「意外だったが、素晴らしいラストだった」ファーストキス 1ST KISS kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
意外だったが、素晴らしいラストだった
坂元裕二脚本、塚原あゆ子監督、しかもタイムトラベルもの映画となると興味しかわかない。
まぁ、実際はタイムトラベルの設定(過去のどの時間に戻り、現在のどの時間に戻るのか、そしてタイムトラベルする方法)が結構曖昧なのは残念なところ。でも、そこを厳密に考察するような映画ではないことは百も承知なのでそこは問題ではない。
大事なのは夫を救おうとする妻の奮闘と、その結果に感動できればそれでいいと思っていた。ある意味期待通り。何回も試行錯誤しながら過去を変えようとする松たか子と、「初めての出会い」を繰り返す松村北斗のやりとりをただただ楽しんだ。本来、死にかかわる話だから深刻になりがちなのだが、そこを少し面白可笑しい会話にしてしまう脚本が素晴らしい。やはり坂元裕二さんはすごい。そしてクライマックスだ。これはちょっと意外なものだった。え!?そうなの!?と拍子抜けしてしまったくらい。でも、最後まで観ると、いや、これでよかったんだと思えてくる。過去を変えようとした未来の妻の思いを受けて、夫は自分の未来をどう変えていくのか。その思いに涙を抑えることができなかった。そしてちょっとした伏線回収もあるラスト。本当に素晴らしいラストシーンだった。もう手遅れな人たちもいるかもしれないが、パートナーと2人で観たら関係性が少し変わる(元に戻る)んじゃないか。そんなことさえ妄想できる映画だ。
最近のドラマや映画では、出演している俳優の過去の姿(子ども時代は無理だが)を、若作りさせた本人に演じさせる傾向にある。若さの演出に若干無理があると感じるときもあるが、本作は完璧だった。松たか子の15年前の姿が本当に若く見える。15年前に自分たちが観ていたあの時の松たか子がスクリーンに甦ったかのよう。だから、歳を重ねた松たか子も、若い松たか子もどちらもちゃんと魅力的に見えた。松村北斗が歳を重ねた松たか子に恋していく流れも違和感がない。あの技術(CG?)は他の作品でもスタンダードになってほしい。
>もう手遅れな人たちもいるかもしれないが、パートナーと2人で観たら関係性が少し変わる(元に戻る)んじゃないか。そんなことさえ妄想できる映画だ。
仰る通りだと思います。本作のような作品を一緒に観ることで、
自分達の関係性を客観視&共有することができると思います。
出会った頃と今の違いがよく分かると思います。
私も、カミさんとの関係性、特にコミュニケーションが減少傾向ですので数年前から料理を始めた次第です。