劇場公開日 2024年11月22日

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海の沈黙のレビュー・感想・評価

全158件中、1~20件目を表示

3.5芸術は美の上に美をつくらず、美の下に美をつくらず

2024年11月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

水曜サービスデーの本日は、あの「北の国から」で有名な巨匠・倉本聰さんが長年にわたって構想したという渾身の作品「海の沈黙」をチョイス。

まず、言わせて欲しい。
主演の本木雅弘さん、私らの世代からすれば、シブがき隊のモッくんですよ。ほんでもって、メインの女優さんは、小泉今日子さん。なんてったってアイドルのキョンキョンですよ。懐かしい〜😘この共演をスクリーンで観れただけで、まず眼福🙄ガチアイドル出身のお2人を支える面子がまた豪華!中井貴一さん、仲村トオルさん、萩原聖人さんなどなど、渋おじイケおじのオンパレードでございます。役者さんのお顔に刻まれたシワに侘び寂びを感じる歳になりました。自分もおんなじ様に歳をとったのね〜。

観終わった率直な感想ですが、
ひと言でいうなら、
「わかるわかるんだけど、惜しい!」
かしら。

こちらの作品、2時間の映画で終わるにはあまりに惜しい!秘められたことが多すぎてモッくんとキョンキョンの恋に関しては、全く感情移入できませんでした。数話完結の連続ドラマで観たらもっと面白くなっただろうなぁと思わずにはいられません🤔

とはいえ、
映像の美しさや渋おじたちの重厚な演技などなど、見どころは満載!
生成AIが簡単に芸術をも凌駕しそうな昨今だからこそ観ておきたい🧐「本当の芸術ってなんだろう?」「芸術の価値ってなんだろう?」などなど、
芸術について改めて考えたくなる良作映画です♪

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ななやお

4.0主要人物らの描かれないバックストーリーが作品の豊かさであり、物足りなさでもある

2024年11月27日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

本編112分だが、物語のスケールとしては映画なら三部作、ドラマなら1クール分かそれ以上の長さがないと描き切れない豊穣さと奥深さがあるように感じた。原作・脚本としてクレジットされている倉本聰は、脚本とは別に「登場人物の履歴」に膨大な量の情報と歴史などを描き込み、出演者らに渡したという。本編で直接描写されないそうしたバックストーリーは、俳優らが役に命を吹き込む際の重要な源になり、人物らの会話の内容などから示唆されて、豊かな映画世界に貢献している。だが一方で、たとえば画面に映っている二人に過去にどんないきさつがあり、今の関係性があるのかなど、もっと知りたいのに想像するしかないもどかしさ、物足りなさを感じる部分もところどころあった。本木雅弘、小泉今日子、中井貴一らの演技が見惚れるほど味わい深いからこそ、キャラクターたちの人生をもっと見せてほしいと願ってしまうというか。

本木が演じる津山竜次は、稀代の贋作画家でありながら刺青彫師でもあるというおよそ現実味のない設定であり、その設定に説得力を持たせる意味でも刺青を彫るシーンは入れるべきだったと思うが、それも尺が限られているせいかもしれない。

倉本聰が脚本を担当しキャスティングにも関与するなど影響力があった1974年のNHK大河ドラマ「勝海舟」で演出スタッフと衝突し、脚本を途中降板してそのまま東京から北海道に移住したのは有名な話。大組織や大企業の論理、都会的なるものへの異議はドラマ「北の国から」などに込められ、本作にも通じる。創作物の良し悪しが市場価値で測られることへの違和感、伝統ある大きな業界の権威に対する反発についても、自身の体験を本作の孤高の贋作画家に重ねたように感じた。

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高森 郁哉

4.5テーマがいい

2025年7月12日
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鑑賞方法:VOD

倉本聰さんが長年温めてきた物語
この物語の中にある「美」とは、神のように「絶対」なものであり、人の心の中心に位置する光のようなものだろうか。
資本主義 需要と供給によって価格が決定する社会
お金で買えないものなどないと、日ごろから感じるようになってきた社会
他人の評価など意に介さないという言葉を残したツヤマリュウジ
鬼才と貧困
買うことができないキャンバス
天野先生の描いた絵をキャンバスに使って金賞を受賞した「海の沈黙」
「相変わらず海しか描きません」
ツヤマが幼い頃、マグロ漁師の父が遭難
母と一緒になって夜通し焚き続けた迎え火
海ほどいろんな表情を見せる自然はないだろう。
父の死が貧困を決定的にしたのだろう。
それでもツヤマは母の愛情という絶対的な美を心に刻んでいた。
父の死と母のやさしさと、貧困という現実は、ツヤマにとって不条理で、理不尽だったのかもしれないが、描かれていないその部分は、おそらく一般的に想像することで間違いないように思う。
この物語で思い出すのが、フェルメールの贋作事件だ。
メーヘレンは、フェルメールの画風を徹底的に研究し、「未発見のフェルメール作品」として贋作を制作・販売
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに、フェルメールの贋作《姦通の女》を売却。
戦後、「国宝級のフェルメールをナチスに売った裏切り者」として逮捕される。
死刑の可能性もある中で、メーヘレンは「あれは自分が描いた贋作だ」と主張。
信じてもらえなかったため、牢屋で実際にフェルメール風の絵を描いてみせて証明した。
贋作と詐欺の罪で禁錮1年の判決を受けるが、控訴期間中に心臓発作で急死。
彼の死後も、その贋作は「美術史上最大のトリック」として語り継がれている。
この事件が本作のモチーフになったように感じた。
偽物が本物以上という概念
その根拠 「ツヤマが唯一追及していること」
さて、
「美しさ」とは何だろうか?
それが絶対であるならば、「美しさ」とは時代や文化や宗教的背景が伴う社会構造の枠を超えているものだろう。
だからそこには正邪的要素はない。
すぐに思い浮かぶ「花」
ツヤマはかつてアンナの背中に菩薩を彫ろうとした。
菩薩とは、ツヤマの心の中に残る母親像であると思われるが、その母を菩薩に見立てた若い彼の「美」意識は、置き換えという単なるモチーフに過ぎず、ツヤマの独りよがりだったのだろう。
彼は小料理屋の牡丹の体に様々な刺青を入れ、それを標本にして外国人客を相手にした。
牡丹の入水自殺
牡丹はおそらくツヤマが好きだったのだろう。
ツヤマの彫る入れ墨も牡丹にとっては「美」であったに違いない。
しかし、アザミという新しい女が登場したことで、牡丹は精一杯の背伸びをして見せ、自身の役目が終わったという絶望を感じた。
ツヤマは現金を受け取らなかった。
牡丹の背中に残された「空白」
この空白という言葉はないが、牡丹が依頼していることで想像できる。
遺体でも警察の話でもそれははっきりしない。
そもそも「見本」のようにバラバラで統一性のない刺青
ツヤマは牡丹の体に「水蓮」は彫れなかったのだと感じた。
その他の絵もあっただろう。
お金を受取らなかったことは、「美」にできなかった牡丹への謝罪があったように思う。
その謝罪の念を牡丹は感じたのだろう。
自分との違い 若さなのか美しさなのか。
アザミへの敗北感
「キャンバス」というものの重要性
ツヤマの美への認識と牡丹が感じた拒絶
ツヤマは彫れなかったのだろう。
それ故の牡丹の自殺
アザミ
若く美しく、お袋を思い出させる身体 指
人の体に見つけた「美」に、ツヤマは手を出せなかったのだろう。
それを「良し」とした。
芸術とは、嘘がないことだと思う。
ツヤマはキャンバスに嘘は描けない。
描こうとする意識は、真実を歪めてしまう。
このジレンマ
久しぶりに対面したアンナと別れ、海辺て焚火したとき、あの日のことをはっきりと思いだした。
迎え火を頼りに父がこっちに向かって泳いでいることを強く信じたあの時。
父になったつもりで海から焚火を見たことで、最後の作品を思いついた。
赤に拘ったのは、疑いようもない血のつながりを感じたからだろうか?
あの日夜通し焚いた火の赤
その赤を知っている自分
赤の中にあるたった一つの願い
たった一つの想い
それが叶わなかった絶望 黒
ツヤマの最後の作品
その作品のいったいどこに「美」があるのだろう?
ツヤマの体験は、すべてあの絵の中に描かれていた。
しかし、絵を見てそれを窺い知ることなどできないだろう。
しかしそこに心が動く。
嘘のないその絵に心が動くのだろう。
当時、金賞を取った「海の沈黙」
この絵に描かれていたのは、おそらく浜から迎え火を通して描いた海
そこに乗せた幼いあの日のこと。
そして今度は、海から見た迎え火
父が見たであろう風景
それは「希望」のはずだ。
もうすぐ死が迎えに来るツヤマにとって、死んでしまっていても、きっとあの火を見てくれたに違いない父に対する想いを、新しい「海の沈黙」として描き上げた。
最初の作品に関じた絶望という共感
そしてこの作品に感じる希望という共感
美しさとは、心が感じるものであり、感じることこそ「絶対」なのかもしれない。
そして、描かれたそれそのものが提供するのは、見た者が感じ取ること以上のものは提供できない。
つまり「美」とは、それそのものではなく、何かを感じ取れる心であり、それこそがその瞬間の自分自身そのものを見たことになるのだろう。
映画とは、心を揺さぶられたいために見るものだろう。
この作品のテーマをそこに寄せているのは素晴らしいと思った。

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R41

ん〜〜〜…

2025年7月8日
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鑑賞方法:VOD

難しい

YouTubeで評判いいと見て何も考えず見てみた。

結果、んー………というのが印象。

終始よくわからなかった。これが長年の集大成的作品なのか?

前に倉本聰監督、吉永小百合主演の映画をわざわざ映画館まで見に行ったことがあり、なんで見に行ったのかまで覚えてないが、ホントくだらなくて具合が悪くなりそうで途中で出て行きたくなったことを思い出した。

それなりの年齢になられて世代的なギャップもあり、古い時代の有名な方が構想を練った映画らしいが、もういいかなってのが素直な印象。

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アキラ

3.0長編ドラマで観たかった

2025年6月22日
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鑑賞方法:VOD

知的

難しい

主演の本木さんなど役者さんの演技はとても素晴らしい。
ただ、2時間の映画で癖のある主人公や葛藤を描ききるのは難しかったのだろう、ストーリーに入る混むのには時間(尺)が足りなかった。
せっかく重厚なストーリー、素晴らしい役者さんが配役されていたので、連続・長編ドラマで観たかった。

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TKMCOM

2.5もったいない!

2025年6月21日
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鑑賞方法:VOD

Netflixで鑑賞。脚本倉本聰だし、せっかく素敵な豪華キャストが揃っているのに、作品としてイマイチ弱い。もったいない。登場人物の人間関係や背景や確執をもっと丁寧に描いてほしかった。あれでは感情移入できない。そして30年ぶりに再会した忘れられない人なのに、あっさりしすぎるお別れにもびっくり。

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サンバ

3.0長編を1本の映画に詰め込んで、よく分からなくなった映画

2025年6月6日
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鑑賞方法:VOD

難しい

全体的に説明不足で、キャラクターたちが最後どう思って終わったのか理解できなかった。

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あチャピ

4.0贋作と、そうでないものとの違いは一体何?謎に包まれた天才画家を軸に、巨匠 倉本聡が私たちに問いかける。

2025年6月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

「大規模な展覧会の目玉作品が、贋作だった?」から始まり、最後まで息もつかせぬ展開でした。

登場人物も魅力的。
「誰が作者かにこだわらず、作品そのものに価値を見いだす、地方美術館の学芸員」「行方知れずの天才画家」など、それぞれの生き方にある意味共感しながら観ていました。
大御所画家の、自分勝手ながらも譲れない一線、というのも、彼なら仕方ないと思わせてくれます。

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ぴのこねこ

0.5構想60年前

2025年5月20日
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原作脚本は誰もが知っている有名な脚本家劇作家演出家の重鎮。
ネットの拾い記事によると──、
作家は『どうにも納得がいかないという美の価値への思い』を出発点とし『60年前に仕込んだ子どもがやっと生まれてくれた』と構想60年をしみじみ語った。
『時代が違うとわかった途端、作品を認めていた評論家も世間も美の価値を下げる。この風潮に納得がいかなくて、なんとか映画にしたいと思ってきた。』とのことで『作品の美に、作者や時代の裏付けが必要なのか。そんな問いかけだ。』と記事は結んでいた。
簡単に言うと時代遅れの不器用な絵描きの壮絶な生き様を描いた──という感じの映画。

世界的な画家の田村修三(石坂浩二)の展覧会で作品の一つが贋作だと判明する事件が起こる。 連日報道されるなか、北海道の小樽で女性の死体が発見され、この2つの事件の間に浮かび上がったのが、新進気鋭の天才画家と呼ばれ、ある事件を機に人々の前から姿を消した津山竜次(本木雅弘)だった・・・。

──というストーリーの中に、津山が田村の妻(小泉今日子)に淡い恋心を抱いていたり、彫り師でもある津山に女が寄ってきたり、病に侵され喀血しながら絵画を仕上げる、などが描かれる。

芸術家とはデカダンであるという大正浪漫趣味を恥ずかしげもなくさらし、刺青の針が女の柔肌に花や龍をきざむのが耽美であるとか、まだそんなたわごとを言うあほがいるんだ、という感じの昭和から一歩も動いてやるもんかという決意のみなぎった定石日本映画。
太宰治みたいな画家が吐血しながら絵を描くという退廃表現を令和に見るとは思わなかったという話だし、刺青が美学だって言いたいなら彫り物見せびらかしたい与太公だらけの三社とかだんじりとか見てからにしとけ、という話。

偉大な芸術家とは不健全なものである、という不文律がある。これは作家や作曲家、概して創造をする人物にいえる方程式のようなものだ。じっさいに、わたしたちが好きな大時代の絵描きや作家や作曲家はデカダンや不幸せを背負っていた。
ロートルならきっとモンパルナスの灯(1958)をご覧になったことがあるだろう。代名詞的な美男俳優のジェラールフィリップがモディリアーニを演じていた。貧乏なのに酒飲みで、カフェに入り浸って客の似顔絵を描き、むりやり売りつけて得た金を酒代にして夜の街を徘徊していた。それを身重の同棲者ジャンヌが一晩中探し回る・・・。結局モディリアーニは貧困と肺結核、大量の飲酒、薬物依存などの不摂生と荒廃した生活の末にしぬんだ。
この絵に描いたような悲劇映画は日本で大ヒットした。

おそらくこの映画を書いた大先生もモンパルナスの灯を見て感涙したくちであろうと思う。フランス映画の退廃は日本映画に芸術家=デカダンという紋切り型を生成した。だから津山は喀血しながら絵を描くわけ。
念のために言っておくがジャックベッケルのモンパルナスの灯はいい映画だ。が、2020年代にその憧憬で映画をつくられたらかなわない。構想~年ていう日本映画が大好きな謳い文句あるけれども、およそ時代にそぐわなくなっている題材を後生大事にかかえてきたってだけの話でしょうが。

だいたいデカダンが芸術家のあるべき姿だというなら、健全で裕福でハングリーさのない人間はいい絵を描けないのか。その両義性や相対性や複合選択性を一顧だにしないのが日本映画の特徴であり、日本では悲劇的状況にフルスロットル入れちまう猪突猛進な人しか映画をつくらないことが再確認できる安定の日本映画だった。

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津次郎

1.0暗いだけの作品

2025年5月6日
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鑑賞方法:その他

暗いだけの作品と思います。美術の良さも出ていなければ、登場人物のエモーショナルな過去も描ききれていない。全編にわたって、暗いだけの映画。最後にちょこっと良さげに演出してますが、中身はスカスカです。そもそも、登場人物の年齢設定が無理。石坂浩二と本木雅弘を同級生? ありえない。

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minami

2.0ミスキャスト

2025年5月3日
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鑑賞方法:VOD

小泉さんの役はとても重要だと思うが、どうしても「~してますの」みたいなお上品な奥様言葉が似合わなくて笑ってしまった。どうしてこの役に抜擢したのかわからないけど、せめてこういう言葉がすんなり言える女優さんにすべきだったと思います。小泉さんじゃどうしても元ヤンでいまだ「~じゃん」とか言ってる役しか無理でしょうよ。なんか全体的に暗い情動みたいな映画なのに、小泉さんだけ浮いてて残念でした。

あと、もっくんと仲村トオルとキョンキョンが同級生はわかるけど、そこに石坂浩二は無理でしょ。せめて石坂浩二は恩師役にでもしないと、ギャップがありすぎて理解できないよ。石坂浩二は恩師役で、若い才能と恋人を奪ったでいいじゃん?なんで同級生にしたのよ、どう見ても変でしょ。

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奈央

1.5だから?

2025年4月24日
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鑑賞方法:VOD

これ、作:倉本聰って無かったら観たかな?
モッくんとキョンキョンだったから観たかな?

こういう芸術家の感性を前面に出されると、私のようなセンスのない人間には心に響くものがないのです
だから何?
それしかない

ひたすら暗いし、救いはないし
最後まで観たので備忘録

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零式五二型

3.5美の無限

2025年4月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

“贋作”と言うと一見本物そっくりだが、プロの目からすれば本物に劣る偽物、紛い物という印象。
しかし劇中でも語られていたが、この世には、見分けが付かず、“本物”として認知されている“贋作”だってあるかもしれない。
“偽物”が“本物”を超えた時、果たしてそれは“贋作”と言えるのか…?

世界的画家・田村の展覧会が開かれるが、名画の一つが贋作である事が判明。
田村自身が認め、作品を飾っていた美術館の館長が責任を取って自殺するなど波紋が拡がる中、北海道・小樽で身体中に刺青が彫られた女性の遺体が発見される。
何の関連も無いと思われたが、贋作画家と刺青彫師が同一人物の可能性が。
田村と同期で、当時異端の天才と呼ばれながらも、問題を起こして絵画界から抹消された津村の存在が浮かび上がる…。

世界的名画が贋作だった…!
ミステリータッチの導入はいい。
『嘘八百』や『コンフィデンスマンJP』などで贋作を扱った話があり、それにプラスして殺人や複雑な人間模様のミステリー(雰囲気的に松本清張風)を期待したい所だが…、
表舞台から姿を消した一人の画家の、画や美への凄まじき執着のドラマであった。

世界的画家が展覧会中に贋作である事を認める=敗北を認めるほど。稀代の天才か…?
絵画界から抹消された理由。キャンパスを買えぬほど貧しく、ある時師の描いた画の上に自身の画を…。絵画への冒涜、問題児か…?
父親が刺青彫師。自身も刺青を彫る。美しい女性の身体を求め…。エロオヤジか…?
末期の癌。血を吐き、倒れながらも、画を描く。狂気とも言えるその執着。
かつて田村の妻・安奈と恋仲。今回の件で再び再会し…。哀しき男の愛。
複雑な内面と人間像。狂気と哀愁滲ませ、減量し、自ら筆も持ち、本木雅弘が圧巻の熱演で魅せる。
小泉今日子、中井貴一、清水美砂、仲村トオル、石坂浩二らベテラン/名優陣。
倉本聰の脚本、若松節朗の演出。
アニメや若者向けの昨今の日本映画の中でも、じっくりと大人の鑑賞に耐えうる作品になっている。
しかし、“名画”にはなり損ねたという印象。

美への飽くなき追求、美へ囚われたと言っていいほど。
そこに倉本聰の哲学さえ窺える。構想は60年…!
だが、いまいちよく分からないような、分かり難いような、分かる人には分かる、分からない人には分からないような…。
美への追求や執着なのは何となく分かったが、でも結局の所、何を伝えたかったのか…?
登場人物の言動も。中井貴一演じる津村の番頭と名乗る男、何者だったの…?
清水美砂演じる牡丹が自死した理由は…? モックンと清水美砂の『シコふんじゃった。』以来の共演は嬉しいが、彼女の役回りは必要だったのか…?
小泉今日子演じる安奈との過去の悲恋も何だか陳腐。
モックン、石坂浩二、仲村トオルが美術学校の同期という設定も無理がある。
濃密で深淵さを打ち出しているが、詰めが甘い点多々。
大人向けの作風ではあるが、それは格調高く洗練されたものではなく、古臭さも否めない。

劇中の問題の絵画、“海の沈黙”。
そこに何が見えるか…?
激しさ、荒々しさ、鮮血のような赤、繊細さ、静けさ…。描いた津村にとっては…。
本作もそれが言える。本作から何を感じるか…?
崇高な名作、ヒューマンな秀作、キャストの熱演以外見所がない凡作、TVの2時間ドラマで充分…。
あなたが見えたもの、感じたもの、それぞれでいいのだ。
美に明確な答えはない。一つじゃない。
“本物”に魅力を感じなくても、贋作に魅せられようとも。
あなたの心に感じたものが美。
美は美であって、それ以上でもそれ以下でもない。
最後の最後にこの台詞を聞いて、倉本聰が言いたかった事が少し分かった気がした。

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近大

3.0巨匠の原作脚本を演者が超えちゃったかな(^◇^;)

2025年4月21日
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鑑賞方法:VOD

自宅レイトショー『海の沈黙』Netflix

タイミング合わず劇場パスした作品

モッくんの役作りでの痩せ方は、水抜きなのか!?ってくらいカサカサで壮絶で、KYON2との共演はデビュー当時から知る同年代には胸熱なんですが、続・続最後からを観た後なので、貴一さんとの共演ギャップがツボでしたw

他の出演者も主演級レベルで安定感抜群なので、作品的にも賞レース席巻するかと思いましたが・・・
巨匠の原作脚本を演者が超えちゃったかな(^◇^;)

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eigatama41

2.5まあまあ重い

Kさん
2025年4月21日
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鑑賞方法:VOD

こう言った世界観、別に好きだけど、少し時代遅れな感じもする。ストーリーが弱いような

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K

4.0美しいものは美しい それは絶対だ 本木雅弘、小泉今日子、中井貴一、...

2025年4月19日
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美しいものは美しい
それは絶対だ

本木雅弘、小泉今日子、中井貴一、石坂浩二
素晴らしい俳優陣
絵のことには疎い私でも、絵の素晴らしさ、力強さ、想いが伝わってくる。

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とた

3.5贋作

2025年4月17日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

絵画展にて、書いた本人の指摘で贋作が見つかる。
あまりに見事な出来栄えなので、関係者は思い当たる人がいたようだ。
本人の妻、贋作者、刺青師などの思いがけぬドラマが展開する。
絵画ビジネスの暗部はドキュメンタリーなどで知ってはいるが、今でも時々ニュースになるくらいなので、続くんだろうなぁ。

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いやよセブン

2.0尊敬する倉本聰の作品だっただけに少々残念。 そう言えば、昔から倉本...

2025年4月16日
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鑑賞方法:その他

単純

尊敬する倉本聰の作品だっただけに少々残念。
そう言えば、昔から倉本聰の映画はテレビほどクオリティが高くない。
今回もそのジンクス通りでした。
ありきたりな内容で平凡な結末、特に意外性も驚きもなく、
いまどき「美こそすべて」なんていうおためごかしで納得する人がどれだけいるか……。

また本木雅弘と石坂浩二が同級生という設定が、どうにも違和感しかない。
倉本聰にしては、珍しく笑えるシーンが皆無なのも腑に落ちない。
言いたくはないが、倉本聰も老いたのかもしれない。
中井貴一のほとんどのセリフが、倉本聰のグチにしか聞こえなかった。

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キタロウ

3.0期待大でしたが…

2025年2月27日
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鑑賞方法:映画館

出だしは、倉本聰らしい、テンポがいい話運び(「大都会」「ブルークリスマス」「6羽のかもめ」みたいに)。これは結構面白そう、と期待大でしたが…。

ちょっと一人よがりの映画になってしまった。

降旗康男監督の「駅/STATION」はラストを、監督が変えた。倉本聰の脚本は甘くて(別れた妻と会うラスト)、監督が変更したラスト(健さんの一人の表情で終わる)の方が良かった。

そんなことを思い出した。

この映画の監督若松節朗はうまい監督だと思う。「沈まぬ太陽」は良かったし。今回も監督としては、いい仕事をしていると思う。

ただ、面白くない。倉本聰の脚本に問題があると思う。

もっくんは、映画映えする色気があり、いい役者だと思うし、キョンキョンは相変わらずいつものようにいいし。他の演者もそこそこ見せる。レベルの高い映画だと思うけど、面白くない。

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mac-in

4.5海の沈黙

2025年2月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

とても強烈な印象で、とても疲れていて眠くならないか心配していたが、杞憂だった。メイクさんもすごいと思ったが、石坂浩二さんと本木雅弘さんと小泉今日子さんがほぼ同じ年という設定が自然に納得できてしまうのが、本当に驚いた。ネタバレになってしまうのでこの辺にしておくが、ミステリーが好きな人にもおすすめな映画だ。

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Tabby
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