劇場公開日 2024年11月22日

「美を描いた美しい映画」海の沈黙 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0美を描いた美しい映画

2024年12月5日
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鑑賞方法:映画館

倉本聰89歳。直近のインタビューでもしっかり語っているし、いまだにタバコ吸ってるし、とてもお元気なのですが、さすがに映画はこれが最後ではないかと思います。
まずは60年間向き合ってきたこの作品を完成し、公開できたことに賛辞をお送りしたい。
なので石坂浩二と本木雅弘が同窓の役は無理があるとか(→石坂浩二は20歳ほど若作りし本木雅弘は5歳ほど老け作りしたので問題なし)本木雅弘が贋作描きながら刺青の彫師である必要はない(→刺青も芸術のひとつ。父から受け継いだ才能なのです)などの話は、みんな飲み込みます。

映画の主題は「美とは何か」の1点に集約されており、さまざまなエピソードは「美に行き着く」為に用意されている。象徴的な出来事として語られる津山竜次が学生の時、金がないからキャンパスが買えないので師匠の作品を塗り潰し絵を描いた事件は倉本聰が有名な画家である中川一政の実話から導き出したものであるが、その塗り潰した絵がたとえピカソやセザンヌでも新しく描く絵が素晴らしいものであれば何も問題はない。美とはそういうものだとのことです。
そして、最後に津山竜次が描ききった大作はどうしても欲しかった赤の色は(自らの吐血で)たどり着いたものであった。本木雅弘の凄まじい演技であった。寄り添っていた中井貴一演じるスイケンも良かった。
小泉今日子も清水美砂も菅野恵(新人)も皆んな良かった。
素晴らしい映画、ありがとうございました、。

アベちゃん