「せっかくの配役と設定なのに、演出が今一つで非常にもったいない。映画としては好きなだけに悔しい。」ゴーストキラー ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
せっかくの配役と設定なのに、演出が今一つで非常にもったいない。映画としては好きなだけに悔しい。
死んだ殺し屋の霊が、女子大生に乗り移って、さあ大変。
プロの技を使ってピンチを逃れたり、友達を助けたり。
いつしかバディ感も出てきて、果たして殺し屋は女子大生と協力して、恨みを晴らして成仏できるのか?
髙石あかり演じる女子大生と、三元雅芸の殺し屋工藤の二人の関係、かけあいと、もちろんアクション、それに加わる後輩の殺し屋を演じる黒羽麻璃央も、面白かったです。
特に、高石あかねが、この状況に翻弄されるだけではなくて、自分の考えで、殺し屋の霊とも対等に渡り合い、ときに先導すらするくらい。
このこと通じて、改めて自分自身を見つめ直す、取り戻していくところがいい。
それにしても、2代目のボスの人望の無さ、ついていかないのも当然…。
あと、高石ひかりのアクションがもっと観たかった。
この業界のマニアではないのでわからないので、本当に失礼で申し訳ないのですが、三元雅芸のアクションが凄いところが観れても、普通にしか感じない。
華もないし。(本当にごめんなさい。あと、香川照之にしか見えない。)
高石ひかりが凄いアクションを体当たりでやっているから凄い!と思うし、もっと観たいと思う。
華奢な女子大生なのに、大男をふっとばす、やられた方が驚く。悔しがる。
映像ではガタイのいい男2人が対等に渡り合っているように見えるが、本当は筋トレもしてない女子大生の体で普通に戦えるわけない。
その大きいハンデをどう工夫して埋めるかが面白いはず。
そういうところが観たくて、この映画を観にきていると思う。
それが描けていない。
だから、終盤に、工藤が霊なのに気を失って離脱してしまったとき、彼女自身の力で、一瞬男を頭突きで跳ね返すところが良かった!
高石を主演にして、こういう設定にしたのはそのためなのに、そのいいところが上手く出てない。
緩急が無い。
観客にもっとインパクトを与えて見せてほしい。
そこを考えるのが、アクション監督と本編の監督の違いだと思う。
せっかく、皆頑張ってると思うのに、本当に残念。
ほかにも、霊の殺し屋に、この先はイイこといてヒーローになる、と断言させる下りがとっても良かった。
けれど、その後で、これに対応する形にしてハッキリ描かれない、このエピソードを拾ってないのが、またもったいない。
クライマックスの後、結局、殺し屋が、知らないうちに居なくなってる(きっと成仏して)ところがよかった!
泣かせる会話とか、良い雰囲気で、臭いセリフを言ったりしながら、光りながら消えていく・・・なんてところがなくて、本当に良かったです!
さらに、さらに、最後、また弾丸を拾うくだりも良かった。
終わったと思ったらそうではなくて、そこからまた始まるのでした、と言う終わりでもよかった!
でも、そうならない。
それはそれで、サッパリしていて、爽やかに観終われたのでした。
観てるとき、観た後、これだけ色々思ったということは、イイ映画(惜しい映画)、好きになった映画だったと思います。
気になっていろいろ調べたんですがgohst killerで「幽霊の殺し屋」って意味にもなるみたいですが、英語ネイティブの感覚だと 「幽霊を殺す人(幽霊を葬る人)」 のニュアンスのほうが強くなるらしいです!