劇場公開日 2024年10月4日

「フィクションとノンフィクションの狭間」ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5フィクションとノンフィクションの狭間

2024年10月15日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

ドキュメンタリーってのに、本編と同等の興奮と感動。こんなに感情が溢れ出るとは、思ってもみなかった。自分がどれだけこの作品が好きなのか改めて実感したし、キャスト・スタッフがベイビーわるきゅーれに掛ける思い、そして捧げる愛がどれほど強いかも知ることができた。もう一度、まひろとちさとに会いたい。そう思わせてもくれる、本当によくできた素晴らしいドキュメンタリー。ベビわるとしてだけでなく、1本の映画として、すっごく大好きな作品だった。

ゆるーいドラマは、ハードなアクションは、どのようして生まれたのか。「ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ」とうっているだけあり、これまでのベビわるのドキュメンタリーでもある本作。知られざる背景、壮絶な現場、俳優たちの真意...。奇跡に奇跡が重なったこのシリーズのリアルが、余すことなくカメラに写っていた。
ベイビーわるきゅーれ4を見ているかのような面白さ。現場もゆるーい笑いが沢山あって、2人を始めとしたキャスト・スタッフの会話にすごく癒される。ドラマパートを作っている阪本監督の人柄にもまた惹かれる。アクションパートになると一転。あんなに笑っていた現場とは思えない、緊張感で張り詰める空気。すごい眼差し。熱気がとてつもない。そのバランスが本編そのもの。こうやって傑作は生まれてるのか...。

とにかく構成が秀逸。
「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」の流れ通りに撮影風景、合間にインタビューが挟まれているためすごく見やすいし、おかげでナイスデイズをよりいい作品に仕上げてくれるものになっていた。ナイスデイズは必見。円盤の特別映像と思ってくれたらいい。だけど、ボリュームはその何倍も。
併せてみたい。そう思わせてくれるのは、ナイスデイズに込められたメッセージと、まひろ役・伊澤沙織とちさと役・髙石あかりの思いが、ピッタリ重なっているからだと思う。演じてくれて、作ってくれて、本当にありがとう。胸が熱く、いっぱいになって、涙が込み上げるほど刺さってしまった。

池松壮亮の役者としてのストイックさにも驚かされた。貰った台本の通り、監督の指導通りに芝居をするが、いつだって想像以上のものを見せてくれる。常に高みを目指す、しかもそれを見せつけない、自然な姿勢に惚れてしまう。アクション俳優ではないのに、アクションにもストイック。普段は会話劇、人間ドラマに出演しがちなのに、狂気的な殺し屋が求められたら、求められたもの以上の完壁な演技をしてみせる。また好きになってしまった。カッコよすぎる。仕事人として、本当に尊敬するばかり。「本心」も楽しみすぎる。

映画製作ってすごい。これだけの人、これだけの時間、これだけの労力をかけてようやく1本の映画が出来上がる。ベイビーわるきゅーれという作品だけでなく、この世の全ての映画に感謝と敬意を示したくなる、映画製作のドキュメンタリーとしてとても意義のある、最高の映画だった。
まひろとちさと。フィクションだけの世界と思っていたけど、彼らの関係性はノンフィクション。伊澤沙織と髙石あかりは、現実でもまひろとちさとだった。

サプライズ