ベルナデット 最強のファーストレディのレビュー・感想・評価
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今なお”華”がある真の大スター、カトリーヌ・ドヌーヴの魅力! 政治、フェミニズムについて面白く訴える
シラク大統領夫人は、本人も議員として尽力しているにもかかわらず、世間には大統領夫人としてしか認知されず、まるで付属物扱い。
夫と娘と周辺の男たちの、女を見下した感じは、まさに当時の女性の扱いそのもので、今あらためて観せられると本当に腹が立つ。
それだけに、それまで小ばかにしていた男を参謀にして組んで、イメージアップ、一個人としての信念を取り戻していく展開が盛り上がる。
シラク夫人にこんな話があったなんて、全然知らなかった。
コメディ色漂うコーラスによる進行もユーモラス。
政治家としての活動、母としての夫や娘たちとの葛藤など苦悩もありながらも華やかな、ドヌーヴ演じる夫人、いや「ベルナデット」が、なんともチャーミング。
1970年代の映画雑誌「スクリーン」「ロードショー」の人気ランキングや巻頭カラーグラビアをにぎわせていたスターたちの中で、今も「世界公開される映画の主演を張っている俳優」が他にいるだろうか。
アラン・ドロン、ジャン・ポール・ベルモンド、ロバート・レッドフォード、スティーブ・マックィーン、ナタリー・ドロン、ジェーン・フォンダ、オリビア・ハッセー、ジャクリーン・ビセット・・・。
ふと考えるとトンデモナイことだと気づく。
ドヌーヴには、今なお”華”がある!
痛快だけれど、体型にギャップを感じる
初めに実物の写真が出て、それから主役のカトリーヌ・ドヌーブ氏が登場するので、体型のギャップを感じる。夫のシラク氏が大統領に当選した際には、消極的な姿勢で、内助の功を果たせるようにはみえず、そのうちシラク氏の女性問題もあったようで、夫婦関係が冷え切るとともに、主人公の提言が受入れられず、シラク氏は失政を続けてしまう。主人公は、シラク氏の関与しないところで社会貢献や政治活動を進めていき、サルコジ氏とも一線を画していたが、政権移譲に際して、シラク氏は意地を張り続け、主人公は巧に乗り替え、痛快な一言を発していた。
自分の長所と弱点を知ることで、印象というものはいくらでも変えていける
2024.11.13 字幕 MOVIX京都
2023年のフランス映画(93分、G)
実在の政治家ベルナデット・シラクの政治活動の一部を描いた伝記コメディ映画
監督はレア・ドムナック
脚本はクレマンス・ジャルダン&レア・ドムナック
物語の舞台は、1995年のフランス・パリ
大統領選を控えていたジャック・シラク(ミシェル・ヴィエモルズ)とその妻ベルナデット(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、堅実な選挙活動が実を結び、晴れて大統領に就任することになった
エリゼ宮殿に移り住むことになった夫妻は、執事ジャッキー=ピエール(スカリ・デルペイラット)たちの世話になりながら、選挙参謀のドミニク・・ド・ヴィルパン(フランソワ・ヴィンセンテリ)、ダビド・ドゥイエ(ヴィクトル・アルトゥス・ソラーロ)たちとともに今後の戦局の話をするミーティングルームになっていた
ジャックとベルナデットには二人の娘がいて、姉のロレンス(モード・ワイラー)は病気のために表には出ず、妹のクロード(サラ・ジロドー)は父の個人顧問として、イメージ戦略を担っていた
また、ベルナデットはコレーゼ県の県議を務めていて、この地区に高速鉄道を伸ばしたいと考えていた
夫も党を上げてバックアップをするものの、その政策はあまり動きを見せなかった
物語は、ジャックのイメージアップのために、大統領夫人のイメチェンを図ろうとするところから動き出す
クロードはベルナール・ニケ(ドゥニ・ポタリネス)を担当に配し、彼は「現在、どう見られているか」という調査を始める
ベルナデットは「気難しい」「古めかしい」「頭が固い」などのネガティヴな言葉が並んでいることにショックを受ける
そこでベルナデットは、慈善活動に著名人を配するとか、若者ウケを狙うなどの方策を打ち出し、さらにファッションデザイナーのラガーフェルド(オリヴィエ・ブライトマン)までも参戦してくる
今風のファッションに身を包み、行く先々で注目を集めていくスタイルを取ることで、世間の印象は変わり、とうとう国民の支持率が71%まで上がってしまう
だが、夫はそれを認めることもなく、政治から阻害しまくるのだが、何度も状況を見て予測を的中させ、無視できない存在となってくる
そして、2001年の大統領選で決定的な事態が起こった
1回目の選挙で極右が伸びると断言したベルナデットは当初は笑いものになったが、極右の躍進によってルペンとの一騎打ちになってしまう
ジャックはベルナデットの意見を組み入れて、右派を取りまとめることになり、それによって得票率81%の圧勝を果たした
だが、その作戦はかつてジャックを裏切った右派のニコラ・サルコジ(ローラン・ストッカー)を底上げしてしまう
彼の人気を無視することができなくなってきたのだが、そんな折、ジャックは脳卒中で倒れてしまうのである
映画は、政治的なものは史実ベースで、プライベートな部分にフィクションがあるように思えた
運転手の告発とかは本当(名前は変えてある)で、ジャックの亭主関白的な部分は誇張されているように思える
これらは、女性が表舞台に立てなかった時代を強調し、その変化がここで現れたと印象づけるものであって、そのメッセージありきの演出になっていると思う
どこからがフィクションかはわからないが、こう言っておけば夫のメンツも潰れないと考えたのかもしれない
いずれにせよ、ある程度のフランスの政治情勢に関して知らないと楽しめない作品で、大統領選に関わることとか、議会がどうなっているのかなどはサラッとでも調べておいた方が良いと思う
映画内では、参謀に入っている人がどんな人で、この後にどのような政治家になるのかなどを知っておくことで、政局の面白さというものが味わえるかもしれない
個人的にはベルナデットの皮肉めいた余計な一言が面白くて、会話劇として楽しめた
ジャックやクロードが「そう言う言い方はするな」と言う一方で、ベルナールは「そう言うことは記者の前で言ってください」と言うのが象徴的で、うまく時流に乗るには、何が武器で弱点なのかを見極めておくことが重要なのだろう
極右の躍進を地方議会の動きから読むベルナデットは相当な政治家であり、最終的にその意見を取り入れたことが勝利に繋がっている
中央にいるだけではわからない動きというものこそ、国政にとって必要なものであり、そういった政治的なメッセージも込められていたのかな、と感じた
ベルナデッド·シラクが、自分をのけ者にする夫=大統領連中にしっぺ返しを食らわす展開が面白かった。
ドゴール、ミッテラン、シラク、サルコジ、極右ルペン父娘の名前は聞いたことがあるが顔は知らないというレベルの知識だ (^^)
だけど、冒頭、事実をもとに”自由に脚色”したとあるので気楽に観賞した。 ”自由に脚色” というところが、なんかフランスっぽいと思った。
ベルナデッド(われらがドヌーブ)が、自分を軽んじる夫のシラク大統領、娘の広報クロード、取り巻きの参謀達より上手を行く展開が痛快で小気味良い。
映画としては普通にオモシロイのに客が少ない(計2名)。シラク大統領なんて日本じゃ誰も知らんし興味もないから仕方がないと思う。上映館が少ないから、僕もたまたま近くの映画館でやってなければ見なかったと思う。
極右の父ルペンがかなり躍進していたのを初めて知った。
2024(令6)現在、ヨーロッパは移民問題を端に発した右傾化爆走中 ?
(オンライン試写会の類は全てネタバレ扱い)「女性らしさ」にこだわらない素晴らしい作品
今年383本目(合計1,475本目/今月(2024年10月度)34本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
まず、オンライン試写会に招いていただいた fansvoice さまにご厚意を。
シラク大統領は日本では親日のフランス大統領としてよく知られていますが、同大統領の夫人であるところの主人公を描く映画です。ドキュメンタリー映画ではないですがそれに準じる部分はあり、一部脚色(コメディより)にした部分はあるようですが、あることないこと入れているはずはないので、基本的には「史実に準じた準ドキュメンタリー映画」という扱いでしょう。
実はフランスは「ジェンダー格差」では世界的に見ても低いランキングで、今(2023~2024年)でも男性らしさ、女性らしさというのを暗黙に求められるところがあります(このことを暗に批判したフランス映画も多々見られますね)。
ただこの作品は同女性を主人公にした準ドキュメンタリー映画で、夫人として大統領に寄り添い、言うべきことは言う、反論すべきところは反論するという大統領顔負けで(ある程度は脚色されているのでしょうが)、観ていて(後進国であるフランスに)こんな夫人の方がいらっしゃったのか…(現在でも存命でいらっしゃるようです。91歳)というところに驚きです。
ある程度のコメディ要素(コメディ的脚色要素)はあるとはいえ、準ドキュメンタリーといえる本作品に「娯楽性」を映画に求めるなら確かに「退屈」な映画ではありましょうが、日本からかなり離れた、それも日本の「あこがれ」である(実はジェンダーギャップの激しい)フランスにおいてこのような方が活躍していた(現在でも存命)ということを知る、知的な映画としてはおすすめです。
90分ほどの映画で見やすいのもおすすめポイントかなと思います。
字幕が多少抜けている点を確認しましたが(当然、仏検準2ではある程度しかどうしようもない)、おそらく本質論ではない部分の省略でしょうし、何とかなる範囲です。迷ったらおすすめといったところです。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアです。
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