劇場公開日 2025年5月16日

「大人に頼ることを止めた子供たち」金子差入店 かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大人に頼ることを止めた子供たち

2025年8月9日
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見ず知らずの小学生女子を滅多突きにして殺したサイコパス(北村匠海)の右目はなぜ潰れていたのだろう。そして、実の母親に売春を強要されていた少女(川口真奈)は、なぜ一時的に口がきけないふりをしたのだろうか。日本的精神の崩壊を具現化しているといってもよいこういった身体的障害は、やはり“今だけ金だけ自分だけ”の政治家、官僚、それらに盲従する大人たちの犠牲になった日本の子供たちの“声なき声”だったのではないだろうか。

ならば、我々日本の大人たちはどこまで遡ればその日本的精神とやらを思い出せるのだろうか。ダーウィズムの嘘が暴かれようとしている現在、戦前いやもしかしたら大陸文化が日本に入って来る前の縄文時代にまで遡らないと、そのルーツを発見できないのかもしれない。戦後アメリカのGHQにより導入された愚民政策にまんまのっかって、ついには他国に日本を売り渡す工作までしでかすほどに腐敗した政治家・官僚の振る舞いは、怒りを通りこして可哀想になるぐらい惨めに思えてくる。

しかし、亡国が近づいてくるとなぜかアノミーとしての保守勢力が活気づいてくるから不思議だ。トランプの大統領返り咲きをはじめとする先進国における右派の台頭、そして、リベラルパ翼勢力と共に世界のグローバル化=共産主義化を目論んでいた中共の崩壊がここに来ていよいよ現実味を帯びているのである。(日本に逃げてきている中共や人民解放軍関係者以外の)一般中国人は共産党ならびに地方政府への依存を諦め、すでに自分たちだけの相互扶助システム構築を国内で模索しはじめているという。

何をいいたいのかというと、もう国家や大人は頼りに出来ないと、多分子供たちは直感的に気づいているのである。少女殺しの母親(根岸季衣)は、殺人動機を孤独への復讐と語る犯人への差し入れを差入屋(丸山隆平)に催促するだけで、親としての責任を直接果たそうとはしないし、差入屋が犯人と刑務所で面会していることを知った少女の同級生の親たちは、全く関係のない差入屋の奥さん(真木よう子)をハブすることで溜飲を下げる始末。やりばのない怒りをみんな誰かにぶつけたくてしょうがないのだ、植木鉢を割り続ける匿名犯のように。

唯一、(方法論としては間違っているのかもしれないが)売春を強要されていた少女の敵討ちをしてあげたヤクザ(岸谷五朗)だけが、まっとうな大人としての責任を果たしたとはいえないだろうか。言い換えるならば、自分の保身しか考えていない大人たちがあまりにも多すぎる我が日本なのである。大地震や太陽フレアに大津波、そして第三次世界大戦….日本はそれらカタストロフィが起こる以前に滅びかねない状況になりつつあるが、大人に依存することを止めた子供たちの協調によってまたいつか復活する日が来るのかもしれない。

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かなり悪いオヤジ