劇場公開日 2025年1月17日

「コメディ演出が噛み合ってないような…」サンセット・サンライズ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0コメディ演出が噛み合ってないような…

2025年1月23日
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鑑賞方法:映画館

コロナ禍で東京から三陸にお試し移住して、テレワークしながら釣り三昧するという、今で言う「ワーケーション」の先鞭を付ける設定。
震災をベースに置きつつ、あえて深刻ぶらずに、コメディ調で一貫しているのに好感が持てる。三陸の海の幸、山の幸がふんだんで、観ているだけでお腹が減るし。ソーシャルディスタンスとか、自主隔離とか、今となったら滑稽に見えるね。
しかし、人間をじっくり描くのが得意そうな岸善幸監督としては、コメディ演出がどうも噛み合ってないような感じ。居酒屋のシーンとか、セリフのやり取りは面白いはずなのに、なにかもったりして弾まない。編集も自分でやっているが、全体的にカット尻が長いような気がして、それで物語がうまく転がっていかないように感じたのかも。
菅田将暉の明るさと軽みは、物語にうまくハマっている。井上真央は久々に健在ぶりが見られて嬉しい。脇役には芸達者が揃っているが、中村雅俊と白川和子のハマり方はさすが。池脇千鶴は別人かと思った。
芋煮会での竹原ピストルの言葉が、「東北を忘れないで」という作り手たちからのメッセージと受け止めた。タイトルの意味も含めて、この作品を今届けたいという思いは伝わった。

山の手ロック