海の沈黙のレビュー・感想・評価
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芸術家の業
テーマは、芸術家の業や、
情報に流されがちな今の世の中にあって自らの価値観を貫くこと、でしょうか。
全体のストーリー、設定などリアリティは薄く、小説や演劇のようで、
だれかに感情移入したり、共感することはなく、
他の倉本作品とは少し異なる印象を受けました。
バラライカの流れるバー、廃校で作られる料理など
小道具や背景が独特の世界、雰囲気を醸し出しているのと、
俳優陣(とくに中井貴一さん、清水美沙さん)の濃い強烈な演技、
さらにクローズアップで表情を強く印象付けるような画面構成に引き込まれて
緊張感の途切れることなく最後まで観ることができました。
本木さんは、破天荒な芸術家役ですが、
狂気の場面でも清潔感、美しさを失わないところや、掴みどころのない感じが、
典型的ではない、新鮮な、謎を秘めた人物像の表出につながって良かったと思います。
小泉さんもそんな本木さんに相対する女性として、雰囲気が合っていたように感じました。
美は美であってそれ以上でも以下でもない
もっくんの顔が出てくるまでの約1時間が、ミステリー要素が盛り込まれていて、
作品に惹き込まれていきました。
中盤以降は、主人公津山竜次の美学と生き様的な話になっていくので、
ここは好き嫌いが分かれそうだなと思いましたね。
津山は贋作を描くというよりも、オリジナルをさらに超えるオリジナルを描いているのでしょうね。
画家という作家性とかブランドではなく、絵の力、美の力を追求しているのでしょう。
このあたりは、冒頭の贋作発覚事件をちょっと嘲笑うかのような、そんな感じにも受け取れました。
だからこそ、最後のセリフ「美は美であってそれ以上でも以下でもない」というのは至言だと思いました。
絵の(芸術の)本質を説いているセリフと理解しました。
俳優陣もベテラン揃いで安定していましたね。
私にとっても、なんてったって永遠のアイドル小泉今日子、年輪を重ねても好きです。かわいいです。
それから久しぶりに目にした清水美沙。美しいです。
仲村トオル、いい役なんだけどなー。なんか中盤以降存在感が薄れていったのが残念でした。
そして中井貴一。役名のスイケンも謎ですが、怪しい中国人に見えましたけど、
頬の傷とかのキャラ造形が謎でしたね。海外で料理人やってたエピソードとか、マジで謎。それが面白かったですね。
もっくんも頑張っていて、好感が持てました。
「哲学的な作品」
期待はずれ!
本木雅弘さん迫真の演技
本木雅弘さんが本当にすごかった。
ストーリーとしては、過去の経緯がほとんどなかったのが残念。小泉今日子との出会いから別れまでの関係、何故石坂浩二と結婚に至ったのか、中井貴一とこれまでどのような物語があったのかなど、それらの描写がもっと丁寧にあれば良かった
もっと見たかったかも
倉本ワールド!
狂気じみた画家の執念
飽きずに見れましたが
倉本聰さんが脚本、自分の年代だと超アイドルだったモックンとキョンキョンの共演。それだけの理由で鑑賞。
全体的に静かで落ち着いた、大人な映画で美しかったです。素晴らしい腕を持つのに破門された画家。彼のかつての恋人や美術界に生きる人々の様子から、徐々に彼の生き様が描かれる。
海の沈黙というタイトルそのものが、海に消えた両親を持つ彼の主題であった。
うーん、私は今一つだったかな。。本木さんと石坂浩二さんが、いわば恋敵の同年代という設定に?がついてしまい、入り込めなかった。
アザミに、入れ墨彫りたいほどの何か秘めた感じがもう少しあると良かったし?
絵画における苦悩に集中するだけでよく、美の追求について、入れ墨がどうも突飛に感じてしまいました。彫り師の父親の影響で培われたという事はわかりますが。。
清水美砂さんを ものすごい久しぶりに拝見しましたが、変わらず美しかった。中井貴一さん今作かっこ良かったです。小泉さんとはドラマ「最後から二番目の恋」での共演がすごい印象強いです。
モっくんが色っぽい
いくつか疑問点はあったものの、「ザ・倉本聰ドラマ」って感じで、観終われば重厚な作品だった。
とにかくモっくんが色っぽいのがよかった。
その疑問点とは、主に以下の通り。
本木雅弘、仲村トオルと、石坂浩二が同級生なのは無理ありすぎじゃない?
油絵と刺青は関係なくない?
芸術の意味、贋作ミステリー、老域に入った女の過去の恋愛、刺青に憧れる若い女性、かつて刺青を掘ってもらった女性の死、そのどれもが関係するようで、話の軸として機能はせず中途半端。
そんな登場人物たちに、芸術のありようを語らせたのは、消費されるTVの世界で紡いだ物語が変に芸術扱いされなくとも人の心に残りさえすればいい、といった心境を反映させていたのかもしれないとも邪推しました。
文学作品
いい映画ではありました。
重くもあり、芸術とは?愛することとは?
を考えさせてくれる映画でした。
倉本聰と言えば北の国から世代ですが
本を読めない(ながら俗なのでじっくり本を読むことが出来ない)
者には、本そのままの映画として見られると思います。
ただ万人向け?ではないので☆4に近い3.5にしました。
遺作になるのかな( ;∀;)
美とは、知性に訴える映画
最後の映画作品?
倉本聰最後の映画脚本といったら観るしかないでしょ。
と期待一杯で映画館に直行しましたが、観た後はもう一回創って欲しいなと。
倉本聰さんのストーリーは彼の思いがシンプルに表現されていて、良い意味でわかりやすくその反骨精神が伝わってきます。五十代の私にはあと10年して、もう一度観なさいと言われている様な気がしました。
キャストは中井貴一氏が良い味でてましたね。
萩原聖人さんも存在感あったな、
石坂浩二さんはこういう役所はそうだよな、と。
また清水美沙さんの妖艶さにも久しぶりに見てドキっとしました。の割に本木さんと小泉今日子さんの役どころが
ちょっとハマらないというか違和感が取れず…。
ただやっぱり脚本の構成がしっかりしていて最後まで
しっかりと話に没入できました。エンターテイメントと
してはドラマを十分に楽しめました。
大雑把な感じで言うとテレビ局開局何十周年記念ドラマ
的な映画だなと感じました。
<最後の>とか<構想何年>とかそう言う宣伝文句はもう
そろそろ止めて欲しいと思います。
作品を観る方も創る方にも
力みが出ちゃうだけで本来の良さが伝わらないのでは
ないかと思います。
元々かっこよかった本木さんと歳とともにかっこよくなった中井さんを鑑賞する映画
渾身の気迫満ちた孤高の画家、本木さんに拍手!心刳る思いがした。
本気で芸術作の至極の一品。
ここまでの思いをさせてくれる作品には そうはお目にかかれまい。
場内、久し振りの倉本先生の作品って事もあってか ファンはじめ
年配者が多かったが ほぼ席は埋まっていた。
とにかく、主演:本木雅弘さん(津山竜次 役)が腰抜かす位 凄すぎた。
肺の病で余命数ヶ月の孤高の画家を演じている。
彼の過去に一体何があったのか。その一つ一つを紐解きながら 津山竜次という人物に観客席は心の底から引き寄せられてゆく。
津山は赤をもっともっともっと欲していた。その求める赤とは一体何なのか・・・
原作:倉本聰氏
監督:若松節朗氏
-------素晴らしい役者陣---
津山竜次 役:本木雅弘さん
田村修三 役:石坂浩二さん
田村安奈 役:小泉今日子さん
スイケン 役:中井貴一さん
あざみ 役:菅野恵さん
牡丹 役:清水美砂さん
清家 役:仲村トオルさん
村岡 役:萩原聖人さん
半沢院長 役:村田雄浩さん
桐谷大臣 役:佐野史郎さん
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青森の小さな漁港で育った彼。父は漁師で刺青彫師。有るとき両親はマグロ漁に出て帰らぬ人に。遭難したとき浜辺に焚いた大きな炎を目指してきっと浜へ辿り着こうとしたんだと、彼は心の深い念にそれを抱いていた。
その時の 炎の今を(生きた赤)を求めている = 親への尊い愛(想い)である。
同時に白い肌に極めて興味があり、その体に刺青彫りをする面も持ち合わす。
この 純粋無垢な白い肌こそが ”母”自身を表していた。
ここに父譲りの刺青を彫る事で ”両親”への深い念(生きていて欲しい事、会いたいと言う想い)を強く感じた。
そして彼の過去に眠った恋人安奈の存在。彼女は贋作事件の 因縁の根源である画家 田村修三の妻と成っていた。北海道 小樽で再会する二人のやりとり・・・手製の蝋燭を渡す彼女の手にそっと触れる竜次の手。この一瞬に心が奪われる。
上手い、絶妙なタイミングとその二人の間柄を見事に醸し出していると感じた。
かつての恋人との再会。そして 残された命の中で 息尽きるまで
浜辺で燃え上がる炎(生きる赤)を深々と描く彼。
この姿に、人の戻らぬ時間への執念とあがき苦しみの中に 安らぎを何とか見いだそうとする想いを深く感じたです。
やがて別れの時。ベットに彼女が渡した 彼の顔が描かれた蝋燭。その炎は穏やかな赤で部屋全体を優しく包み照らしていた。
別れの言葉 ”ありがとう” ・・・
彼女の想いが 観ているこっちにも 届いて涙した!
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潮の流れのように 展開と心が揺らいで流れていきます。
それは海の波でもあり燃えさかる炎でもあり、決して戻る事の無い”美”と言うものを 観た方の誰もが感じる事が出来るでしょう。
ご興味御座います方は
是非とも 今のうちに
劇場へ!!
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