劇場公開日 2025年9月5日

「思い出に「嘘」はつきものです」遠い山なみの光 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 思い出に「嘘」はつきものです

2025年9月8日
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鑑賞方法:映画館

カズオ・イシグロのデビュー作が原作である事以外の詳細はなるべく情報を入れずに観ました。
映画の終盤、稲佐山で佐知子が悦子に「わたしたちは似てるもの」のセリフでこの映画の謎が見え始め、ニキが母と景子の長崎での写真を見ることになり、悦子の「嘘」は何処にあるのか?をどうしても突き止めたくなり鑑賞後に原作本を購入し読ませていただきました。
映画は物語の背景や登場人物など基本的な部分は原作に忠実であり重要なエピソードもそのまま描かれていますが、戦後7年経過した長崎が舞台でもあり(終戦80年の節目でもあり)日本人が持っている戦争への後悔や傷跡をより表現する為、悦子のバイオリンのシーンで「私のせいなんですと」と涙ながらに吐露させたり、二郎も戦争で大きな傷を負った設定にされたとのことです(映画パンフに記載)。戦争シーンも原爆シーンも一切無くてもあらゆる背景やセリフで充分にこの映画が伝えたいことは観客は理解できます。
そして、問題の「嘘」は原作では悦子がニキに「あのときは景子も幸せで、みんなでケーブルカーに乗ったの」と思い出を話す時だけであり、それ以上の物語の解釈は読者に任せていた。
映画を作るにあたって石川慶監督は大胆にその解釈を悦子=佐知子にして表現してみせたのでした(もちろんエグゼクティブプロデューサーのカズオ・イシグロも納得して)。
監督が熱望した広瀬すずと二階堂ふみの「対決」は大正解でした。2人の噛みあわないような会話(原作通り)が映画の不可思議な雰囲気を醸し出しましたし、50年代60年代映画に出てくるツンとすました女優のような演技をこなした二階堂ふみが特に素晴らしかったです。又三浦友和(緒方)は渡辺大知(松田)と対峙するシーンで、戦時中「愛国教育」が正義と信じていた教職者の苦悩、葛藤を見事に演じていた。とにかく素晴らしかったです。スタッフ・キャストの皆さんの入念な仕事への取り組みがスクリーンいっぱいに表現されたと思います。観て良かったです!

アベちゃん
eigaeigaさんのコメント
2025年9月11日

アベちゃんさん、ありがとうございます😊
ニキの存在の解釈もいろいろありそうですね。
原作を読んでいないとわかりにくかったかな、読んでから観て本当によかったです。
映画がわかりにくかった方にもぜひ原作を読んでもらいたいです✨

eigaeiga
アベちゃんさんのコメント
2025年9月11日

eigaeigaさん、ありがとうございます。映画楽しめましたね〜

アベちゃん
アベちゃんさんのコメント
2025年9月11日

映画LOVEさん、コメントありがとうございます。
「あんぱん」のノブが愛国の鏡の教育者であったことをいつまでも悔いて、たかしと共に「逆転しない正義」を探し続けるように180度自分の思考を変えるのは大変だと思います。
当時を生きた何千何百万人の日本人のおかげで今があるのだと思います。

アベちゃん
eigaeigaさんのコメント
2025年9月10日

映画を観て原作を読まれた方と話したかったです。
ぬかるみ、どぶ、暗い夜の戸外は、悦子にとっての長崎を表し、しょっちゅう脱走する万里子は、景子であるとともに、悦子の自己投影なのではと思います。
そして、簡単だけど今から覚えるのは緒方さんには難しいオムレツの作り方は、軍国主義から民主主義へ考え方を変えることを指しているのでは…。
ニキも原作では影が薄く、悦子の現況を説明するだけの役割であるように見え、存在しないのでは…と思います。

eigaeiga
映画LOVEさんのコメント
2025年9月9日

こんにちは^ ^
原作未読で鑑賞してきました♬
戦後から直ぐの時代は生活するのも大変だったんだろうと想像出来ますが…其れ迄の常識が180度変わるのも受入るのも大変そうですねorz

映画LOVE
アベちゃんさんのコメント
2025年9月9日

トミーさん、ノーキッキングさん、りあのさん、コメントありがとうございます😊
本当に不可解なんだけど、めちゃくちゃ引き込まれる映画でしたよね。
映画観て、原作読んで、映画パンフ読んで、下手くそなレビュー投稿しても興味が尽きないので、
先程、U-NEXTが独占配信している「謎めぐる旅〜映画『遠い山なみの光』を読み解く5つのヒント」を観ました、。
更に色んな視点が広がってまいりました。2度目の映画鑑賞しようかな、と思っています、。

アベちゃん
りあのさんのコメント
2025年9月9日

共感ありがとうございます。
思い出に「嘘」はつきものです←おっしゃる通り。同意です。
どうしても自分の過去を美化しがちですよね。
そして、悔いてることは話さない。
なかなか奥深い作品でした。

りあの
ノーキッキングさんのコメント
2025年9月9日

共感ありがとうございます。
都合よくウソを思い出に定着させるのは、誰の脳内でもおきていることですよね。

ノーキッキング
トミーさんのコメント
2025年9月8日

共感ありがとうございます。
歯ごたえのある映画でした。自分が引き裂かれる程の苦痛、被曝の傷を美しく華やかなキャストが演じ、贅沢さも感じました。

トミー
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