「【母を失った喪失感を、母の肌に触れるが如く、様々なモノに触れる事で癒し、再生する少女の姿を静謐なトーンで描いた作品。】」ふれる NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【母を失った喪失感を、母の肌に触れるが如く、様々なモノに触れる事で癒し、再生する少女の姿を静謐なトーンで描いた作品。】
ー この作品では、見る側に与えられる情報量は限られている。ー
1.冒頭、女の子(鈴木唯)が、姉と思われる女性との墓参りのシーン。
2.父の新しい恋人と囲む食卓で、女の子が母のモノと思われる食器を出してしまい、父がその皿を取り換えるシーン。
3.女性教師が、訪ねて来るシーン。⇒女の子が学校に行っていない事が分かる。
4.女の子は、陶芸家の工房に出入りし、生渇きの陶器を触り怒られる。何度もやっているらしい。けれども、陶芸家は女の子に優しい。
5.姉は家を出る事を女の子に告げ、父と共に墓参りをする。険悪な雰囲気はない。
6.父と恋人は、女の子と新しい土地に引っ越す事に決める。引っ越しの車内から手を出し風を受ける少女の顔は、何だか少しだけ大人になったみたいである。
<幼子を育てた経験がある方は、実体験している事だと思うが、幼子は興味のあるモノは口に入れ、触り、時にペンで落書きをする。
私も、コンタクトを齧られたり、大切な本に落書きをされたが、それは幼子の成長過程では普通の事である。そして、その過程を通して幼子は、様々な事を学んでいくのである。
今作の女の子は、幼子ではないが母を亡くした事で、心に深い傷を負っていたのだろう。そして、様々なモノに触れる事で、その喪失感を乗り越えていくのだろうな、と思った作品である。>
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