「【”閉塞感溢れる共助の村。”今作は異様に不穏で物凄く気持ち悪くてどんどん嫌な気持ちになる作品です。”この作品を気に入った私は○○吸いすぎですか?””ハイ、そうです、逮捕します。””ありがっさま!”】」嗤う蟲 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”閉塞感溢れる共助の村。”今作は異様に不穏で物凄く気持ち悪くてどんどん嫌な気持ちになる作品です。”この作品を気に入った私は○○吸いすぎですか?””ハイ、そうです、逮捕します。””ありがっさま!”】
ー 私は、若葉竜也さん出演作に外れなしと思っている。
更に、城定秀夫監督作品は、ほぼ好きである。
世間的には「アルプススタンドのはしの方」や「愛なのに」等の評価が高いが、「性の劇薬」なども映画館の椅子から仰け反った程ナカナカだと思っている。(但し、あるレビュアーさんからは、”配信で観ようとして、即消した!”と言われてしまった・・。)
そして、今作も大変に気に入ったのである。ー
■脱サラして愛知県の東三河(多分)の田舎に移り住み無農薬栽培を始めたテルミチ(若葉竜也)と、イラストレーターの妻アンナ(深川麻衣)。
夫婦別姓の表札を、新しい家の門柱に掛けて、希望に溢れて住み始める。そして、村を仕切る田久保(田口トモロヲ)と、妻(杉田かおる)に挨拶に行き、歓待される。が・・。
◆感想<Caution!内容に触れています!&物凄く嫌な気持ちになったシーン>
・田久保の一見爽やかな笑顔が気持ち悪い。で、そこからのミツハシ(松浦裕也)に対する陰湿な数々の苛めの際の表情のギャップ。ミツハシへの村人たちの苛めのシーンも嫌だなあ。と、気持ち悪い三河弁らしき言葉。
ー 確かに、手筒花火は豊橋の奇祭だが、ハッキリ言って、アンナ三河弁はない。が、妙に作品の雰囲気に合っている。ー
・村人たちのミツハシに対する苛め(子供が出来ないよそ者だからだろうか。)が原因と思われるミツハシの妻(片岡礼子)の幽鬼の様な表情と、黙々と花壇に水やりする姿。
・村人たちが宴会で、テルミチ夫婦に早く子供作れだの、同じ姓にしろだの言って来る所が物凄く嫌!テルミチ、夫だったら怒れよな。あー、苛苛する。で、アンナの顔も怖い。
・田久保の妻がテルミチの家に、ズカズカと入って来てテルミチ夫婦に漸くできた赤ちゃんに勝手にミルクを飲ませる所。私は男だが、凄く嫌!やめてくれ!
・村の集まりでテルミチ夫婦に矢鱈と食べ物を勧めたり、酒を無理やり飲ませるシーンも嫌だなあ。
ー で、テルミチは田久保の計略に嵌り、道路に”寝ていた”ミツハシを轢くシーンも嫌!けれども、そのからくりが後半に描かれる所は、田久保の人間としての嫌らしさが良く分かる。で、テルミチ、断っていたハッパの栽培をする事になる。嫌だなあ。-
・テルミチ家の空に、矢鱈とカラスの群れがぎゃぎゃーと鳴いて飛んでいるシーンも嫌。で、ミツハシの葬式の後に妻はテルミチ夫婦の家の前の木で首を括る。
<けれども、田久保に村に取り込まれた情けないテルミチが、手筒花火の大花火を任されるシーンと、その前にアンナが密かに行っていた事は中々でした。
そして、テルミチが逃げようとしたアンナの脚に縋りつく田久保をハンマーで、殴り殺してアンナを逃がすシーンからの、夜道に車を運転しながらアンナが浮かべた気持ち悪い笑顔。あれは、ダラシナイ旦那と村を壊滅させた満足気な表情だろうな。
彼女の車と逆方向に走って行く多数のパトロールカーが擦れ違うシーンは、シニカル極まりないシーンでありました。>
三橋夫妻は、子供が“出来なくなった”ことが大きいのでしょうが、同年代以下の村人にも子はいない。
となるとやはり、(村に利をもたらさない)余所者に厳しいのでしょうか。
最後、輝道を連れて行ってくれたのは少々意外でしたが、杏奈の表情からして服従の日々が待っていそう…