「嫌なら出ていったら(と言ってはいけませんかね)」嗤う蟲 KaMiさんの映画レビュー(感想・評価)
嫌なら出ていったら(と言ってはいけませんかね)
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田舎暮らしにあこがれて移住した夫婦に襲い掛かる、村社会の恐怖のお話。
しかし「最初はよさそうだった村が、一歩踏み込んでみると…」ということではなく、最初から違和感、異変だらけ。これではお化け屋敷のように次々と驚かせるばかりで、物語の起伏がなくなってしまう。
そもそも夫婦がどうして田舎を選んだのか。「#田舎移住」のSNSを投稿するだけでは動機として薄すぎないか。村にこだわる必要はなく、おかしいと思うなら出ていけばいいでしょうと思ってしまった。
村が抱えている事情も拍子抜けで、悪い人が悪いことをしているという単純な話に見えてしまう。立派に伝統を守っている裏にはこんな非合理がある、みたいなギャップが欲しいのですが。
揃いも揃って薄い人物しかいないので、ブラックユーモアとしては面白いかもしれない。ただ、そこで描かれるリンチ(「いじめ」と言って済ませたくない)はさすがに後味が悪かった。
深川麻衣さんはドラマ「彼女たちの犯罪」や「サワコ」で、キャリアを守るために道を踏み外す女性を好演しており、本作の人物像にリアリティがないのは惜しまれた(イラストレーターとしての地位を積み上げてきたらしいけど)。その深川さんをはじめ一同の怪演技には拍手。次作に期待したい。
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