拳と祈り 袴田巖の生涯のレビュー・感想・評価
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チュウ、お前が造った目で私が見たものを、お前にも見せてやりたかった
半世紀生きてみて分かったが、ニンゲンには二種類のニンゲンしかいなくて、生まれついての魂が穢れた極悪人と、生まれついての清らかな魂を持った聖人しかいないのが分かった。
魂の穢れたニンゲンは、おそらく子どもの頃に愛されて育っていないので、悪意をもってでしか行動できなくてニンゲンを傷つけるのが、あたりまえ体操なので、出会う人全てを傷つけて挙げ句の果てに、寂しい末路に着く。
逆に子どもの頃に愛されて育ったニンゲンは、出会うニンゲン全てに喜んで欲しいと思い行動し、死んでもその功績を称えられ、死んでも人々の心に残り不死の存在になり神と成る。
20年にもわたって、袴田巌さんを追い続けた本作は、ドキュメンタリー作家にありがちな、監督自身が映像化したい対象者の画を撮るまで、しつこく撮る事はなく極めて自然体の袴田巌さんを撮影する事に成功する。これは信頼関係があるから出来る事で、
ザ・ノンフィクションのディレクターのように、オカマとオナベの夫婦の喧嘩を撮るまで、撮影をしないような愚挙は犯さない。
あんなに、酷い取調べをした警察官や、自分に死刑を求刑した裁判官に復讐する事もなく、恨み言も言わずに自分の無実を勝ち取る為に戦う袴田巌さんの何と男気のある事よ。袴田巌さんのお姉さんも恨み言を言わず粛々と裁判に立ち向かう。
俺がこんな目にあったら、ありとあらゆる手段を用いて裁判官や、警察官を死んだ方がまだマシだったと後悔させるまで追い込んで、奴等が死んだら、その墓の上で見よう見まねのタップダンスを踊ってやる。絶対にだ!
まぁ、確かに上映時間は長いが、無駄なシーンは1秒たりともなく、ドゥニ・ビルヌーブの「 砂の惑星」 「 ブレードランナー 2049 」 リドリー・スコットの「 グラディエーター 2 」 のような脚本と編集が下手糞なだけの映画とは大違い。
犯行の証拠とされた、味噌蔵にあった血痕がついた服は小さすぎて、袴田巌さんには着れない服なのに、それでも死刑を求刑する検察はいったい何を考えているのだろうか?酷い!酷すぎる!
此奴らは成敗しなければなるまい。奥崎謙三が死んじゃった今、成敗出来るのは....、俺か?
皆、知らなかったと思うけど、俺、実は心配無用の介なんだ!
俺は 何も信じない
俺は 誰も許さない
俺は 何も夢見ない
何もかもみんな 爆発したい
純白のメルセデス
プール付きのマンション
最高の女と ベットで ドン・ペリニヨン
欲しいものは全て ブラウン管の中
まるで悪夢のように
Money Money makes me crazy
Money Money changes everything
いつかこの手に つかむぜ BIG MONEY
I've got nothing nothing to los
カエル食って、真夏でも熱いコーヒーを飲むフレンチ野郎が作った「 動物界」 や、今作に限っては才能が枯渇した「 グラディエーター 2 」 なんか見なくて良いから、この傑作映画を見ようぜ?!本当にお勧めです。
ある程度事件の背景や予備知識を入れてから見る必要がある
この事件は自分が生まれる前に起きているため「袴田事件」という名前以外は詳細を知りませんでしたが先日ニュースで無罪判決やねつ造の話を見て、劇場予告で度々流れていたこの作品を見ることにしました。
とにかくこの作品、ある程度事件の詳細や背景を知らないと初めの方は本当に何が何だかわかりません。
なので、ずっと事件を追ってきた人向けのものなのかと思います。
そもそも映画にするために撮っていたものでもないのかもしれませんが。
それと大変失礼ですが袴田さんが何を言っているかよくわからないシーンも多く(話の内容ではなく滑舌的なことです)
字幕をもっと付けていただきたかったです。
なので、私個人として感じた感想としてはドキュメンタリー作品としてだいぶ不親切な作りになってます。少し前に公開されていたカレー事件の「マミー」の方がだいぶ見やすいドキュメンタリーだなと思ってしまいました。
あとは時系列がバラバラに流れていくので非常に見づらかったです。
2014年になったり2007年になったりなんなら80年代に戻ったり行ったり来たりします。
まず、こういう事件があってそこから現在に至るまでの活動の記録などが見れると思っていたので、そういうのを期待してる人は全くそういう感じではないので見る前に事件のことをある程度調べてから見るのをオススメします。
あとはこんなに長い時間にしなくてももう少しコンパクトにまとめられたと思います。
事件のことよりも袴田さんの釈放後の生活のシーンがとても多いです。
ま、でも事件の無罪になるまでのことではなく、あくまで袴田さんの釈放後の生活を主に映し出すもので作ったようですが。
作品に否定的なことばかり言うのもあれなので
作品を見て感じたことを書きますと
袴田さんは毎日の長時間の取り調べにより精神的に壊れてしまい、神だの金だのなんだのちょっと妄想めいたことを作中でたくさん言っていますがそれもあれだけ問い詰められ長時間拘束されたらそうなってしまいますし無罪となってもその精神的な回復、本来の彼の姿は戻ることはなく本当に検察の罪は重いなと感じました。
そんな中、彼は精神的な困難さを持ちながらもいまだに「戦い」ということを何度か口にしており、これは本当にそんな彼の人生をかけた戦いの記録なのだと思います。
それとやはりお姉さんのパワーが本当にすごい、いつだって明るく笑い飛ばし、きっとそうじゃなくとてつもない世間からのバッシングもあったはずなのにそういった悲しみを見せない強さ。
この人がいたからこれだけの時間をかけて最終的には判決を覆せたのでしょう。
弁護士の先生も最後の方は鼻に管をつけていて、戦ってきた時間の経過を感じました。
それと同じく海外で無罪を証明したボクサーの方と袴田さんが最後に会うことができていたらよかったのになと思いました。
あのボクサーの方のメッセージが本当に1番作中で胸に響くものがありました。
かなり体力を使う作品なのですが
こういった事実が日本の司法にあったということを我々は知らなければいけないと思わされた作品でした。
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