「知らないことは怖さであり、それはイメージになる」サンセット・サンライズ サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
知らないことは怖さであり、それはイメージになる
2025年劇場鑑賞5本目 優秀作 74点
半年近く前から菅田将暉主演でコメディ感ある特報と共に、盤石な彼が作品を選べる立場ながら出演を決めた位には秀逸な作品なのだと期待を膨らませて公開の日まで楽しみにしていた作品
個人的には菅田将暉の集大成とも取れるほど、今までの彼の特色を総合的にレベルアップされたような、新たな代表作が生まれた瞬間だと感じた
家賃6万という都会住みの人からしたら事故物件なのでは無いのかと疑ってしまう認識の違いと知識不足が菅田将暉と井上真央お互いのチャットでのやり取りや出会いの第一印象から露わになっており、菅田将暉の若者都民のSNS紛いの構文に対する、年代や感覚、環境のギャップを感じ不信に思うも、悪意ある悪気では無いのだと容認し、社会情勢を鑑みながら受け入れる姿勢を持っていた井上真央は物語冒頭から今作のテーマを先に体現していたように見える
彼も彼なりに都会の淡白さというかどこか拭えない寂しさのようなものから、大地から伝わる人と街の温もりのようなものを求めるようになり、コロナ禍でリモート業務をいいように地方移住を試みるのも頷ける
チャットの文面や初対面の言動、思い立ったら飛んできたり、人目を盗んで沖へ釣具を担いでいくなど、どこかで何度も見たような菅田将暉の飄々さというか、地に足がついていない感じが、多く出演作を鑑賞してきた人はもれなく早速に心を掴まれる
次第に道中で顔を合わせることが増えたおばあちゃんや魚を酒に変えてくれる居酒屋にいる店主と常連3人、近所のおじさんや井上真央と亡き旦那(?)の親父など、この街に住む人達からすると得体の知れない、流行りの病が集中していると言われている東京から身を弁えず現れた人物に良い思いをする人は勿論おらず、煙たがられるも、直接的に多くかかわらなくても彼の素行含め行動を日常といして散見するにつれて、彼の人柄もあってか次第に受け入れられていく
これはこの街の人々の寛大さがあってのことは勿論だが、町おこしの意味も作品が進行するにつれてそれを意識していることが同時に描かれていことから溶け込んでいく
これも冒頭の彼の飄々さに加え人たらし感が今まで菅田将暉が演じてきた人物像に通じるらしさが伝わる
居酒屋の常連3人のファンクラブ(?)や職場の同僚の女性のおかげもあってか、井上真央のアイドル感が顕著で、一層お顔が可愛く美しく見えたのは勿論、所作や言葉の節々の品性など、作った男受けのようなものでなく、若くから美人ゆえに形成されたであろう美女の雰囲気がこれ演技なんだったよな、そうにしか見えないなぁと感心し、マスクを外しスローモーションに流れる菅田将暉の眼差しは言わずもがな説得力のある感情表現でした
上映時間約2時間20分と長編であるが、昨今の言語化された事象をふんだんに盛り込んでいて、まとまりきらない部分も多少あるにはあるが、良い締めくくりと深みのあるドラマに見応えと感動がありました
どうやら興行がふるわなかったそうで、個人的には綺麗はお顔でマルチに活躍しており、キムタク、小栗旬、の次の世代を代表する筆頭俳優だと思っているし、この認識はとりわけ外れていないと思うが、菅田将暉が意外とアイドル的な人気がないのか、はたまた今作の予告や売り込みが現代ニーズにそぐわなかったのか、映画ファンは高評価もその域を越えマス層にまでは響かなかったのが、今作の出来に感動している身からすると大変残念でならない
是非