海の沈黙のレビュー・感想・評価
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俳優の持ち味がいまいち活かされないまま感無
活かされてなかったのかな。どなたも存在感のある俳優さんばかりでおもしろいと思ったのだが、正直「あれこれ観たんだっけか」と思ってしまった。単なる個人的な感覚の衰えかと思ったが、残念ながら引き込まれなかった作品はいつもこうだ。
全体としてはミスキャスト
倉本聰が長年温めていた企画、しかも審美的なテーマという意外さもあって、結構な期待感をもって観た。
画家自らが展示作品が贋作であることに気付き、そこから巻き起こる騒動の中で、作品に魅せられていた美術館長が自死するまでは、ミステリー要素もあって引き込まれる。しかし、場面変わって、小樽での刺青をめぐる人間模様のあたりから、どんどん話が広がって、ついていくのに一苦労。老いた芸術家が若い女性の肌を求めるのは、手垢がついた感じで白けてしまう。
そもそも、石坂浩二と本木雅弘が同期のライバルで、小泉今日子を奪い合った仲という設定に無理がある。本木雅弘も、その付き人の中井貴一も、本当はもっと年配で枯れたイメージだったのでは?この顔触れだからこその魅力はあるが、全体としてはミスキャストと言わざるを得ない。
美術館長の遺書にあったような「作者が違うと分かったら、その作品の価値が失われてしまうとは、どういうこと?」という問いかけは、奥深いし、この作品のテーマに通じると思うが、贋作に耽けつつ真の美を求めるという主人公の姿に、うまく重ね合わせることはできなかった。
今時の日本映画には珍しい大人向けの品格のある作品になるかと思っただけに、残念。
仕上げを急ぎすぎた50号大作
美を追求する孤高の画家の姿を描いたサスペンスタッチのドラマで、前半は抜群に面白いけど後半はなんかしっくりこなくてお話しも尻切れトンボな感じで残念。洋画家の大家が、展覧会に展示されている自分の作品を贋作と指摘したことから大混乱になるスキャンダラスな出だしは,緊迫感たっぷりです。やがて贋作者の正体が分かり、さらに大家の妻や正体不明の代理人が絡んできてお話しが面白くなってきます。ところが、主人公が登場する後半から、作品が非常に観念的になってしまいます。本木雅弘演じる求道的な主人公像が強烈で画面に引き込まれますが、何故贋作に手を染めたのか、刺青と贋作ビジネスや油絵との関連やかつての恋人との情念もはっきり語られず、終始モヤモヤした感じでした。セリフで簡単に説明されてはいますが、市川崑みたいな短いワンショットでも挿入してくれると、イマジネーションが広がり作品の厚みも出たような気がします。役者では、まさに本木雅弘の渾身の演技が素晴らしかったです。両親の死と浜辺の迎火の映像に苦しみながらも作品に昇華させていくパフォーマンスはすごかったです。特筆すべきは、中井貴一で、裏社会の闇を感じさせる不気味さと主人公への崇拝ぶりのコントラストがインパクトありました。石坂浩二は、洋画家の大家らしい風格がありましたが、主人公や仲間トオルと同期とは、年齢差がありすぎでした。
もっくんかっこよすぎ。
まずそれ。仲村トオルもたしかにかっこいいけど、比にならない。オーラが違う。古泉今日子ののおばさんを隠さないっぷりの美しさも然り。顔をいじりまくって若さを保とうとする誰かよりよっぽど良い。最後の絵の素晴らしさよ。是非とも海の沈黙を見たかった。でもそうなるよなー。そうだよねー。共に鑑賞した夫が、落日の本当の作品はどこにあるのかが分からず、腑に落ちないと言っていたが、そこじゃないよね。そこは本筋と違う。確かにとは思ったけど、全く気にならなかった。そこよりも気になるのは中井貴一との出会い。30年前なら一番苦しい時に、一料理人とどうしてあそこまでの関係になったのか。そして顔の傷と杖。謎すぎでしょ。
倉本聰というブランドのせいかは分からないが
ずっと画面が陰影濃く薄暗いし、展開含めて正直古臭い作品だなと感じた。
それほどハデな展開もなく、孤高の天才が評価されることもなく人知れず死んでいく。中井貴一の役の正体もよく分からないし、いろんな人間が突然現れ消えていくといった印象。昨今すっかり活動家的な言動で界隈を騒がせている小泉今日子が大写しになるたびに、正直少し見てて良い気はしなかった。役と役者を混同しないようにはしたいんだけどね。
倉本先生、再度挑戦を!
石坂浩二が、「これはガンサクだ!」とのシーンがあるが、
私は、「これはダサクだ!」と心で叫んだ。
いろいろ盛りだくさんで、本来の芸術作品の価値、或いは美についての主題が弱いものになったか。
贋作事件も石坂浩二の1点あたりでよかったし、入れ墨云々の挿入も必要無かったように思う。
全編通しての恋愛物語は通奏低音のようで、これはこれで2次テーマとしていいが、問題は主題の絵画美についてである。5,60年前ならヒットしたかもしれないが、絵画に対するセンスが今の時代にどうか。例えば、中川一政画伯が生きていたあたりの絵画感。80代や90代の絵画愛好家あたりが好みそうである。現代の映画なのだから、もう少しいろいろな専門家の助言を取り入れても良かった。
具体的には、油絵の具を爪一杯に付けたままの状態だったり、顔に塗りたくったり、わざとらしい。油彩はシンナー系の揮発性オイル。体に悪く癌などで体を壊す絵描きもいた。また血しぶきがキャンバスに着いたまま絵の具を塗り重ねるが、血液は乾くと黒ずむ。絵の具の扱いが素人ではないかな。
美について、が主テーマなのだから、そこに収れんさせてほしかった。
例えば、役所広司が主役の「パーフェクト・デイズ」のように淡々と、しかし力強く表現してほしかった。尊敬する倉本先生、もう一度挑戦して💛
芸術をテーマに再度!
期待が大きかったか
永仁の壺事件に題材を取ったとの前宣伝で大いに興味を惹かれ、もっくんが好きで、石坂浩二、中井貴一も好きな役者ということもあり、期待が膨らんでいたのかも知れない。
テーマに共感はするが、映像も音楽もイマイチ。クールではない。キョンキョンには品がないし、ラブストーリは邪魔でさえある。裏社会を匂わせる書き方はなんか嫌だな。
豪華なMV、といっては失礼だけど
音楽がよかった。主人公の画家(本木雅弘)の最後の絵が良かった。贋作を作りつづけた彼が最後に描いた渾身のオリジナル。この映画のために描かれた「小道具」の一つなのだろうけれど、本当に良い絵だと思った。ラストシーンは美しい。
とても豪華なMVだと思ってみればいい、と言ったらあまりに失礼か。
痩せさらばえ、死にかけている画家になりきった本木と、彼に生涯尽くし続けた「番頭」の中井貴一は良かった。石坂浩二の演じた画家は、本木の同級生(!)、おそらく中井貴一より年下、という設定だったようなのだが、当然のことながらそうは思えないので、中心人物たちの人間関係が理解できず混乱する。キョンキョンと夫婦というのも、「有名な画家と、親子ほど年の離れた妻」だと思うから、普通の夫婦じゃなくて裏があるんじゃないか、キョンキョン演ずる女性もダークな側面があるんじゃないか、と無意識に思ってしまう。むろん石坂浩二に非はないが、明らかにミスキャスト。中村トオルがあの役をやれば良かった。
清水美沙と若い女性については、刺青とか「美」とかよりも、死が真近に迫った老人の妄執、若い女の肌に対する凄まじい執着にみえる。永井荷風や谷崎を思い出すまでもなく、老人というのはそういうものなのかもしれない。それはそれでいい。しかし、主人公が語る「美」とはずれている気がする。
美は、沈黙する
稀代のシナリオ作家倉本聰氏、今作で描こうとしたテーマ
[美]とはなんぞや。美とは利害関係があってはならず、美の価値は、ある特定の人々によって決定されるものではない。
美は美であってそれ以上でもそれ以下でもない。
ラストに至るセリフ、また、インタビューなどでもそう答えておられる。
ひいては、物事事象の一断面のみを切り取り、それだけで判断し行動、発言しがちな現代社会の私たちに対するアンチテーゼでもあろうか。
今作、物語は世界的画家の展覧会における贋作事件。それにより、画壇を追放された1人の才ある画家の姿が、立ちあらわれてくる。
映画のシナリオは説明的ではない。放逐された画家津村と田村の過去の確執、津村と彼を支えるスイケンとの関係、清水の存在、かつて恋愛関係にあった田村安奈とのエピソード…など多くを説明的にみせることはせず、観念的にかなり寄ったシナリオだ。
北の国から、やすらぎの郷シリーズなどとは異なったアプローチである。
キャスト陣が素晴らしい。
画壇を追放された天才画家津村を演じる本木雅弘。時に静謐、激情に振れる余命いくばくもない孤高の画家を、秀逸に演じる。支えるスイケンの中井貴一の圧倒的存在感。小泉今日子の、静かにしかし激しい想いをひめた演技。石坂浩二、清水美砂、仲村トオル、など名優ぞろい。
監督若松節朗。初期作ホワイトアウトで日本にも大作アクションを撮ることができる人がいるのか、と驚いたが、
あれから20数年、沈まぬ太陽、などの大作からTV人間ドラマまで幅広く監督している。近年見たTVドラマ、ガラパゴス。そのメッセージ性も相まって、ダイレクトに胸打たれた。
今作もまたスケール感の大きな画作りに、人間の運命、繊細な感情をスクリーンにやきつけている。
劇中、今際の際で津村が見るゴッホとの夢。
津村が描いた絵画をゴッホが良い作品だろう、と言う。
今作の核ともいえるシーン。
自らの価値観に対するゆらぎ、現代社会への挑戦ともいえるメッセージ。
自らに問う。お前は本当に美しいものをみたことがあるのか、と。
ウーーム
この作品、2時間でまとめるのに無理があると思った。
美術品の贋作騒動に彫り物、過去と現代の行き来と散らかってる印象ばかりが気になった。
本木さん、小泉さん、中井さんなどなど役者は揃っているのにもったいない。
中井さんは、嘘八百のキャラとかぶっているし、仲村さんは、あぶデカのキャラのまま?
見てからもなんかモヤモヤだけが残る映画でした
もう少し長くなっても良いから、 それぞれの人物の背景とか、 結びつ...
もう少し長くなっても良いから、
それぞれの人物の背景とか、
結びつきとか、
その辺もっと詳しく書き込んでたら、
もっと良くなった気がする
倉本聰さんなりの美へのこだわり
日本最大級の美術展で絶賛された名画の「落日」が、贋作とすり替わっていた。それを作者の田村自身が見抜いて告発した為に起こる悲劇。一方、全身刺青の女性の自殺体が発見され、二つの事件に共通した人物が浮かび上がる…
私はどちらかというと写実的な絵が好きですが、本作に出てくる絵は巨匠の物も含めていいなあと思いました。本木雅弘さんは美しいですね。清水美沙さんも綺麗でした。
ストーリーは有り得ない感じで退屈でした。
気になったところ
①美の定義
「美は絶対で、それ以上でも以下でもない」みたいなセリフには共感できないです。誰が見てもきれいなものってありますが、絶対ではないです。何を美と捉えるかは、人によって、場合によって違います。「誰が何と言おうと、良いものは良い」という事なら分かりますが、それって主観です。
②刺青を取り上げたこと
刺青を芸術の一つとして描くならまだ分かりますが、そういう扱いにはなって無かったです。
昔、山田太一さんの「早春スケッチブック」のオープニングに、内容とは全く関係ない刺青の背中の画像が出てきた事を思い出しました。それは確か山田さんの指定です。倉本さんの「優しい時間」でも、息子が刺青を入れてしまいます。本作にも、「アザミの背中に刺青を入れなくて良かった」というセリフがありました。それらは刺青=社会からはみ出した者というイメージに繋がりますが、孤高の天才画家にそのイメージは必要でしょうか。
③女性の扱い
牡丹もアザミも、従順で男にとって都合のいい女です。若い頃の安奈も、一度は刺青を了承したけど怖くなって逃げ出したように見えました。10代の恋人に刺青を入れようとするなんて、どうかしています。
竜次の母は、漁の仕事をしているのに本当に透き通るような肌だったんでしょうか。余程良い化粧品を使わなければ美肌は維持できないと思いますが。多分、日に焼けて逞しく、大きな声で笑う陽気な母では駄目なんでしょうね。女性は色白でたおやかで従順でなければならないという固定観念じゃないですか。
④スイケンのキャラクター
凄腕の料理人なのに、竜次の為に自分を犠牲にして尽くす男。田村を「田村くん」、安奈を「お嬢さん」と呼ぶのも気になりました。
⑤本物の「落日」と贋作をどうやってすり替えたのか、本物はどこにあるのかが謎のままです。
タイトルの「海の沈黙」、竜次がこれをどういう気持ちで書いたのかは伝わってきませんでした。
海の沈黙
さすが倉本聰さんの原作です。
それを忠実に映画化し、加えて豪華な俳優スタッフが素晴らしい演技で彩った作品でした。
鑑賞前の評価では、あまり高くなく、期待したほどではなかったとの低評価でしたが、全くそんなことありませんでした!
受け止めは個人差がありますが、価値ある作品と思います!
海のはじまり‼️❓silent‼️❓特茶‼️❓
貧すれば盗み、贋作詐欺を正当化、芸術や人間性を貶め、何を感じれば良いのだろう。
キャンバスが真白である意味がわかるのだろうか、我思う故に我あり、自我すら無い人間に芸術を語る資格は無い、ゴツホやダビンチに比べて勝つなんて考える人間は芸術を語るべからず。
演者に罪は有りません、主役もみんなも、それなりに良い演技です。
本木ファンならどうぞ。
大体予告通り
2024年劇場鑑賞317本目。
出演俳優は脇役に至るまでやけに豪華ですが、内容は予告で想像出来る範囲を超えないレベル。中井貴一が予告では出ていることに気付かず、作品によってはちょっとわざとらしい演技が鼻につく時もあるのですが、今ドラマでやっている「海に眠るダイヤモンド」の酒向芳みたいな秘書役だとめちゃくちゃ味があって良かったです。
後本木雅弘が石坂浩二と同格の重厚さを身に着けていたのも驚きでした。でもストーリーがなんか深いようで浅い・・・。
やはり・・・
期待をして鑑賞に臨みましたが 中盤で、やはり 寝落ちしました 。倉本氏の作品には優れた役者が必須だと思います。高倉健、萩原健一、田中邦衛、いしだあゆみと言った素晴らしい先人たちのセリフのないシーンの芝居を見るだけでも、楽しめた作品が多かったと思います。今の時代にそれを求めるのは、やはり難しいのだろうと感じさせられた作品でした。
美しさ
本当の美とは、贋作が意味するものとは、芸術の素養のない私には難解なところもありましたが、この作品の場面場面の映像の美しさは分かりました。
陰な生涯を余儀なくされた津山でしたが、周りの雑音を気にすることなく、支えてくれる人たちと一緒に自身の感じる美を追求するように過ごせたことは、多くの人にとって羨ましいことですよね。
画家ですから言葉少なな様子は真に迫っていましたが、どんな思いで暮らしていたのか、最期を迎えるにあたって心情にどんな変化があったのか、もう少し説明があっても良かったかなと感じました。
特に、安奈さんのことは結局どう想っていたのよーというところは消化不良な印象でした。
平凡な展開の良作
津山と番頭を務めるスイケンとの出会いなど、もう少し詳細を描いてほしいと感じる部分もあるが、あえてそれを描かないことも制作陣の計算なのかもしれない。
作中ではやや噛ませ犬のような描き方をされる田村画伯だが、自身の作品展に贋作が紛れ込んでいた際にそれが自身の作品よりも優れていることを理解しながらも告発すること等を鑑みると、画家としての信念を持った人物だと言える。
ストーリー展開は良くも悪くも普通の展開ではあるが、絵画をテーマとしているためか映像は洗練されている。また、登場人物のほとんどが矜持を持つ人物として描かれているため、鑑賞後に余韻が残る作品だった。
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