所や拘置所に収容される人へ差し入れ代行をする金子差入店・金子真司に起こる話。
小学生の息子・和真の幼なじみカリンが1人塾へ行ったきり帰って来ず、翌日河川敷で殺害され見つかる、…数日が過ぎた頃カリンを殺した犯人は捕まり、それから少し経ち犯人の母から殺人犯である息子へ差入れをして欲しいと依頼され受けることになるが…。
刑務所、拘置所、留置所に差入れする代行ってあるんですね。本作観て知りました。
この作品と同様差入れ屋をやってる事でホント恨まれたり、…確かにありそうですね。
小さい頃から見てる息子の幼なじみの女の子の死、それだけでもショックなのに犯人母から犯人への差入れ依頼、仕事と割り切っても割り切れない金子真司の苦悩、この仕事をしてる事で小学校の友達、近所のママ友からの見られ方が何とも悲しいしイラッとしたかも。
あの傷ついた女子高生の彼女の表情が明るくなった時は泣けた。
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