劇場公開日 2025年1月17日

「近過去のお話」サンセット・サンライズ 邦画好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0近過去のお話

2025年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

 物語は2020年1月のダイヤモンド・プリンセス号の映像から始まります。要するに日本が本格的に「コロナ禍」に見舞われる頃ですが、たった5年前なんですね。しかしこの5年はその人その人にとってめちゃ長かった5年でしょう。コロナが5類になったのが2023年5月なので、3年4ヶ月の間感染に気をつけて・・・っていうか、正直言えば最初の1年ほどがめちゃ神経質になっていたような気がします。もちろん現在でもコロナ感染する人はいますし、私の回りでも2024年1月の時点でコロナ感染者がいました。
 現在でもインフルエンザを含め、感染症対策を行っている人も大勢いるのであまり笑うこともできませんが、物語の始まりは東京から来た主人公に対し、宮城の海辺の町に住むヒロインを含む人々は「よそ者」に対するバリケードが非常に強かったことが笑えるようになればいいと思います。後の時代に生きる人に「他府県ナンバーの車に対してめちゃ攻撃的だった」なんて話が「なにそれ」なんて笑われるようになればいいですね。
 舞台の宮城県ではコロナ禍の前の「東日本大震災」の爪痕がまだまだ残っていますし、ヒロインは自分の大切な人たちを亡くしてからまだ9年しか経っていないというところもこの作品を見る上での必要なことかもしれません。
 ヒロインを取り巻く面々はクセが強いんだけど、基本的にはみんな優しい人たちで「被災地」と「非被災地」の温度差もテーマになっています。クドカンの脚本は相変わらずクドいですが、宮城県出身の彼にしか書けない脚本だと思いました。

邦画好き