「女と男、プロデューサーと監督」ふたりで終わらせる IT ENDS WITH US 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
女と男、プロデューサーと監督
♪前髪1ミリ切り過ぎた午後、
あなたに会うのがちょっぴりこわい、、、
松本隆の「赤い靴のバレリーナ」
1ミリの繊細さを歌詞にした楽曲。
『ふたりで終わらせる』は、
感情と論理がミリ単位で繊細に交錯する作品であり、
ブレイク・ライブリーがその両方を巧みに表現している。
彼女の芝居は、微細な感情の変化を捉え、
視覚的に伝える力を持っている。
眼差しや一挙手一投足を通じて、
物語の中で絶えず変化する心情を伝えていく。
ライブリーの芝居の凄さは、
ただの感情表現にとどまらず、
その細やかな動きが観客に深い共感を呼び起こす点にある。
眼差しだけでも、
具体例を挙げると冒頭のシーン。
【実家の部屋を見る】
この一瞬に込められた感情の変化、
彼女は過去と現在、思い出と現実を前にして、
まるでその場の空気を飲み込むかのように静かな心の葛藤を見せる。
その視線の先にあるメモ、
5つの空欄、
単なる物理的な空間ではなく、
感情の膨らみであり、
観客はその繊細な変化、
過去に何か起こったに違いないと感じ取ることができる。
【花屋の候補地を見る】
【完成した花屋を見る】
主人公の感情が次第に膨れ上がり、
彼女の内面の不安や期待がじわじわとにじみ出る。
彼女は1ミリ→1キロ→∞、
それは単なる外面的な変化だけではなく、
心の中で揺れ動く複雑な感情を、
次第にその幅も広げていく。
映画全体を通して、
周りのキャストもまた、
ライブリーの繊細な演技に呼応するかのように細やかな芝居を見せており、
それが作品に一層の深みを与えている。
感情と論理が絡み合い、
最終的に一つの大きなテーマに集約していく過程を、
観客に強く印象づけるものとなっている。
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