「悪くはなかったが」サンセット・サンライズ ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはなかったが
面白かったけど、ちょっと惜しい気がします。
横浜流星さんの「正体」は、リアリティが無くツッコミどころが沢山あるものの、テーマがはっきりしていたので、感動を求める人に勧められる映画と言えました。(私は感動はしなかったんですが、横浜流星さんの演技に感心しました)
それに対して本作は、どういう映画かを説明するのが案外難しいです。クドカンの脚本で、コメディには違いないです。内容を要約すると、
釣り好きのサラリーマンがリモートをきっかけに東京から三陸にお試し移住し、そこで、
①東北の人々の素朴な温かさに触れて、疲れた心が癒された、ではないし、
②憧れの釣り三昧の田舎暮らしを始めたが、田舎には田舎の抱える問題があることを知り…でもないし、
③運命的な出会いがあった、でも彼女には悲しい過去が…やっぱりこれになるんでしょうか。
それにしては、ちょっと品が無いんですよね。もっとハートフルコメディにした方が良かったと思います。いかにもクドカンらしい笑いが散りばめられているんですが、「モモちゃんの幸せを祈る会」や池脇千鶴さんのおばちゃんキャラが暑苦しくてうっとうしいです。逆にもっとギャグ寄りの作品だったら許せるんですが。
お薦めポイントも勿論あります。三陸の海の解放感、美味しそうな魚料理の数々、菅田将暉さんの釣り竿さばきはサマになっていて、井上真央さんは綺麗でした。
ただ、本作を観て、三陸に旅行に行きたいとは思っても、住んでみたいとは思わないですね。お父さんと茂子さん以外の人物があまり魅力的には描けて無かったです。
脚本と演出がかみ合っていなかったかも。