「女たちのプロジェクトが辿った「谷」について知りたかった」てっぺんの向こうにあなたがいる Yokoさんの映画レビュー(感想・評価)
女たちのプロジェクトが辿った「谷」について知りたかった
原案となった田部井淳子さんの著書は未読。
キャスト陣から想像した通りの「良い話」でした。
が、劇中に散りばめられたエベレスト登頂に至るまでのエピソードが面白すぎて、
なぜここにフォーカスを当てて作ってくれなかったのかと残念でならない。
女だけで資金を調達して、女だけで世界の最高峰を踏破する。
こんなビッグプロジェクトを成し遂げて、その後グループが瓦解していく様子を
なぜ克明に描こうとしなかったのだろうか?と不思議でならない。
(トラブルのために、登頂アタックから外された広江さん役の円井わんの押さえた演技が良かった。彼女が田部井淳子を演じる作品であっても良いのではないかと思ったくらいである。)
女が事業を成し遂げるとき、そこに立ちふさがる壁をいかに乗り越えるのか。そして、乗り越えられなかった女がどう生きたのか。
エベレスト登頂成功の陰に、夢を田部井ひとりに持ち逃げされたように感じた女たちがいたことに触れたのなら、もう少し踏み込んで描くべきではなかったのかと感じてしまった。
田部井夫妻の出会いのシーンの美しさや、
グレかかった息子さんが立ち直って母の意思を継いでゆく様など、
「良い話」に持って行きたい指向は理解できるけれど、
時代はそんなに悠長にラッキーな展開を夢想できるほど幸せですか?と思うのです。
むしろ、なぜ絆を結んだと思った友人たちと袂を分かってでも
先に進むパワーの根源を探ることの方が時代の要請ではないのかと感じた映画でした。
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