「いろいろと妄想させてくれる」不都合な記憶 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろと妄想させてくれる
何度も使われている型をSFサイコスリラーとして表現した作品
さて、
表現方法は良いし、タイトルも物語をうまく表現している。
ただ、
この作品に登場する人物が驚くほど少ないのはなぜだろう?
主人公サイトウナオキ 妻マユミ 妻の彼女ジェブと彼女の店の人 そしてオガサワラ先生
マユミの店で暴れた外人
だけしか登場しない。
大勢という人の単位もない。
この辺がこの物語そのものが「幻想」や「幻覚」または「夢」を示唆しているようにも感じる。
メタスペース 宇宙ステーション 宇宙エレベーター 未来世界
この世界の4年前に、地球は大規模な津波によって壊滅した。
ナオキも話したように、人類が地球からほとんどいなくなり、地球の再生が始まっている。
人類が再び地球に住むことができるには、かなり先のことのようだ。
それでもわずかな物資が地球から届けられる。
そして重要な設定
人類は定期的に各々の記憶を「バックアップ」する習慣となっている。
「ナオキにとって不都合なマユミの記憶」
これがこの作品の正確なタイトルだろう。
ナオキに根付く父の虐待の記憶と痕跡
ナオキと父は同じ
思った通りにならないことに非常にいら立つ性格
加えて超粘着質
彼の人間性がドロイド「Q」に残されていると、マユミは言った。
この作品は、
ナオキのサイコパスを描いているが、マユミがそのことを彼に端然と教えたことがひとつの新しさだったのかなと思った。
マユミとジェブ
二人の付き合いはすでに始まっていた。
そこに現れたのがナオキだった。
「あなたが全部壊したのよ」
マユミの記憶に残るジェブ
彼女の頭から流れる血
おそらくジェブはナオキに殺害されたのだろう。
最後に登場したジェブは、アンドロイドだったのだろう。
さて、
ナオキによって破壊された数々のマユミのアンドロイド
Qは、密かに彼女らを修理していた。
各々中途半端な記憶しか持たないマユミ達
頬をくっつけることでお互いの記憶を共有できる仕組みのようだ。
こうして「等しく」なったマユミ達は、力を合わせて敵であるナオキを倒すために立ち上がる。
通常ここで問題となってくるのが、複数のマユミ達と「個」の概念と主役についてだ。
「あなたはナオキに殺される」
この付箋に書いたメモは、修理されたマユミが書き、Qに依頼し化粧台に忍ばせたものだろう。
それによってナオキを信用していない時代の最新のマユミは行動に出た。
そして彼女は、マユミたちのいる場所へとQに案内される。
その後の展開はサスペンススリラーとなっている。
刺されたナオキが最新のマユミだけをシャトルに乗せる。
ナオキはその前に彼女に「あなたが全部壊したのよ」と聞かされたことで、自分自身がしたことを回顧し、自分こそが元凶だったことを理解する。
そしてドックから外に飛び出し自殺した。
人間のマユミを殺し アンドロイドに記憶を注入
しかし、ジェブという恋敵の記憶は殲滅させたい。
この身勝手な発想と超粘着質な性質を持ったナオキも、自分がしてきたことを理解して悔いる。
以下妄想
人のいない世界
なぜ、人がいないという表現をしたのだろう?
もしかしたら、
この物語そのものがメタスペースだったのではないだろうか?
地球で起きたジェブ殺人事件と妻殺し事件
当然彼は逮捕される。
宇宙ステーションはもう少し先の未来
起きた出来事は、記憶を見れば簡単にわかってしまう当時の世界。
この物語は、ナオキの記憶を取り出したものを今後の彼の動向をシミュレーションし、そこに妻マユミの記憶を合わせることでより詳細にシミュレーションしたものではないだろうか?
そうすることで彼の罪状を決定するシステムだ。
そうして出来上がったのがこの物語となった。
AIで作った物語だが、彼には再犯の可能性しかない。
しかしながら、いつか自分がしたことをわかるタイミングがやってくる。
でも、待つことはできず、釈放もできない。
刑期は百年を超えるかもしれない。
司法はナオキに「死刑判決」を下すことになる。
これはそのためのシミュレーションだった。
なんてことが背後にある、のかもしれない。
コメントありがとうございます。
まずは目を大事にして下さいね。
辛くても我慢の時ですね。
お医者さんは「目を休めること、光るものを見ないこと、しばらくな」と
仰るでしょうね。
しばしの休養です。
ラジオを聴きながら家事のお手伝いとか、
あと私はしてないのですが、聴く読書とか。
私はNHKラジオのらじるらじるをよく聴くようになりました。
すぐ寝ちゃいますから、睡眠薬代わりです。
この映画、好みでしょうが、ストーリーがつまらないです、というか
石川慶監督は「愚行録」「ある男」「蜜蜂と遠雷」、
原作を脚本にする才能が優れています。
でもSFが本当にお好きなので、その内には花開くかも知れませんね。
おはようございます。
コメントありがとうございます。
素晴らしいレビューですよ。
Rさんの映画への情熱❤️🔥
私も映画が好きだと思ってますけれど、負けてると
思う時があります。
モチベーションの維持、もうすごいですね。
この映画もレビューに正解はないと思うので、でも
すごいレビューだと私は思いました。
コメントありがとうございます。
多分なのですが、劇場公開しない、世界と言っても、
4ヶ国語位の配信規模でした。
石川慶監督の中では、映画公開では出来ない冒険や
実験を試みたのかと思ったのです。
予算規模はAmazonが何億用意したかは不明ですが、
出演者が少ないのも、スターを何か月も拘束せず、スター2人規模で、
済ませて、
後はCGとVFXスタッフに任せた省エネの作品だったのでは
ないでしようか?
その点ではNetflixのオリジナル作品は大ヒット作品が多いです。
世界規模やアジア圏での。
そんな事を少し感じました。
昨夜観ました。
Rさんの、レビュー、この後多くの人に読まれて
共感されると思います。
私的には、西暦2200年。僅か176年後でしょうか?
宇宙の何処の星にこんな近代的な
【宙に浮かぶ高級レジデンスが?」
この設定がまず嘘臭い。
むしろ仰ることをお借りすれば、高級刑務所での、
殺人した男ナオキの妄想世界・・・
とてもSF映画とは思えなかったです。
宇宙空間や宇宙船などは完全にCG・VFXと模型でしたね。
真摯なレビュー、完全なる回答・・・だと思いました。