海の沈黙のレビュー・感想・評価
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芸術は美の上に美をつくらず、美の下に美をつくらず
水曜サービスデーの本日は、あの「北の国から」で有名な巨匠・倉本聰さんが長年にわたって構想したという渾身の作品「海の沈黙」をチョイス。
まず、言わせて欲しい。
主演の本木雅弘さん、私らの世代からすれば、シブがき隊のモッくんですよ。ほんでもって、メインの女優さんは、小泉今日子さん。なんてったってアイドルのキョンキョンですよ。懐かしい〜😘この共演をスクリーンで観れただけで、まず眼福🙄ガチアイドル出身のお2人を支える面子がまた豪華!中井貴一さん、仲村トオルさん、萩原聖人さんなどなど、渋おじイケおじのオンパレードでございます。役者さんのお顔に刻まれたシワに侘び寂びを感じる歳になりました。自分もおんなじ様に歳をとったのね〜。
観終わった率直な感想ですが、
ひと言でいうなら、
「わかるわかるんだけど、惜しい!」
かしら。
こちらの作品、2時間の映画で終わるにはあまりに惜しい!秘められたことが多すぎてモッくんとキョンキョンの恋に関しては、全く感情移入できませんでした。数話完結の連続ドラマで観たらもっと面白くなっただろうなぁと思わずにはいられません🤔
とはいえ、
映像の美しさや渋おじたちの重厚な演技などなど、見どころは満載!
生成AIが簡単に芸術をも凌駕しそうな昨今だからこそ観ておきたい🧐「本当の芸術ってなんだろう?」「芸術の価値ってなんだろう?」などなど、
芸術について改めて考えたくなる良作映画です♪
少しずつ、人々の連なりが姿を現す
人と人同士、人ならぬ絵画やアイテムまでも、その繋がりを明らかにしていく面白さ。この映画の楽しみはそういうところかと思いました。最終的に、最初に見せたアイテム「主役に似せたロウソク」に舞い戻る、描かれた真円のなんと美しいことか。
そもそも、下手の横好き感覚で、知識も経験も無く美術館に足を運んでいたこともあるのですが、「絵画に於ける贋作裏話」とか「真作を超える贋作」というテーマがとても興味深く、そこから一つずつ人の繋がりが見え始めるため、話を追うのが面白くて仕方が無い。
かと思いきや、ポンと刺青に話が飛ぶため、「なんのこっちゃ」と思いきや、それこそが、ことの真相へと直結。そしてようやく登場する、主演・本木さんの渋いお姿。ゴッホを100倍格好良くしたような本木さんのビジュアルがなんとも素晴らしい。溜めて、溜めて、「待ってました」と、ようやくのご登場がなんとも憎いですね。
ビジュアルのみならず、あくなき芸術を追い求める姿こそ、視聴者が求める理想郷。それと対比して「真作に加筆されてしまった画家」の石坂浩二氏が演ずる田村氏が、相反する存在として登場させられ、もはや、なんだか可哀相。
名を売って金を稼ぐ対照的な画家として登場させられてはいるけれど、ちゃんと自分の筆ではないことに気づき、強く咎められているにも関わらず、記者会見を開いて発表に踏み切ったこともあり、あまり悪い印象はありません。それで普通の人の姿だと思います。
それを超えて飽くなき芸術家の探求を重ねていったことが、体を蝕み、寿命を縮めたような気がして仕方がありません。作中、特に言及されていませんでしたが、主役の「芸術の呪い」に、主役を推したあの美術館の館長や、主役の「2番目の女」である彼女も、まるで「芸術家の呪い」に引き込まれてしまったかのように、自ら命を絶ってしまった。
別に「真の芸術家の魂」をまるでホラーの呪いのように言及したくはないのですが、この映画には「死」のアクシデントが散りばめられ、最後には今際の際で「3番目の彼女」に別れを告げに現れた。「1番目」のキョンキョンが逃げたのは「呪いから逃げるため」であって、「3番目」には「呪いをかけたくなかったから」という理由で、それぞれ刺青が掘られなかった、という私の考察は突飛でしょうか。
それはさておき、この映画の錚々たる役者陣には凄いと想うのは私だけでしょうか。本木さん、キョンキョン、石坂浩二氏、仲村トオルさん、中井貴一さん、等々、誰もが何処かで眼にしている有名人が揃い踏み。これもまた、人との繋がりを面白くした最大の要因ではなかったかと思います。
あと、主役の本木さんは3人の美しい女性達を侍らせた、と言えば悪い言い方ですが、でも、まったく嫌味を感じないですね。エロいようでエロさもなく、優しく、そして暖かいとまで言っても良いかも。ストイックな芸術家というものは、こうもモテてしまうのか。
最後、ワンちゃんがいい演技してました。彼(犬)もまた、主役の優しさを示すサインでしょうか。創作に苦しむ主役の心を癒していたのでしょう。それもまた、番頭を名乗る中井貴一さんの配慮だったかも知れません。
ともかく、良い映画でした。特に説明も理解せず飛び込んでみて良かった。
主要人物らの描かれないバックストーリーが作品の豊かさであり、物足りなさでもある
本編112分だが、物語のスケールとしては映画なら三部作、ドラマなら1クール分かそれ以上の長さがないと描き切れない豊穣さと奥深さがあるように感じた。原作・脚本としてクレジットされている倉本聰は、脚本とは別に「登場人物の履歴」に膨大な量の情報と歴史などを描き込み、出演者らに渡したという。本編で直接描写されないそうしたバックストーリーは、俳優らが役に命を吹き込む際の重要な源になり、人物らの会話の内容などから示唆されて、豊かな映画世界に貢献している。だが一方で、たとえば画面に映っている二人に過去にどんないきさつがあり、今の関係性があるのかなど、もっと知りたいのに想像するしかないもどかしさ、物足りなさを感じる部分もところどころあった。本木雅弘、小泉今日子、中井貴一らの演技が見惚れるほど味わい深いからこそ、キャラクターたちの人生をもっと見せてほしいと願ってしまうというか。
本木が演じる津山竜次は、稀代の贋作画家でありながら刺青彫師でもあるというおよそ現実味のない設定であり、その設定に説得力を持たせる意味でも刺青を彫るシーンは入れるべきだったと思うが、それも尺が限られているせいかもしれない。
倉本聰が脚本を担当しキャスティングにも関与するなど影響力があった1974年のNHK大河ドラマ「勝海舟」で演出スタッフと衝突し、脚本を途中降板してそのまま東京から北海道に移住したのは有名な話。大組織や大企業の論理、都会的なるものへの異議はドラマ「北の国から」などに込められ、本作にも通じる。創作物の良し悪しが市場価値で測られることへの違和感、伝統ある大きな業界の権威に対する反発についても、自身の体験を本作の孤高の贋作画家に重ねたように感じた。
天才の謎
倉本聰の新作に食指。
一般に巨匠と呼ばれる画家の高齢期の作品には、匠気も緻密さも消え去り、高揚感のみを叩きつけるような迫力を感じますが、さて倉本作品は。
監督はあくまで進行役という感じなので、脚本の完成度の高さは感じるのですが。
宮崎駿みたくもっとハチャメチャにやっちゃって良かったと思いますね。
冷静沈着な概括が倉本作品の若さであり、脚本家の宿命なのでしょうが。
晩年の画家の激情に対する憧憬の思いを感じました。
モックンはため息が出るほど美しいのですが、この役には少し早かったかな。
キョンキョンは実にいい顔をしていた。
キョンキョンのシーンだけを集めて観ていたいくらい。
コメントを寄せた著名人の中に津山に匹敵する天才アーティストがおりまして、天才は天才を知ると言うことで、彼女のコメントの中に作品の謎を紐解くヒントがあるとは思うのですが…
情けない事に私には彼女の言葉のいとが理解出来ないのでありました。
中々理解が難しい作品でした~
あまりにも芸術性が高いのか、凡人には理解が出来ない作品でした。
狂気の沙汰の一つ手前くらいのインパクトがあり、普通の考えでは着いていませんでした。
しかし、絵画については深く素晴らし物だと思います。
演技もさすがプロといえる一流の印象を持ちました。
古いねぇ
脚本が良ければ
良い映画やドラマはできるよ。
と言う事例の一つにはなるだろうが
ストリーの展開や設定が時代を感じさせて
まるで骨董市に紛れ込んだような気分で映画を見た。
倉本さんは北の国からで成功を収めた方だと言う認識だが
成功の背景にある時代感や視聴者の状況には
興味関心がなかったんだろうね。
と割とシビアな感想を残しておきながら一つ補足を
良い映画やドラマは、脚本とキャストの能力次第
それは事実だわ。
金田一(石坂浩二)さん、小池(中井貴一)さん、事件です、贋作です。
モックンの演技、特にラスト近くの気迫の演技が、印象的。キョンキョンも熟女になってきて、歳相応の演技が良かった。だか、配役の設定が??だと思う。石坂浩二の実年齢83歳。モックン58歳、仲村トオル59歳。同期という設定は無理があるでしょう。下手したら、モックンは、石坂浩二の息子役でもOKだと思う。石坂浩二には申し訳ないが、せめてモックンたちと歳の近い阿部寛とか、椎名桔平に演じて欲しかった。中井貴一は、相変わらず上手だが、「嘘八百」の古物商の小池さんのイメージがあるので、贋作云々という映画での出演はどうかな…(←もっと何年か後だったら良いかも)
あと、清水美砂の自死の理由と刺青に拘る理由が理解できなかった。😩
清水美沙の尻
なんだろう、とにかくストーリーが面白くないて退屈きわまりない。
中井貴一や小泉今日子の良さもあんまり出てなかったな。
仲村トオルもあんな端役で使うとかもったいない。
清水美沙の尻は良かった。
美の価値は
美の価値は誰かの評価によって決まるのではない。美そのものに価値があるのである。
絵画を題材にした美を追求する映画である。
生い立ちの不幸から美術の世界にのめり込み、不穏な出来事を経てやがて贋作制作に携わる竜次。
竜次の学生時代の恋人で、今は竜次のライバルだった田村の妻となっている杏奈。
数十年ぶりの再会。手が触れた一瞬に時を遡る。
けして幸福とは言えないここまでの2人の人生。お互いの人生について知る由もない。
ただ再会の場に喜びの笑顔はなかった。
死の床で聞いたかつての恋人からのありがとう。竜次は床を抜け出し絶筆となる絵を完成させる。
それは海で遭難した両親をなんとか救いたい竜次の血の色をした真っ赤な心の炎だ。
ここからは私の連想したこと。
厄介事のほんどは人間関係の厄介さ。
それまでのその人の人生など知ることもなく、ただ今のその人だけを見て、勝手に良い人そうでない人などと判断しがち。来し方など想像もせずに、人間関係が悪いなどと一方的な愚痴を言いがち。想像力と冷静な判断力、気をつけたい。
濃厚かつ重厚な邦画
まず1番!終了まで、あっという間です。
本当に良い作品…何でしょうか…シーンカットも美しく、サントラも最高でした。
何より本木雅弘が良い!!憑依型で狂演しており、個人的には海のシーンが凄まじかったです。
中井貴一も、思い出回想などのシーンも無いのに「先生との絆」が理解できる演技で感動しました。
登場は少ないですが、萩原聖人も大変良かったです。
何も考えず見てください、名作です♪
是非、濃厚な邦画を楽しみたい方は映画館でご観賞ください!!
倉本聰さんの久しぶりの作品という事で期待し過ぎた
倉本聰さんの久しぶりの作品という事で母が観たいというので一緒に観に行きましたが、内容がつまらな過ぎて開始20分で寝ていました
母は最期まで観てましたが、あまり好感が持てる映画ではなかったらしいです
さすが倉本聰、至極の物語
個人評価:4.0
絵画を扱った作品らしく、光の描写がとても美しかった。
美への純粋たる追求。あの遺書が本作の本質に迫っており、素晴らしい遺書であった。
もっくんと中井貴一の日本の二大イケおじの掛け合い。そのエレガントなやり取りをとてもうっとりとながめる。
石坂浩二もハマり役で、あの大物ポジションがよく合っおり、白い巨塔を思い出させる。
さすが倉本聰。至極の物語でした。
謎のご婦人キョンキョンは綺麗だが
作品は登場人物の個性的な設定と熱演が光るが、ストーリーやキャラクターの扱いにはやや疑問が残る仕上がり。
美しいが自己主張の弱い役柄のキョンキョンや、怒れる天才画家を熱演した本木くんの存在感が見どころ。
一方で、恩師の絵を破壊する行為や、洋画家が刺青を彫れるという展開には現実味が薄く感じられる部分も。
不気味なフィクサー中井のキャラクターは、モジリアーニを彷彿とさせるエピソードとともにストーリーの軸として印象的に描かれている。
「著名画家」というブランド有無で世間の絵の評価判断が左右するのは...
「著名画家」というブランド有無で世間の絵の評価判断が左右するのは事実であり、この映画が伝えたい「一枚の絵、それのみの美の是非」にまったくの同感でありますが、一方で「倉本 聰」の脚本(ブランド力)でこの映画を観に行ったのも事実であります(笑)。
映画に出てくる絵画は、パッと出も含めて総じて素晴らしく、この物語にふさわしいものばかり。スクリーン映写を通しての絵であるものの、何度も心動かされます。実際は誰が描いたのかCopilotで調べたのですが、「それは興味深い話ですね」と、訳わからない回答がきたのでわかりません。(パンフレットには書かれているのでしょうね)音楽や映像も美しく、それらを背景に田村安奈(小泉今日子)と津山竜次(本木雅弘)の人生晩年を迎えた役同士の再会シーンは、時の流れや変化により変わるもの、変わらない事を静かに感じさせてくれました。好演です。一方で津山と田村修三(石坂浩二)が学生時代の同期という設定は、本木さんが老けメイクしても年齢差は埋められず、観る側を混乱させるミスキャストと言えます。これを良しとしてまかり通ってしまうことがまた、「巨匠ブランド」の負の部分と言えるでしょう。
この物語のポイントとなる田村の描いた絵に描き加え、より良くしたという行為ですが、画力が制作者以下であっても、本人と違った視点が加わることによってブラッシュアップされることがあります。なので、終盤まで津山が天才的な画力を持つことを示すオリジナルの絵が一度も出てこなかったために、ラストシーンの一枚に期待したのですが、死線を乗り越え、熱く描き続けるシーンを見せつけられた上で出来上がった津山の絵は、果たして田村の絵を越えたのか。
「映画のラストを飾る絵だから」といった前置き無しに、ただ一枚の絵を見た時にあなたはどう感じるか。最後の最後で、観る側にもこの物語のテーマを突きつけられた気がします。
話は普通、役者の演技美
シナリオは至って普通であり、どちらかというと詰まらない部類に入るのでは。前半は展開も良く今後どうなるんだろうの引っ張りは良かったのだが、後半がかなりの失速で自己満足の登場人物達に萎えた感じ。
しかし、流石巨匠のシナリオに演出家も一時代を気づいた人物、キャストが素晴らしいさ。良くぞここまで集めたなって思う位ちょい役までガバーしている。役者の演技を観るだけでも劇場に行く価値あり。
倉本聰 89歳
陰影を絶妙に捉えた映像が美しく、随所のカットだけでも見応えがある。
落日の光に満ちたアトリエのシーンで、筆(かナイフ)に盛った絵の具の冴えた赤色は見事だった。
テーマも普遍的ではあるが、倉本聰ならではの切り口なのだろう。
時折セリフに臨場感がないような、高尚な内容なのに陳腐に聞こえる場面があって気になった。倉本聰さんは89歳らしい。お元気そうでなによりだが、身体能力の衰えは創作物に現れる。巨匠すぎて誰も諌言できないなんてことはないのかな…。
巨匠
とは相性が良くない。
彼のドラマにハマった事はない。
だから、集大成とは言われてもそれほど興味はなかった。
だが、時間的に他の選択肢がなく、消去法ですらなく観賞。
そんな後ろ向きな姿勢だから、初めから懐疑的。
だが、入りは意外に良かった。
予告編でわかっていたことではあったが、
贋作の経緯には興味を惹かれた。
残念ながらその後はどんどんトーンダウン、
特に目を見張るような展開はなく芸術のありようのような話に。
不滅の恋とやらも個人的には全く響かず、
経緯の説明不足で不可解さだけがどんどん募った。
刺青を取り上げていることにも嫌悪感が残った。
そして、最後の高尚なナレーション。
巨匠はこれを主張したかったのかʅ(◞‿◟)ʃ
それとも、もしかして自分も有望な若手を潰してきたという懺悔?
後者なら⭐︎2つ増やすけどw
元木はじめ俳優陣は大熱演。
個人的にはそれが大仰で舞台のように見えた。
また、石坂浩二は年齢的に違和感ありすぎじゃ?
巨匠の御希望?
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