「予想外のミステリー作品」遠い山なみの光 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
予想外のミステリー作品
まさかのミステリー作品で正直おどろいた。全くの予想外。
ある意味戦争映画なので、戦後7年の時代感、そこに残る差別、昭和の家父長制、
価値観を変えられない人と変わらなきゃと考えている人、
当時のキツさを感じながらも、広瀬すずと二階堂ふみの美さに見惚れながら
集中力を欠くことなく最後まで観ることができた。
悦子は佐知子であり、万里子は景子だった。
娘ニキに昔語りをする悦子だが、そこには自分の都合の良いように、
改変しながら話していたことがラストでわかる。
やはりニキが景子の部屋に入ってわかる事実が衝撃的だった。
映像の美しさも目を見張るものがあった。
CGをつかった擬似背景など違和感もあったが、
広瀬すずと二階堂ふみの演技がそれを凌駕していた。
もちろん、吉田羊、三浦友和、松下洸平も素晴らしかったのだが。
女性の力強さを感じる前向きな作品と捉えた。
なかなか出会えない風味の映画だ。
ミステリー的にはあまりにも情報が断片的で答え合わせができませんが、その分多くの考察ができるんですよね。
あの時代の日本で最も過酷な条件で生きざるを得なかったのは被爆した女性だったのだと思いました。生き延びるために、想像を絶する目に遭って、嘘をついたり記憶を改ざんしたりして自分を守らざるを得なかったのだろうと思いました。
悦子は保守的なイギリスではなく、アメリカに行きたかったのではないですかね。
悦子は娘の死に罪悪感を抱いてはいるが、日本を捨てたことに後悔はしていないと思う。後悔していない自分に、さらなる罪悪感があるかもしれないですが。
万里子は悦子が殺した。後になってそれを知った景子はイギリスに行った後で縊死した。というのが原作からは一番想定し得る結論です。映画はそこをショートカットさせちゃったんですね。
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