「🎵スワ〜ノボリ〜」サンセット・サンライズ AMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
🎵スワ〜ノボリ〜
地震やコロナ、あの頃はいろいろあったなぁ。
遅ればせながら、最近ようやく後ろめたさを感じずに、当時の話ができるようになってきた気がする。風化したわけではないのだろうが、その過去が受け入れられるようになってきた証だろうか。
そんなに昔の話でもなく、最近でもない。そんな感覚を物語にしたような映画で、観賞後の清々しさは、ちようど、このタイミングでないと味わえないのかもしれない。
特に芋煮会での西尾さん(菅田)と居酒屋のケンちゃん(竹原)のやりとりが印象的。「外の人間は、その(被災の)話をされると、どうしていいかわからなくなるんだ」「見ててくれればいいんだ。(忘れないで)たまに見に来てくれればいい。美味しいものいっぱい用意して待ってっから」
311の地震で自分は千葉で被災したものの、程度も重くはなく、東北の有り様を見るにつけ「それよりは良かった」という気持ちが、どこか後ろめたさとしてつきまとった。被災後も、あの時は大変だったと口に出しかけたところで、言葉を呑み込む事が多かった。過去は消えないし、それに対して当事者以外が本質的に何かすることはできないけど、「見ててくれればいい」というのは、被災した人にも、応援する人にも、とても優しい言葉だと思う。
映画としては、全編軽いタッチなので、重くならずに観られる。劇中、至る所で食べるのシーンがあるのだけれど、どれも、孤独のグルメより食事が美味しそうでした。
中村雅俊の鼻歌「スワノボリ、スワスズム(日は昇り、日は沈む)」が、じんわりと効いてきて、なかなか頭から離れないのです。
総じて観て良かった一編です。