海の沈黙のレビュー・感想・評価
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美しいものは記憶として心に刻む
■サマリー
世界的な画家・田村の展覧会で作品のひとつが贋作だと判明する事件が発生。
事件の報道が加熱する中、北海道・小樽で女性の死体が発見される。
このふたつの事件をつなぐ存在として浮かび上がったのが、天才画家と称されながら、
ある事件をきっかけに人びとの前から姿を消した、津山竜次。
かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻である安奈は小樽へ向かい、
二度と会うことはないと思っていた竜次と再会を果たすが…
■レビュー
まあ、豪華キャスト。それにつられての鑑賞。
どんなストーリーなのかな、と思ったが、最初はミステリー。
贋作、その作者は?と・・・
主役である竜次、絵を描いているシーンはあれど、顔や姿が見えるのは
半分ぐらい過ぎてから?1時間ほど経過してから登場。
役とはいえ、あまりの痩身にびっくり。でもかっこいいわ~。
そして、その痩身ぶりが、冒頭の安奈に対し占い師が語るシーンとリンク。
なるほど。。。
それにしても画家が女性の身体全身に刺青を彫ったり、ありえんわー笑
さらにはインターポールにマークされちゃっているし。
その竜次を先生とよび、リスペクトする謎のスイケンさん、
意味不明な高飛車態度で、田村氏に圧!!笑
豪華キャストだけに演技はすごいんだけど、
結局のところ、わかったような、わからんような・・・
主人公の竜次はモッくん、いつまでカッコいいんだ、この人
画家として狂気じみた、創作活動の姿、すごいわ
安奈はキョンキョン、今年は碁盤斬りや室井さんで見ていたけど、
やっぱりキョンキョンだな、かわいい
影のMVPはやはりスイケン、中井貴一さん、重厚すぎ
ほかにも田村役の石坂浩二さん、美術鑑定の仲村トオルさん、
刺青カタログとなった清水美沙さんなど、すごかった。
萩原聖人さん、久しぶりで、一瞬誰?となった汗
それにしても、津山竜次という名前、どうしてもロバーツの・・・
元木さんの役になりきる凄さ!
圧倒されたのは元木さんの役になりきる凄さです。彼はいつも自分を空っぽにしていて、役の全てを自分の中に入れているのだろうと思いました。そして中井貴一さんも流石です。リュージが美を求めて生きてきた壮絶な人生、「番頭」さんがいてくれたことで観客の多くが随分救われた気持ちになったと思います。
キョンキョンは難しい役だったと思います。父親が重鎮だった美術界で、誰かの栄華のために利用されている存在である自分を受け入れて生きてきたのでしょう。冒頭のシーンで「誰か男性が」と言われて「そんなふしだらな女ではない」というシーンは、自分を解放できていない人を象徴するためかも知れませんが違和感を感じました。最後に、やはりこの人の傍では生きられなかったと思いなおすシーンの表情も。意図的に抑えていたのでしょうが、リュージへの思いも仮面夫婦である夫への思いも、その複雑な思いがイマイチ伝わってこなかった気がします。
倉本先生の美への思いは伝わりました。贋作であってもその絵に魂を揺さぶられると言って自死した人の思いが強く残りました。でも、美のために(?)人が死ぬのは何故?と思ってしまいました。
何となく違和感
倉本聰の世界を期待したが・・・
“北の国から”はTVドラマの生涯ベストランキング、“駅STATION”は邦画生涯ベストランキングに入っている俺なので、倉本聰最後の作品になるかも知れない本作は見逃すわけには行かなかった。
【物語】
あるとき田村修三(石坂浩二)ら日本有数の画家の絵を一堂に集めた展覧会が東京で開かれる。オープニングセレモニーには田村修三本人も妻安奈(小泉今日子)と共に招かれるが、展示されている彼の作品のうち一枚が贋作であることに気付き、公表する。
贋作に関わる報道が加熱する中、北海道・小樽で女性の死体が発見される。やがて二つの事件の間に、かつて天才画家ともてはやされるも、ある事件を機に表舞台から姿を消した津山竜次(本木雅弘)が浮上する。かつて恋人だった田村の妻安奈は小樽を訪れ、二度と会うことはないと思っていた竜次と再会する。
【感想】
結構意気込んで観たものの、実はまたしても前半ウトウトしてしまった。 それでも序盤と終盤は観られたのでストーリーは概ね分かった、・・・ つもり。
なのだが、イマイチ面白いとは言えなかった。
演技・映像・音楽・演出、どれも悪くなく作品としての重厚感、別の言い方をすれば雰囲気はあったけれど。倉本聰ならではストーリー不発だったように思う。 見逃した部分があるのは確かなので、やたらなことは言えないが(笑)
随分久しぶりに観た元木はなかなかの熱演で悪くないので、ファンならそれを観る価値はあるけれど。
数日経っても余韻が残るから良い映画だと思う
セリフも説明も少なく、俳優の表現力にのみ語らせてあとは観客の理解力と想像力に丸投げする映画です。
若くてわかりやすい文芸作品や娯楽映画を楽しむ人にはまったく面白くないと思います。おそらく若者でこの映画に良い評価をつける人はいないのではないか、そもそもキャスト的に見に行かないだろう。
しかし、ある程度人生経験が深まり、人生の終わりを時折意識するようになった人々にとっては、若き青春の日々を共にした俳優らとともに、忘れかけてた傷となって残る人生の後悔ややり残した詫び、悔い、それでも時を経て美しく塗られかけたその思い出全てそのままを同時に受け入れて映像とどこか重なる自分自身の人生のやり残しに思いを馳せる映画表現になっていて、つまらないと思う人はいないのではないかと思わされます。最後まで見てしまうだけのよい緊張感もあるし。
映画としては十分に完成されてるけど評価は分かれるとも思います。倉本聰ならもっと笑える要素を必ず入れてくるはずなのに、これはそうではない。その点、これは倉本聰に私物化された脚本なのかなと思います。彼にとってもやり残した思い残した何かがここに反映されていることは容易に想像できるし、ライターの書くなにかにそう書いてあるし。だが、その文面通りとは限らないさらに何かがあるんだろうなと思いますね。
役者はよかった。高倉健の晩年の映画のように、ほんのわずかなしわやまぶたや口の動きに、肩や足や腕の動作に言葉ではないもっと直接的な複雑な情緒を感じさせます。熟練でもあり、脚本の結果でもあり視聴者の想像力でもあり、それらの合作としての素晴らしさ。ただ一人若い彼女の肌は5歳で触れたい、25歳で触れたい、55歳でもしも若返るならもう一度触れてみたい肌だった。
若者ウケはしないだろうなと思いながら見て、終わりまで見てやはり若者には受けないなと思いながら、3日たってもどこか余韻が残ります。わかりやすく面白いわけじゃなかった。でも残るのだからこれは本物なんだろう。すでにもう一度みてみたい気持ちになっています。
ただ神は細部に宿る。1箇所だけ細部に手抜きがあったから星は削ります。たった1箇所の作り込みの甘さが映像美術への没入を阻害し、現実に引き戻す。あれがなければ緻密に完成された作品として記憶に残せたのに。
まさに陰と陽だ。竜次の絵に対する執念が凄かった
皆んな年とったなぁ…
新しい映画
美しいものは美しい
朝一番の回を見たもんだから映画館を出たら外はまだまだ明るくて、映画とのギャップにすごく違和感を感じてしまった。暗くて淡々とした間の多い作りだけど、全編昭和らしい雰囲気漂う哀愁深い映画だった。
久々のモッくん。実は映画館でお目にかかるのは初めてでして。8年振りの映画らしい。頬はこけ、髪も白く染った老け姿なのに、やっぱりカッコよくて見入ってしまう。この美しさで58歳。はぁー、すごい。小泉今日子、仲村トオルと同級生なんですね。渋さと色気。見せ方も見事でした。
ほとんどの人はモッくん目当てで見に来てると思うけど、そんな人は自分含めまんまと監督の手のひらの上で転がされてしまう。なかなか登場しない主人公にもどかしさを感じながらも、ようやく顔が映った時はもう惚れ惚れ。観客の心を分かってますね。小泉今日子や中井貴一と比べると出演シーンはかなり少ないが、流石の色気と憑依したような芝地に見とれてしまう。
それぞれこれまでのキャリアでいちばん多く演じてきたと思われるキャラクター像で、安定感が凄まじいし、複数人が絡んでるだけで楽しかった。仲村トオル、石坂浩二、中井貴一が一同に集まって会話を広げる。絵が既に面白くてテンション上がっちゃう。石坂浩二、最近こんな役ばっかりだな笑
「ブルーピリオド」「まる」と言ったように、最近は芸術をテーマに置く邦画がかなり多いけど、その中でも本作はラブストーリーを主軸にしつつ、芸術の価値に疑問符を浮かべるとてもメッセージ性の強い作品だった。展覧会で発覚した有名画家の1枚の贋作から浮き上がる、かつては天才画家と評された男の愛と憎しみの物語。たった1枚の絵から話が膨らんでいくこの構成は、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」を彷彿とさせる。意識しなくともグイグイ引き込まれてしまうし、2転3転と雰囲気を変えていきながら話が展開されていくから、シンプルに楽しい映画になっている。
テーマだけでなく、映画そのものも美を追求された、まるで動く絵画のような1つの"作品"に仕上がっていた。ワンカットワンカット、高貴で上品さを感じさせる。ペラペラの紙ではない。厚く深みのある、ズッシリと重い等身大ぐらいの大きな1枚。海の絵というととても在り来りなものに聞こえるけど、過去や背景を知っていくうちに、その深みと重さは増していく。人も海も同じように、底知れぬ魅力が溢れていく。
個々の人物はよく描けているが、津山とあざみは特に、1体1の関係性で急に描写が雑になる箇所があり、所々で違和感を感じてしまう。ただ、絵に迫っていくと露になる人々のほんとうの姿には色々と考えさせられるものがあり、津山の代わりにスイケンがひょいと田村の元にやってくるあのシーンはそれを象徴するかのようで脳に色濃く刻まれた。
渋くて地味な大人の一本だけど、雰囲気だけでは終わらせず、ちゃんとこの作品にしか出来ない演出の数々を経て、地に足をつけたラストを迎えていたからとても満足度が高かった。美は美であり、それ以上でもそれ以下でもない。美しいの価値なんぞ、値段で表せるほど安易なものなんかじゃないんだよな。
倉本聰先生
テーマは深く人物はさらに深く
長い時間を経て再会する二人と、小樽のノスタルジックな風景はよく合っていて、とても情緒がありました。
「このカウンターあの店だ」
「この景色、あの橋のこっち側だ」と思いながらも、見慣れた景色が今まで見ていたのと全然違う美しい映像になっていて、感嘆しました。
最初は、世界的な画家の「これは私の絵じゃない。贋作だ!」から始まる犯人探しのサスペンスのようでした。仲村タオルの雰囲気がいつもの刑事っぽいせいでしょうか。
後半は、美とは?真実とは?命とは?と問いかける複雑に絡み合った糸が織りなす人間ドラマでした。とても見応えありました。
海の中に胸まで沈んでこちら側を見る本木雅弘さんのポスターは印象的ですが、あれは入水自殺を計っているシーンではありませんでした。(そう思ってた)
過去から今、死から生、絶望から希望、未完から完成を見ようとしている、そんな表情を捉えたものなのだと思いました。
中井貴一さんが演る「番頭」さんは、とても渋みがあります。
一生をひとりの画家に捧げて、美の何たるかに信念を持っている。
彼が携えている杖がまた美しい。
安奈(キョンキョン)が作るキャンドル作品には、ずっと心の奥底で愛し続けた人の顔が彫られていて、それが津山(もっくん)の手に渡り、蝋の涙を流すシーンには泣きました。
あと、津山(もっくん)が安奈(キョンキョン)に再会した時、「やぁ」と、ひとこと言うのですが、この「やぁ」はなんとも言えず官能的です。
(私だけ?そう感じたの私だけかなぁ?でも、そうなんですょ。)
悲しげで、優しさに満ちていて、懐かしそうな、寂しそうな。
こんなふうに、「やぁ…」って言われたら、腰からくずおれてしまうわ。ちょっと掠れた声なんです。
ビデオ買ったら、ここだけ鬼リピすると思う。
で、「この絵は私の絵じゃない。贋作だ!」と言った世界的画家田村(石坂浩二)は、贋作が自分の絵よりも優れていると内心認めていて、
それに妻(キョンキョン)とはずっと別居で偽物夫婦(笑)。
中身はこっちの方が偽物なのに、世間的に栄達しているので本物として扱われる。
本物と偽物。
リアルとフェイク。
今まさに私たちが溺れそうになっているテーマだと思います。
⭐︎倉本聰さんが話題になっていますが、監督がすばらしいのでは?海面から岸の火を映すカメラワークには心臓バクバクしました。
⭐︎みんながいいと言うからという理由で見てはいけない。倉本聰作品だからという理由で見てはいけないそんな理由で見たら、倉本聰さんの投げかけている問いに反するよね
理解するにはメモリアルブックが必須だけど、映画代くらいはするんだよね〜良かったけど
2024.11.28 MOVIX京都
2024年の日本映画(112分、G)
贋作騒動によって再会する男女を描いた恋愛&ヒューマンドラマ
監督は若松節朗
脚本は倉本聰
物語は、ある占い師(津嘉山正種)から「背景に見えるもの」の指摘を受ける安奈(小泉今日子、高校時代:小野晴子)が描かれて始まる
占い師の言葉を巧みに交わすものの、彼女の脳裏にはある男が浮かんでいた
安奈は、世界的に有名な画家・田村修三(石坂浩二)の妻だったが、修三には別に女がいて、その関係は仮面夫婦のようなものだった
修三は日本絵画100周年記念の作品展に選出されていて、その幕開けには文部大臣の桐谷(佐野史郎)も登壇することになっていた
館長の小原(中村育二)の案内で館内を見回った修三だったが、ふと自分が描いたはずの「落日」に違和感を感じていた
その場は取り繕ったものの、夜になって再び「落日」と対面した修三は、「これは私が描いた絵ではない」と吠えた
その絵は貝沢市にて所蔵されていたもので、急遽、館長の村岡(萩原聖人)と副市長の大井(久保隆徳)が呼び出された
画商(田中健)から詳細を聞いても「古い話は覚えていない」と言われ、その絵がどのようにして展示会にまでたどり着いたのかはわからなかった
数日後、責任を感じた村岡は、奇妙な遺書を残して自殺を図った
そして、彼の意思のもと、参列者に遺書の複写が配られることになった
そこには「落日」に対する想いが綴られ、あの絵が贋作だとしても、私の心に訴えかけるものは本物だった、と書かれていたのである
映画は、その絵が中央美術館の元館長・清家(仲村トオル)の元に送られるところから動き出す
彼は絵画の修復などに携わっていて、彼の元には世界を騒がせている贋作の情報が舞い込んでいた
そのどれもが精巧な作品になっているが、おそらく同一人物のものではないかと推測されていた
そんな折、北海道の小樽にて、一人の女の水死体が発見される
女は近くの小料理屋の女将・牡丹(清水美沙)で、彼女の全身には刺青が彫られていた
その取材に訪れていた記者の伊吹(三浦誠己)は、偶然入ったバー「マーロン」にて、ある絵を見つける
世界的に有名な絵の模写のようだったが、どこか違和感のある絵で、伊吹はそれを写真に撮って、清家に見せることになった
清家は絵の中に刺青のようなものを見つけ、絵のサインが「Lyu」であることに気づく
そして、30年ほど前に姿を消した、天才画家・津山竜次(本木雅弘、高校時代:小島佳大、幼少期:田村奏多)のことを思い出した
彼は、修三と同じ師匠の門下生であり、高校時代にある事件を起こしていた
それは、師匠の娘である安奈の背中に刺青を彫ろうとしていて、それが理由で姿を消していた
小樽の女将の刺青も彼の仕業と考えられ、清家はそのことを安奈に伝える
そして、彼女は一路、小樽へと向かうことになったのである
映画は、基本的には竜次と安奈のラブロマンスなのだが、高校時代の刺青騒動以来会っておらず、二人の仲がどこまでのものかは描かれない
安奈がその後、修三と結婚することになった経緯とか、竜次の番頭を務めているスイケン(中井貴一)の背景もほとんど語られない
このあたりの設定は、映画のメモリアルブックに載っているので参考になるが、映画であの設定を読み解くのはほぼ不可能であると思った
物語は、竜次が「赤」にこだわっていて、それが海難事故で亡くなった両親が最後に見た「迎え火」であることに気づくのだが、そのシークエンスも安奈と会ったことで気づくという意味不明な展開を迎える
安奈と両親の海難事故の接点はほぼ無く、その事故によって竜次がどのような青春時代を送ったのかはわからない
その辺りをほぼカットしているので、竜次の心境の変化というものが映画からは読み取りにくくなっている
さらに、映画の根幹となるテーマは「美の価値」であり、それは金額や権威に囚われないものだということなのだが、それが人生を賭けて探した赤と繋がっていると感じるのもかなり難しい
結局のところ、美とは自己満足の世界で、そこに到達することができれば画家冥利というもので、それが見る人にどんな感情を与えるかはどうでも良いという感じに見える
そんな中でも、村岡のように感化される人もいるというもので、そういったものの価値と世間の認識のズレが不幸を呼んでいるようにも読み解ける
何が正解かはわからないが、ざっくりとした印象はこのようなものだったと書き留めておきたい
いずれにせよ、この世界観やテイストが好きな人向けで、それが万人受けするかはなんとも言えない部分がある
結局何の話だったのかわからないというところもあるし、安奈に刺青を彫らなかったのは正しかったみたいな感想になっているが、どう見ても怖くなって逃げられただけで、刺青を否定すると死んだ女将が浮かばれないような気がする
色々とわからない部分はメモリアルブックで補完するしかないと思うが、映画代ぐらいはするので、購入に関しては余程の動機がないと勧められないというのが正直な感想である
美学とは・・・
東京大学文学部美学科卒の倉本聰の恐らくスワンソング。「永仁の壺事件」をもとに贋作とは真筆とは‥この問題に迫る。とにかく圧倒的な配役陣。これはチョッとやり過ぎじゃない?とは思ったものの、そこはそこ、倉本の集大成。倉本は主演の本木に乗り移ったかのような演技代行でひぞっこの若手女優を間接愛撫するためのシナリオと言って良いかも。これなどはまさに田山花袋の美学の世界。完璧なまでに配置構築されたファクターが、最後はハンドリングできずにすべてが別々にろうそくのように溶けだして、具象絵画が後半抽象へと瓦解していく様は倉本の晩年ぬふさわしいと言えよう。とにかくこの映画、印象は古い!!である。一切の今風は封印しまるで昭和40年代のドラマを見せられているような感覚に陥る。ターナーやモネの作品が晩年抽象絵画のように瓦解していく様に被せたかったのかもだが、もう少し元気なうちに、もっと個性強めの監督にその脚本を渡してもらいたかった。ちょっと様式化した時代劇の昭和版を見た思いだが、これはこれで堪能で出来たと言えよう。
あと、言い忘れたが本木と小泉の演技は圧巻。特に小泉は下あごのたるみを度アップでスクリーンに曝してなおその表情の美しさ、変幻さでその魅力はまさにミューゼもの。本木も難しい画家のふるまいを演劇的ともいえる高次元なパフォーマンスで圧倒した。
若干、無理矢理ありだけど…⭐︎
日本で大家と言われている石坂浩二演じる田村の自身の展覧会で一枚の絵が本人から贋作と言われ、
その絵は昔、天才画家と言われた男が描いたものだった…というプロローグから始まる物語。
話しの筋はともかく、倉本聰の映画に出るということからなのか、本木雅弘が渾身の演技。
他にも倉本聰の御意向で素晴らしい役者さんが隅々まで勢ぞろいしている。
でも、自分はやはり中井貴一に一番目がいってしまう。
素性はほとんど最後まで明かされないまま、本木を「先生」と呼んで支える。
TVの「トラベル・ナース」のなかでもそうだが、慇懃無礼な丁寧な物言いがこれほど似合う人は
あまり居ないのではないか。
彼がいなかったら、この作品そのものが無くなってしまうくらい存在感がすごい。
このサイトで美術関係の方から厳しいコメントが上がっているけど、全くの素人の私には
絵画については正直わからない。
ただ、萩原聖人演じる村岡が「魂が震える」と言うほどの感動が絵画から得られる人も
存在するんだろうとは思う。
「徹子の部屋」に番宣で本木雅弘が出演した際、簡単に言えば「美」とは何かと言うことが
テーマとコメントしていたが、倉本聰が表現しようとしたものはそれなのか?
バンクシーの作品もオークションなどにかかると自分などはやはり金額だけで、価値を
判断してしまっている。
でも、知らないから物差しがそれしかない。
画家が刺青師と言う設定は必要だったのかとか色々疑問符もつくけど、最後まで面白く
鑑賞出来た。
ただ、倉本聰の最盛期の作品も知っているだけに、歳をとって説教臭くなってしまった
ように思ってしまった。
これは時代に搾取されたジェンダーの浪漫
役者の演技は良かった。
芸術とは何か
絵画の力・美とは何か
権威が支配している構造に対して実力や自分の表現を大事にして作品を生み出すことを
人の作品のキャンバスにぶつける
自分の彼女に同意もなく彫物を押し付ける
結局は力で支配しようとする。
感情と行動を混載して作品にする主人公津山竜次
魅力的には見えるけど
この人が一緒にいたらDV体質で幸せを分かち合う
つくり合う対等な関係にはなれない。
狂気に満ちた作風🟰芸術的に優れた作品としたのは頂けない。
津山の思いが自分の親だけしか向いてない。
自分の満たされなかった思いから自立していなく
後の人は道具の様な認知
だから田村夫人のキョンキョンはずっと会わないでいられたんだよね。
この映画の魅力は役者
映画もモッくんとキョンキョンとしか見えない
この2人でなかったら
すごく嫌な人物、2人に見えた。
キャストの勝利
中井貴一演じるスイケンと名乗るマネージャーはホントに作品を愛したのだろうけど
先生と言うところでやっぱり主従関係
人として対等な映画が観たいな
今までの世の中がウンザリだから
ニコラシカ、ご一緒したいですw
今週の2本目、気になる作品は数本あるものの、どうしても「今、劇場で」と言うほどの熱意にまで至る作品がなかったのですが、今年90歳になる倉本聰さんの原作・脚本はやはり観ておくべきか、と思い直して劇場へ。サービスデイのTOHOシネマズ日比谷、11時20分からの回は私の予想をはるかに超えて驚くほどの客入り。なお客層の大半は私(53歳)よりも上に見える方ばかりで、あまりサービスデイは関係なさそうです。
で、観終わった私の本作に対する印象は「枯れない高齢者(おとな)向けのロマンティックファンタジー」。倉本さんの所々現実味のない設定や展開の脚本に、若松監督の思い入れが溢れる超濃厚な演出は、その世界観に没頭出来て「心底美しい」と感じられればハマれるのでしょうが、正直なところ私は終始「無感情」。つまらなくはないのですが、生きる世界が違う人たちの話であり、その上リアリティーが感じられないとなれば、如何せん感情は動きようがありません。
とは言え、見どころがないわけでなく、何と言っても豪華な俳優陣の渾身の演技はとても素晴らしく、皆さん強く印象に残ります。特に展開上、重要な役割となる人物を演じる清水美砂さんは必見。清水さん演じる「牡丹」の普段のさばけた感じと、愛する人への艶っぽさのギャップについついそそられます。(ニコラシカ、ご一緒したいですw)一方、観ていてやや混乱しそうになったのが石坂浩二さん。演技は抜群にお上手な上に、「田村修三」と言う役にはピッタリのキャスティングなですが、どうしても石坂さんの実年齢が周りのキャストの皆さんと比べ突出して高く、観ている最中もつい、役柄上の関係性に戸惑いを感じてしまいます。石坂さん、とってもお若く見えますが実年齢は83歳ですからね。。単体でははまり役でも、他とのバランスはやや悪いと言わざる得ないかな、と感じます。
と言うことで、「本木さんと小泉さんの32年ぶり共演」など話題に事欠かない本作。レビューは少々ネガティブになってしまいましたが、あくまで好みの問題で作品を否定する意図はありません。現在53歳の自分が子供のころから見てきた方々を、今もこうして観続けられている幸せは正に「人生の醍醐味」。やはり劇場で観て良かったと思っています。感謝。
倉本聰の集大成ってことですか
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこい...
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこいいのね♪ 羨ましい(笑)そういう点では・・この映画の生きる主題だったかもね♪
久々の倉本聰さん作品、これは鑑賞するしかないでしょ・ということで映画館♪
倉本さんらしい、顔アップでの感情表現の演出は健在・・。かれこれ、随分昔に倉本聰さんの「幻の街」を題材に学んだコミュニケーション学、その技法が、今もそのまま活かされてました♪
物語は・・やはり北海道が舞台、うーんな部分もなきにしもあらずですが・・・。特に、牡丹さんは・・まぁ、状況説明のために必要な役柄なのでしょうけど・・あんな形で退場させる必要あったのかなぁ・・と思ったり・・。
キョンキョンの「ありがとう」は、何に対しての感謝だったのかなぁ・・とかね・・。
「2丁目3番地」以来の倉本作品の、石坂浩二・・老けたなぁ・・。というか・・ほとんどの登場人物が・・老けたなぁ・・という感じのキャスティング・・。登場人物の平均年齢が、日本の高齢化も反映してるのかなぁ・・・。
結論としては、倉本さんがこの映画で伝えたかったのは「美しい」は、絶対的な感性で感じるもので・・お金や、鑑定証、など世俗的な、相対的な基準を持って判断されるものではない・・ということか・・それには、両手を上げて賛成。
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