花まんまのレビュー・感想・評価
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お見事!良い邦画の見本!
きっちり創られたプロの作品。
良い脚本を、腕のある監督が丁寧に仕上げ、適材適所に配され演者が味わい深い演技をする。
古典落語のような気の利いたスタンダードといった感じで、座布団一枚的なうまさが散りばめられている。
難を言えば優等生すぎるところで、例えばここには悪人が一人も出て来ない。
会社の同僚に一人ぐらい悪態をつく奴がいてもよいし、せっかくの六角精児あたりは性格がちょっと悪いぐらいあってもよかったのではと。
そういうキャラが最後の式で号泣していたりするのも、これまた味わいでは。
サマーウイカさんは好演熱演してたけど、個人的にはそうじゃないタイプの人があのキャラを演じたほうが映画的には良かったかなと思う。
最近、活躍の目立つバイプレイヤー酒向芳さんは助演男優賞を総なめしてもいいぐらい素晴らしかった!
あなたの「兄やん」は誰か?
この俳優陣で、悪いわけはないでしょうと思って観たけれど、予想を裏切らず素晴らしかった。
前情報がなかったら、やや偶然性や運命性がわかりづらいシーンもあるかもしれないけれど、セリフがない動きでも存分に身体で語れる演技派たちのおかげで、登場人物の誰にも共感できる。
身近な人のことほど、理解は難しく、そして「わかり合えていない」ことがわかると憤る。
近いほどに、相手に対する「期待」があるのかもしれない。
そこに相手の肉体があるのに、自分の知らないアイデンティティが相手の中に存在すること。そこにその人はいないのに、確かにあの人の片鱗を見出せること。そんなファンタジックな1ページごとの合間に、生臭い人間の愛情や葛藤があたたかい血のように流れていた。その流れを作り出す、鈴木亮平さん。
誰にも自分にとっての「兄やん」がいると気づけたら、人生を歩むのも、少しだけ心強くなる。
自分を見つめる眼差しに、気づくことができる。
一点だけ気になったのは、兄やんのこども時代に「ジェンダー」はまだ日本で語られていないかも?
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