「軽やかに 地に足を踏みしめて」サンセット・サンライズ はたはたさんの映画レビュー(感想・評価)
軽やかに 地に足を踏みしめて
Netflixで視聴
震災を宮城の田舎で過ごし、コロナ禍を東京で暮らした人間なので前から見たいと思っていた作品。
震災が残した傷からの再生とコロナ禍という特殊な状況を詰め込むのはどちらも中途半端にならないかな?と思ったけれど、そこはさすがの宮藤官九郎。
キャラの立った地元の人々の交流をユーモラスに描き、軽やかに重苦しさを感じさせないままに、傷跡と一筋縄ではいかない回復の難しさを物語に落とし込んでいた。
地元である東北の好きなところ(自然の美しさ、方言、素朴な温かさ、魚とお酒の美味しさ)を魅力たっぷりに描きつつ、苦手だったところ(噂がすぐに回るところ、やや卑屈なところ、結婚をゴールとするところ)もよく表れていて、単に素朴で温かい田舎のテンプレートの一つとなっていなかったのが好感。土地をよく見てくれているなあ。
人も土地も、良いところだけじゃない。鬱陶しかったり、こんなところ…と思ってしまう時もある。
何かを失ったことのある人は、それを失いそうになった時に綺麗な面もひなびた面も何一つ手放したくない思いに駆られる。
それでも、いつかはこの世の誰からも忘れ去られる思い出を握りしめて、梁を新たにする必要がある。
古民家再生というのは、そんな意味もあったのかもしれない。
(「思い出のアルバム」は100%泣いてしまうからずるいよ、、!)
それにしても井上真央さんかわいかった。苦しそうな顔や不機嫌な顔も素敵。池脇さんは地元にこういう中年女性いるいる!!だったし三宅くんもあんなにお綺麗なのになぜかあの役が似合ってた笑
田舎民がよそ者を気にするのはいつものことなので、主人公がフルリモで引っ越してくる以外コロナ禍の必要性がやっぱりあまり感じられなかった。
その描写をカットしてコンパクトに収めるか、時間と世情と人間関係に膨らみを持たせて連ドラ的に見たい気もするかも。
色々な思いが込み上げて、宮城に帰りたくなりました。