「私はかつて、松たか子と結婚するつもりだった」ファーストキス 1ST KISS ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
私はかつて、松たか子と結婚するつもりだった
春先までの新作の中では、期待度はナンバーワンの作品だったので、
1週目で鼻息も荒く鑑賞。
うむ、良かった。似たような作品だと、
「アバウト・タイム 愛おしい時間について」のような、
恋愛モノをイメージしていたが、概ね間違っていなかった。
主人公がタイムトラベルを繰り返し、死んだ夫を死なないように、
過去を書き換えようとするお話。
良かったという感想だったが、当初のイメージよりも刺さらなかったのは、
これは、倦怠期を迎えた夫婦やカップル、
離婚、した、しそうな夫婦を第一ターゲットにしている分、
自分がそのターゲットに、該当してないせいだろう。
心が離れている二人が、タイムトラベルを繰り返すうちに、
再び恋をする、障害や試練が訪れる、真相を知る、
それを受けてどう行動する、
というのが物語の本筋。
凄く感動的な本筋だが、自分の場合、
話の「本筋とは別のところ」で、刺さってしまった。
それは、
「かつて自分は、松たか子が大好きだった」
という事を、思い出してしまった部分である。
大学のサークルで、部員のプロフィールを載せたしおりを作った際に、
「好きな芸能人」という項目に「松たか子」の名前を、
迷う事なく書いていた昔の記憶を、
思い出したのだ。
私は、松たか子が大好きだった。
「ひとつ屋根の下2」に出てた時に、松たか子の存在を初めて知り、
「四月物語」で、松たか子に惚れてしまい、
「お見合い結婚」で、松たか子が理想の女性の座を、
私の中で不動なものにした事を、
はっきりと思い出してしまったのだ。
とりわけ、「四月物語」の松たか子は衝撃的だった。
ちょうど、私が大学生になった年の映画で、
大学生になったばかりの、女性を演じる松たか子の、
あの何とも言えない、育ちの良さからくる品の良さ。
それ以来、松たか子みたいな彼女を作るんだ!と意気込んだが、
大学のキャンパスのどこにも、
松たか子はいなかった。
ふざけんな、授業料返せと、ブチ切れたもんだ。
そこからず〜っと松たか子が、
好きな芸能人ランキングの1位を、数年連続で獲得する事になる。
ちなみに普通は、松たか子と言えば、
「ロングバケーション」が起点だろと言われそうだが、
キムタク嫌いで観なかったし、
「ラブジェネレーション」は、キムタクに対して嫉妬で狂いそうになるから、回避した。
他の男性俳優なら我慢できるが、
キムタクだけは、我慢できる自信が無かったのだ。
それは当時、松たか子よりも前に、
好きだった宮沢りえや高岡早紀が、
真木蔵人と共演し、嫉妬で頭が狂いそうになった時の、
教訓からきている行動だ。
そんなランキング1位の年が続き、
「お見合い結婚」では、松たか子に似た女性を探す事を諦め、
松たか子本人と、結婚するつもりの域に到達した。
もう、松たか子なら何をやっても許せる。
セツコさんという役名で、
確かタバコを吸うシーンがあったと記憶しているが、
セツコさんが吸ったタバコなら、食えるぐらいの、
覚悟はできていた。
むしろそれは、私にとって、ある種のご褒美のようなものだ。
きっと気持ち悪い男にみえるだろう。
でもそれが真実だから、しょうがない。
だって恋は盲目なのだから。。。
しかし、、、
別れは突然やってくる。
あの、松たか子が、結婚してしまったのである。
福山ロスだの西島ロスだのと、
のちに言われた「●●ロス」と呼ばれる新語よりも、遥かに前に、
私は「松たか子ロス」を味わってしまった。
それ以降、松たか子への想いは、
急速に萎んでいくことになる。
そして、今作を観る直前まで、自分は松たか子に、
恋していた事すらも、忘れてしまっていたのだ。
それを、松たか子が、夫にかつて恋していた頃を、
徐々に思い出し始めるのと、同時進行で、
私もかつて、松たか子に恋していた頃を、
徐々に思い出してしまったのである。
そういう意味では刺さってしまったのだが、
物語の、夫や妻といった対象の、本筋とは異なるので、
感動的ではあっても、やはりどこかで、
他人事の恋愛ストーリーになってしまった。
どうして私は松たか子と、結婚できなかったのだろう。
タイムトラベルの力で、どうにか1998年に、
戻らせてくれないだろうか。
いや、タイムトラベルではなく、
やり直しが効く、タイムリープじゃないと駄目か?
でも、答えはなんとなく分かっている。
私は松たか子と結婚できる前に、
きっとストーカー容疑で、
前科者になっているだろうと。
俳優は無理でも、最低でも芸能業界に入らないと無理だ。
マネージャーかなあ。無理そうだなあ。
やれやれ、来世に期待するか。
良かった演者
松たか子
松村北斗