遠い山なみの光のレビュー・感想・評価
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混乱の果てに残るもの
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロのデビュー作を映画化したヒューマンミステリー。途中から理解が追いつかなくなりつつも、「誰かが嘘をついているらしい」と気づき、最後は混乱したまま幕を閉じました。
わからなさが残りパンフレットを購入して知ったのは、イシグロ氏は5歳で日本を離れており、1950年代は幼少期の日本、1980年代はイギリスでの生活を重ね合わせて描いているということ。過去と未来を交錯させた表現なのかもしれません。
原作を読まずに鑑賞したので、次はぜひ小説で味わってみたいと思います。
一番の「嘘」は。
日本は「戦争」に負けたのか、「原爆」に負けたのか。
あれは「教育」なのか、それとも「洗脳」なのか。
日本から出て行った原作者の日本に対する考え方が色濃く出ている作品ではありますが、気付けばミステリアスに進行する物語に引き込まれ、いつの間にか主人公と同化して戦後の長崎を生きているような錯覚が味わえました。
最初、戦後の日本を生きる主人公広瀬すずさんが過去を回想する主人公吉田羊さんと同一人物に見えなかったのですが、段々と違和感がなくなり、広瀬すずさんの微かに笑う口元でさえ吉田羊さんに見えてしまいました。
更に物語がクライマックスへと近付くと広瀬すずさんは二階堂ふみさんへと「同化」していきます。
一番の「嘘」は一体何なのか。
読者の想像に任せている原作に答えは出るのか。
もう一度、劇場で確かめたくなりました。
1950年代の長崎、いろんなエピソード。時代そのものが主人公。
1950年代の長崎と、1980年代の英国の田舎。
原爆から復興していく中で、河原に住む母と子、アメリカに移住すると。
英国に渡った女は結婚して子を生す。
日本での旦那の義父は戦争中に教師で戦争推進したことを、教え子に非難され、納得いかない。 一応、 英国に渡った女の 半生を 軸にした物語だが、
いろんな 別々エピソードが 入る。
結局、 あの時代、価値観も 変わっていくなか 生きた。時代そのものが主人公。
当時の長崎と英国の情景も良い。
点と点が線で繋がる
遠い山なみの光
複雑でかなり難しいストーリー!
「考察」というより「想像力を膨らませる」という表現が似合う
今週の1作目はカズオ・イシグロ原作(エグゼクティブプロデューサーも務める)、石川慶監督・脚本という期待のビッグタイトル『遠い山なみの光』。この組み合わせから言って難解な作品であろうことは鑑賞前から予想していましたが、今回も前情報と言えば劇場で数回トレーラーを観ただけ。原作がAudibleで聴けます(課金なし/期間限定)し、U-NEXTで特別プログラム『謎めぐる旅〜映画『遠い山なみの光』を読み解く5つのヒント〜』も配信中ですが、少なくともこのレビューを書き終えるまではお預け。或いは、それらに手を付ければ再び本作を観直したくなること間違いなしであろう、期待を裏切らない良作でした。
舞台は1952年の長崎と、その時代を振り返る1982年のイギリスにおける、悦子(広瀬すず、吉田羊)という女性を中心にして描かれるヒューマンミステリー。日本人監督として、今やこのジャンルの名手と言っても過言ではない石川監督。いわゆる“商業映画”とは一線を画すようなアート性強めな作品性で、しっかりミステリーでありつつもその「謎」に対して、「考察」というより「想像力を膨らませる」という表現が似合う“作家性にあふれる作品”を世に送り出す、まさに当代きっての逸材。なお、今作も撮影は石川監督が映画を学んだポーランド出身のピオトル・ニエミイスキが担当していて、その美しい画から安定の信頼感と二人の相性の良さを感じます。
ちなみに本作、ストーリーとして「語られず、抜け落ちたままのピース」が少なくないため、中盤以降は「これ、終わるのか?」と不安すら感じることも。ですが、(ちゃんと集中して観てさえいれば)多くを語らずとも察しがつくような「いくつかの示唆」に気づき、終盤に至って「まさか」と感じつつ、どこかで「もしかしたら」と既に気づいていたような気もして、観終われば「然もありなん」と説明不要で素直に受け入れられるのです。いやはや恐るべき構成力。そして、久々の帰郷で顔を合わせる次女ニキとのやり取りに始まり、せがまれて「長崎にいた頃」を語るストーリーテラーを担う悦子役・吉田羊さん。ほぼ全般英語のセリフ、そして情感たっぷりな表情など大変に素晴らしい演技でした。
他にも、三浦友和さん、二階堂ふみさん、カミラ・アイコさん等々、名前を上げ始めたらきりがないほど印象に残る演技とシーンばかりなのですが、やはりこの人のことを言わずに終われない、、、緒方悦子役・広瀬すずさんには「堂堂たる存在感」を感じて本当に圧倒されました。ここ最近は、出演する映像作品が次々絶え間なく発表され続けていてその活躍は言わずもがな。ところが、私の好みとはちょっと違う作品ばかりだったため、彼女の作品を観たのは2023年公開の『水は海に向かって流れる』以来。すずさん、大人になったし腕も相当に上げましたな。。今作は賞レースも期待できるレベルの好演だと思います。こりゃ、再来週公開予定の『宝島』も観ないといけないかな。実にあっぱれで参りました。
記憶とは
原作小説を読んだ後のもやもやした後味が、スーッと晴れたような気持ち。
(新たな謎も生まれるのですけどね)
カズオ・イシグロがエグゼクティブプロデューサーとして名前を連ねているので、
この結末は作者も同意のことなのでしょう。
人は自分の人生を生きるために、理想と現実と空想と嘘のはざまをゆらゆらと漂うものなのかもしれない。
人生の終盤が見えてきた身として、吉田羊が演じる悦子の諦念にググッと惹かれるものがありました。何が真実だったのかは、もはやどうでもいい。のかもしれない。
二階堂ふみが美しい。そして、広瀬すずが圧巻。
年齢を重ね、人生の深みを演じることのできる俳優さんとして
これからも長くスクリーンで拝見したいと思わせる存在感のあるおふたりでした。
遠い山なみの光 〜ピカドンと未来〜
わからないことは、いくら聞いてもわからない。
イシグロ・カズオの映画はたぶん全部観て、静かで落ち着いていて、寂しさが残ると思っている。時の移ろいを描写してそこに心を残している。
あれもこれも説明は、いらない。戦争や原爆が人間のなかに落とす陰は消せるものではないらしい、今がどれほど納得がいく時であっても。
拾った猫を飼っている。4年も経って猫風邪はやっと治り、近所の黒猫とじゃれ合っている。拾って良かった。不思議なことに、猫に限らず人を幸せにできなかったことの後悔は深いように思う。人は誰かあるいは何ものかを殺して、生きている。
衝撃の脚本。もちろん幅広く読み込める原作なのでこのような解釈もあるのかもしれないが。
50年代の長崎と、80年代のイギリスでの2つの物語が並行して進行するところは原作と同じ。終盤まではエピソードがほぼ原作通りだったので、悦子を演じた広瀬すずと吉田羊は全然違う顔なのにこの作品では繋がって見えるな、これは広瀬すずが上手くなったからかな、とか考えつつぼんやり観ていたら終盤、驚きの展開となってしまった。
原作者のカズオ・イシグロがエグゼクティブ・プロデューサーとして加わっているので了解済みなんだろうけど2時間サスペンスドラマじゃあるまいしそれはあんまりではというのが正直な感想である。
もちろん原作自体にも若干のホラー色がある。そしてイシグロの描く人物は皆、輪郭が淡く、その来し方往く末がはっきりしない。具体的に示すと、佐知子と万里子がその後どうなったのか、悦子は二郎といつどのように別れたのか、景子はいつ生まれ、どのようにして英国に渡ったのか、それらすべては原作では靄の中にあって何も明らかになっていない(ちなみに連続幼女殺しの犯人も明らかにならない)。イシグロは、人が記憶を意図的に消失させたり改編したりすることについて語り、また若い頃に被爆経験があった人のキズを想定してこのようなストーリーを書いたものと思われる(ただし原爆そのものへの言及は慎重に抑えられている)
悦子と佐知子の関係はシスターフッドといったような甘やかなものではない。お互いに批判的でありながらも時代の併走者として強烈に意識し合っている関係である。でも、悦子はあくまで悦子だし、佐知子はあくまで佐知子。そして、彼女たちの娘はあくまでそれぞれの娘である。だからこのような混線した形で映画作品として収拾したかったのだろうけどそれはないんじゃないかと違和感がハンパなかった。
もう一つ、こちらは違和感としてはより小さいけど、三浦友和演ずる緒方さんと、渡辺大知演ずる松田重雄の対決部分。ここは戦前的価値観に依る教育者と戦後の教育者(端的には日教組と言って良い)の対決であって、イシグロはそれなりの比重を持って書いていたものである。映画では残念ながらというかまったく主旨が表現できていない。緒方さんが声を荒らげて雑誌を投げつける?何も理解できていないひどい演出である。そもそもこのスタッフでは難しいと思うので最初からカットしておいた方が良かったね。
広瀬すずさんと二階堂ふみさんの共演見ごたえあります
戦争を経験していない自分にとっては、すべてを理解するのは難しいですが、長崎で被爆し、その後イギリスへ渡った方の人生って、語りつくせないぐらい大変と思います。
その長崎パートを演じる広瀬すずさんと二階堂ふみさんの共演、とても見ごたえあります。共演というか、役者としてお互いのバトルと言いたくなるぐらいでした。最後に秘密が解かれ、なるほど・・・と、二人の関係性がわかると、余計にそう思いました。
イギリスパートの吉田羊さん。本当なら、もうちょっと長年の苦労が滲み出るような人になるのでは?と思いつつ、それをすべて自分の心にしまって、決して多くを語らない強さが表れていて良かったと思います。
しっかりと丁寧に作られた映画を観させて頂きました。
謎が解かれ謎が生まれ
なんだかなぁ
観る者の知性が試される
ミステリアス色で流れていく日常
タイトルなし
すずさんは最近はふみさん側の役が多かったけど、今回はこっちがよかった。ためがあり、すずさんの演技の幅広がった感。吉田さんは英語の発音は良かったけど、流暢にしようとして抑揚がなさすぎ。逆に英語は入って来づらかった。
松下くんはこういう役も器用にできるのだというくらい、うまかった。
三浦友和も難しい役。でもこれは脚本が良くなかった気がする。
石川はある男を撮った人だから、こういう題材に惹かれるのか。
原作と脚本の違いがわからないのだけど、この夢や幻想が錯綜する構成こそが、この映画の醍醐味。
長崎にまつわる不安やトラウマを描いたものとして逸品。
松下くんの指(これは映画で付け加わったもの)、箱、オムレツ(美味しそうだった)。
自分がインタビューした経験から、戦争を経験した人々は、世間的な性役割や規範化から自由になることを知っている。どうせ死ぬなら好きなことをやらせようと子どもに対しても。長崎のまちを見つめるすずさんにはその爆発的な力は弱かった。
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