「映画のポスターのイケメンの男の子は主役じゃない」忘れない、パレスチナの子どもたちを 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
映画のポスターのイケメンの男の子は主役じゃない
映画を見るときは、ネタバレが嫌なのでレビューはもちろん、予告編も見ないようにしています。
サユリ、あの人が消えた、アビゲイルなんか、ネタバレを見てしまったら、どこに怒りを持っていったらいいのやら想像するだけで恐ろしいたらありゃしない。
映画のポスターの第一印象で、このポスターの少年が主役のジョジョ・ラビットみたいな映画だろうと思っていたのだけど、
映画が始まってみると空爆で身内を殺された家族のインタビューがずっと続く映画で、亡くなった身内の生きていた頃と、死んでしまった映像が交互に映しだされていく鬱展開になるとは予想だにしていませんでした。
それよりも何が鬱かというと、亡くなった身内の事を語る家族の目つきが共通して、何かをすがるような目つきが葬儀屋で働いていた時を思い出すからなのです。
遺族からご遺体を移送する依頼の電話があって、寝台車で病院なり自宅なりに向かって、亡くなった故人の遺族が最初に見るのが俺なんだけど、その時の遺族の目と同じなのです。
あの目が嫌で嫌でたまらなくて、夢にも出てくるんですよ。あの目が。
もう、人の悲しむ姿を見るのが苦痛になったので葬儀屋からは足を洗いました。
人が亡くなってから、泣き叫ぶ家族というのにはお目にかかった事はなく、この映画のように冷静沈着に話しをするのです。葬式になったら、泣くんだけどね。
病気で闘病していたなら、まだ心の準備はしているだろうけど、空爆でさっきまで元気だった家族が亡くなるという喪失感たるや想像したくないです。
そんな遺族達に何人もインタビューをする監督のメンタルは真似できるもんじゃなくて、生きていた頃の写真と、破片が頭に刺さって死んだ子どもの写真の映像が流れた時は他人事とは思えない気持ちになり、早く映画が終わってくれないかと何度も願いました。
戦争はフィックションの中だけにして欲しいものです。メンタルが弱い人はあっちの世界にもっていかれるので見るなら自己責任で...。
戦争反対!!