劇場公開日 2025年1月17日

「なんで、釣りが好きで、空家物件探しに来ただけで、こんなに切ないんですか?」サンセット・サンライズ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5なんで、釣りが好きで、空家物件探しに来ただけで、こんなに切ないんですか?

2025年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

えてして、震災を扱った三陸が舞台の映画は、後悔や怒りややるせなさに溢れてて、それはそれで現地はそうなんだろうけど、ずっとそれじゃ辛くない?っていつも思ってた。外部の人間がわかりもしないで、と返されても、それを振りかざされたらこちらは反論のしようがない。だって実際そうなのだから。だから正直、またこの手の映画か、と見くびっていた。たしかに竹原ピストル演じるケンちゃんはじめ、地元の人間たちの諦め感と都会者へのやっかみに賛同はしない。肝心なのは、そこに交り込んでいく都会者の資質だろう。その点、菅田将暉演じる西尾の無邪気さが土地の者たちの救いになった。力を抜いたようにみえる菅田将暉の演技が、とても自然体に見えた。そりゃ、いままで卑下していた自分たちの故郷を、こうも肯定し賛じ笑顔を振りまかれると、悪い気はしない。前向いて生きようと思えてくる。たった一人のポジティブシンキングが周りをも明るくさせてくれた。さすがだよ、クドカン。
映画のタイトルは、サンセット・サンライズ、じゃなくて、サンライズ・サンセット。そう順番は、陽が沈んでも、また昇る。映画を観ながらそれが言いたいんだって、何度も思いながら彼らの幸せを念じていた。

栗太郎