花まんまのレビュー・感想・評価
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ファーストサマーウイカさん、圧巻の演技です!!!
2025年劇場鑑賞5本目は大好きな鈴木亮平さん主演の「花まんま」🌸 「花まんま」とは、子どもがままごと遊びで作った、小さな花のお弁当のこと。
幼くして両親を亡くし、たったひとりの妹の親代わりとして生きる熱血漢の兄「加藤俊樹(鈴木亮平)」と、しっかり者の妹「加藤フミ子(有村架純)」。舞台は東大阪、町工場で働く俊樹(鈴木亮平)が、まもなく結婚を迎えるフミ子(有村架純)を送り出す様子が描かれる。
フミ子(有村架純)の心にに残る「花まんま」の記憶。
ある意味、公開前にネタバレしすぎていたので、概ね予想通りに物語が進む。それでも、随所に見どころたっぷり。いっぱい泣きましたです。はい。🥹
圧巻は、ファーストサマー・ウイカさんの熱演。存在感すごくて、鈴木亮平さんと有村架純さんのダブル主演が霞んでしまうほどでした。👌
鑑賞後は、大阪のお好み焼きが食べたくなって早速。モダン焼をペロリ。😋 さらに、「花まんま」風のお弁当も欲しくなって、芝寿司さんに寄り道です。笑笑。
弁当と引き出物とカラス語
あの花まんま弁当と引き出物で2回
バージンロードで1回泣いてしまった。
溢れ出そうな声を頬っぺたをつねり
嗚咽。
まさかの神様が産まれてくる子供にその人
の記憶を入れるとは。無いとは思うけど
あり得そうな気がする。人って分からんから。
大事に大切に妹を育てて来た兄やん。
両親も早く亡くしたから気を張って生きてきたはず。
あのスピーチで立って見えた景色。
皆さんの気持ちと手助けがあった事を理解し
言葉で表した兄やんは素敵。
一番近くにいる誰かを理解する難しさを
大切にしていきたいなぁと思った。
しかし笑いと涙のバランスを見事に絡めてくる。
カラス語は笑うよね。
オール阪神・巨人さんも大切な役。
原作には登場しないがファーストサマーウイカが
居るか、いないかは善きポイント。
子役お二人も素晴らしかった。
MVPは酒向芳さんと鈴鹿央士さん。
花まんまに込めた一途の愛は美しく消える
事はない。
又、観たい映画である。
鈴木亮平の演技で終始号泣
妹(有村架純)の他人の記憶を持つ設定がSFなので
映画に入り込めるかどうかは人それぞれだろう。
主人公である兄(鈴木亮平)の親同然の妹への深い愛情は
すごく共感できる。
両親を亡くしている境遇から
ともすればヘビーな内容になりかねないのに
大阪の下町という舞台から笑いありの人情を押し出して
軽やかさもブレンドすることで深刻になりすぎない
絶妙なバランスをとっていると思う。
鈴鹿央士演じる妹のフィアンセの
カラスと日常会話ができる設定が効いていたり、
父ちゃん母ちゃんのキャラも実に良い。
妹の記憶に残る人物の親族も俳優陣の演技が見事。
話の紡ぎ方もさることながら、
鈴木亮平の演技が圧巻すぎて、
前半から泣かされ、ラストの妹の結婚式でのスピーチでは
号泣してしまった。
加えて幼少期の妹の子役が実に素晴らしい演技で、
感動もひとしお。
鈴木亮平と有村架純の関西弁が自然なのも
映画世界に入り込めた大事な要素になっていた。
まさかここまで号泣レベルの涙を流すとは思っておらず、
目からデトックスできた。
劇場内の観客が泣いていたのがわかるくらい
一体感を得られる作品。
違う、今はこれを言いたいかも。兄やん、スピーチ素敵だったよ!
しっかりと涙してしまいました。
泣くなんて考えても無かったのですよ。
中々ちょっと想像が付かない世界でのお話ですが、こんな事って普通は有り得ないんですよね?
全く縁もゆかりも無い人の記憶が自分の中に入り込んでくるってどんな感じなんでしょうかね?本当なら怖いですよね。最も本人は自分自身のことなのだから何の違和感もないのでしょうが。
最近こんな不思議な世界での出来事の作品多いなって感じます。
泣けるから良い作品だなんて思ったことは無いですが、でもこの作品もとても心に沁みる温かい作品に出来上がっていました。
死んだ父親との約束をしっかりと胸に刻んで、兄としてフミ子を守り続けてきた俊樹ですが、フミ子の幸せを望んではいても本音ではまだまだ嫁になんか出したくない。
でもこの結婚相手のフミ子の彼が実に好漢で愛すべき人物。これは兄やん快く二人の結婚をお祝いしましょう。
そしてまだ幼かったフミ子の身に起きた不思議な出来事が次々と明かされて行くのですが、この子役の二人は絶賛されていいですね。特にフミ子を演じた 小野美音ちゃんの演技に感嘆しました。NHKの朝ドラ「ブギウギ」にも出演していたと知って納得です。もちろん兄役の田村 塁希くんもフミ子を守ろうと懸命な兄やんを演じ切り、素晴らしかったのは言うには及びません。
明かされてゆくフミ子と喜代美の秘密。全く縁もゆかりもないと思っていたら、ちゃんとちゃんと接点あったのですね。病院の廊下で交錯してました。
繁田家との交流を経てフミ子の結婚式で繁田のお父上様が見た新婦の姿はきっと喜代美のそれと重なり、悲しみが癒える事は無くとも一区切りついたかも知れませんね。いつかきっと再び天ぷらそばを食べられる日が来ますように。
そして兄・俊樹が今伝えたいのはこれなんだと語るメッセージ。これはもうフミ子の秘密も繁田家も関係ないですね。素のまんまの兄と妹の姿がそこには有りました。有村架純ちゃんの涙は演技で流す涙ではなく、心から溢れ出す本物の涙でした。
鈴木亮平と有村架純の兄妹がとても自然に感じ、ぶつかり合いながらも思い合う本当に素敵な兄と妹でした。
鈴鹿央士くんのカラスとの会話がユニーク過ぎです。これって研究してる先生本当にいるのでしょうか?
繁田家の酒向芳さん、六角精児さん、キムラ緑子さんと芸達者のみなさんはもちろん素晴らしいのですが、オール阪神・巨人も出演していて、特に巨人さん演技上手だなと思いました。さすが上方お笑い界の重鎮だと感心したのでした。
結婚する日が近づくにつれフミ子の記憶が薄れて行き、そして最後はもう…。
いや、これで良いのだと思います。いつまでもなんて喜代美さんも望んではいないでしょうし、フミ子にいつまでも背負わせる必要もないですからね。喜代美さんには本当に不幸な出来事でしたが、フミ子を通して大好きだった父親ともまた話すことができたのだから。これからはフミ子はフミ子として良き伴侶と共にこれからの人生を歩いて行って欲しいと願うのが本心。
きっと今は上の世界で俊樹とフミ子の両親と共に下の世界を気に掛けてくれているのでしょうね。
人の哀しみや温かさを感じ取れる人って本当に素敵です。
そんなことをしみじみと思わせてくれる作品でした。
いい映画を見ました
父の愛兄の愛
期待してたより100倍良かった。主演の二人は勿論子役の二人も最高。酒向芳さんにはすっかり泣かされた。自分の父親とバージンロードを歩いた昔を思い出しながら嗚咽を我慢しながら観た。ラストとても切ないけど花まんまに癒されて後味は悪くない。いい映画見たなってじわりながら帰宅。鈴鹿くんのカラス語を思い出し笑いして家族に不審がられる笑
ファンタジーをうまく回収。最後の最後の映像も見事!
東大阪の地理に詳しいとやや有利か
今年115本目(合計1,656本目/今月(2025年4月度)18本目)。
この映画は特徴として他の方も書かれている通りファンタジー路線に進むというところがあり、いわゆる純粋なこの手の映画で想定できる恋愛もの(まったくないわけではないが)を想定すると詰むかなというところです。
また、大阪の中でも大阪市に接する東大阪というところは中央線(と、別の会社が通し営業をしている)等で行くことができますが、いわゆる「中小企業の街」として知られているところであり(方言関係はほぼ大阪市内と変わらない(いわゆる関西方言))、この「中小企業の街」ということを知っているとやや有利かな…といったところです。
どうしても全体的に起伏がなく、一方でファンタジーものに寄せた関係で理解が追いつかないところがあるのは確かですが、GWにまだある作品の中では(コナンのやりすぎで、番組編成上、通常ならあと1週間くらい上映されるような映画も軒並み終了と厳しい)推せるといった印象です。
なお、他の方も書かれている通り、大阪市内と東大阪市内との違い、また東大阪の地理や歴史、その特徴(中小企業の街であること)を知っていると理解に有利といったところです。
採点上、ファンタジーものによせた関係で理解が難しいなと思ったところはありますが、採点上特に気になるところではないので、フルスコアにしています。関西圏の方からすると、東大阪は「すぐ近く」ですが、首都圏の方にとっては意外に「大阪」と「東大阪」は文化の違いが明確に出るので(大阪市内でも、例えば鶴橋付近など中小企業主体の区はありますが)、その違いに触れるという観点でもおススメです(東大阪市や関係団体等がバックについていて、公式サイト等詳しく書かれていますので、特に首都圏等大阪に「近くない」方は事前に見ておくのが良いかなと思います)。
鈴木亮平さんと有村架純さんの熱量たっぷりの関西弁兄弟が贈る、笑って泣いて、すごく清々しい気分になれる名作
絶対に泣かされると思って覚悟して行きましたところ、予想通りかなりヤラれました
兄・俊樹を演じる鈴木亮平さんと妹のフミ子を演じる有村架純さんの相性が完璧、幼少期に両親を亡くし辛い人生を共に乗り越えてきた兄弟が幸せを手に入れる心温まる感動のドラマ
2人の熱演が素晴らしく、本当の兄弟みたいで、観終わった後は心から観て良かったと思える良い作品でした
有村架純さんはやっぱりメチャクチャ綺麗、大好きな女優さんを腹いっぱい堪能できて大満足でした
嫌な人が一切出てこないのがいい
特に俊樹の同級生を演じるファーストサマーウイカさんの好演も印象的だし、酒向芳さんの切なすぎる演技も素晴らしい、とにかくキャスティングがすごく良い作品だなあと感心しました
ストーリーはファンタジーな面もあるけど、作品自体から受ける印象はリアルで熱い人間ドラマ、綺麗な映像も含め全体的に高次元でバランスのとれた素晴らしい名作だと思います
花まんま・・・の意味がわかった時、そしてそれが繋がるラスト20分ぐらいは本当にヤバい、我慢できず涙が出ちゃいました
心地よい素敵な感動作品
やわらかくやさしく
幼き日に両親を亡くした兄妹。死んだ父親との約束「どんなことがあっても妹フミ子を守る」を胸に生きてきた兄俊樹。そして物語は、フミ子の結婚が決まるところから始まる。大阪の下町が舞台の少し不思議な人情劇。
まず、俊樹役鈴木亮平が良い。一本気で妹のことが第一優先な「兄やん」、それが随所に伝わる。劇中、俊樹自身の夢枕に両親がトラックに乗って登場する。それは妹にも伝えることが出来ない彼の唯一の拠り所だ。そんな彼の哀しい背景も俊樹からは伝わった。
うるさいくらいのコテコテの関西新喜劇ノリだが、鈴木亮平も有村架純も非常に自然に演じていて違和感がなかった。二人共いい顔だった。お二人とも関西出身であり、素の所が俊樹とフミ子に近いからなのかなと勝手に推測。
さて、本作はフミ子の「秘密」に関わる人々の人情と記憶がテーマだ。この社会、いろんな過去を持つ色んな人と関わり、一つのお弁当箱のような社会を構成している。映画の登場人物は皆、小さな社会の中で相手を想う人達ばかりだ。人の為に笑い、人の為に怒り、人の為に泣く、人と人がやわらかくやさしくつながる事で「花まんま」が完成する。そんな少し不思議なやさしい映画。
笑いあり、涙ありの佳作です。映画館で観れて良かった。
「反省」したのなら「感謝」だけじゃなく「謝罪」も必要だったのでは?
最近、「片思い世界」のレビューにも同じようなことを書いた記憶があるが、大切な人を亡くしたら、誰もが、その人に、「もう一度会いたい」と願うものだろう。愛する娘を亡くした父親であれば、そうした願いは、尚更悲痛であるに違いない。
酒向芳演じる「父親」が抱いているに違いない、そんな切ない願いがヒシヒシと伝わってきて、映画の中盤からは涙が止まらなかった。
クライマックスの結婚式での展開も、容易に予想できてしまうのだが、それでも目頭が熱くなったのは、「結婚式の直前に非業の死を遂げた娘の花嫁姿を見たかった」という父親の願いが、痛いほど理解できるからである。
その一方で、この結婚式では、鈴木亮平演じる兄のスピーチも、大きな見どころになっていて、非常に感動的ではあるのだが、前述の「死んだ人に会いたい」という話とは、少し乖離した内容になっており、作品としてのテーマのブレのようなものも感じてしまった。
多くのことを犠牲にして妹のことを育て上げてきた兄が、妹が「生まれ変わる」前の家族のことを拒絶し、お好み焼き屋の幼馴染みに張り手を食らって、自分が思い上がっていたことに気付くという経緯は、この映画のストーリーの骨幹と言っていいだろう。
だからこそ、そんな兄が、自分一人で妹を育てたかのように勘違いしていたことを反省し、影に日向に自分たちのことを支えてくれた人々に感謝の気持ちを伝えるスピーチは心に響くのだが、だったら、自分が拒絶してきた繁田家の人々に、謝罪の一言があっても良かったのではないかと思えてならない。
それから、有村架純(そういえば、『月の満ち欠け』も「生まれ変わり」モノだった!)演じる妹が、結婚を機に、「生まれ変わる」前の記憶を失うという設定にしても、生まれ変わった後の記憶も含めて、何もかも忘れてしまうというのは、少し「やり過ぎ」のように思えてしまう。
これでは、ラストシーンの「花まんま」には寂しさしか感じられないので、例えば、生まれる前の記憶は無くしても、加藤家と繁田家の交流は続いて行くといった、希望が感じられるような結末にはできなかったものかと、少し残念に思ってしまった。
目が腫れる…
NHKのアナウンサーが7割方泣いていたとおっしゃっていたり、王様のブランチの方も泣きすぎて目がパンパンとおっしゃっていたので、私はどうかなぁ…と思っていたら、泣きすぎて目が腫れました。目が痛い。
ネタバレになるので、多くは語りませんが、久しぶりに心の底から文句なしの星5つをつけれました。
テイスト的には、always三丁目の夕日のようなどこか懐かしく心があたたまる内容で、本当に心の底から感動しました。
あと太郎とフミ子が、私にはのび太くんとしずかちゃんのカップルに見えて、ドラえもん2の結婚式を思い出していました。
また朝ドラのなつぞらの番長の板橋駿谷さんが鈴木亮平さんのお父さん役なのですが、顔がそっくりで、物語に感情移入しやすかったです。
個人的にMVPは、酒向芳さんと鈴鹿央士さん。
鈴木亮平さんと有村架純さんは、勿論素晴らしいことは言うまでもないですが、酒井さんの娘を思うあの演技力がなかったら、鈴鹿央士さんのコミカルな人の良さが滲み出るものがなかったら、映画を彩ることが少なかったかなぁ…と思いました。
映画に携わった方々に心から感謝したい。
花まんま、が目にも美しい。変化球のタイムワープもの。
鈴木亮平の妹役の有村架純が、
「私には別の家族の記憶がある」
「フミコやない、繁田喜代美や!!」
と予告編で言ってるのが、
どういう意味なの?
って気になってました。
要するフミコのお母さんが臨月で入院する時に、
瀕死の重傷ですれ違ったストレッチャーに乗る繁田喜代美さんと、
生まれ変わった・・・それも記憶だけ・・・
という変わったバリエーションの《タイムワープ》のお話でした。
いささか無理くり感ありませんか?
フミコは小学校2年生くらいの時に、どうしても記憶にある
彦根の繁田家(喜代美さんのお父さん)の家に行きたくて、
電車で遠路はるばる彦根へ兄と向かいます。
すると清美さんのお父さん(酒匂芳)が痩せ細って食事も摂れないで
落ち込んでいるのです。
繁田喜代美さんはバスガイドさんで、お客さんを守って
刺し殺されたのでした。
その喜代美さんの心が入れ替わったフミコは、兄との約束、
「話してはイケナイ・・・」
その言葉を守って、ツツジの花畑で、
白、赤、黄色そして葉っぱの緑で、お弁当箱に花を詰めて
渡すのです。
それが《花まんま》
そうしたら勘のいい繁田仁さんは、
幼いフミコを喜代美の生まれ変わりだと気がつくのです。
そして月日が経ち、フミコは嫁ぐことになります。
するとフミコは喜代美の記憶が消えていくのを感じて、
繁田さん一家(兄の六角精児、姉のキムラ緑子)にも、
花嫁姿を見て貰いたい・・・
そう願うのでした。
今まで親代わりに育てた兄の俊樹(鈴木亮平)の心は複雑です。
そんな《もう一つの家族》なんて受け入れ難いですね。
しかし悩んだ末の俊樹の決断は?
という昭和感覚の人情噺でした。
それにしても、結婚相手(鈴鹿央士)がカラス語を話す設定には
笑った。(真似が上手いんだもん)
それにしても、「三度目の殺人」で、憎々しいサイコキラーを演じて
注目された酒匂芳の泣かせる演技の上手さに、驚く。
クレジットも一番最後でした。
凄いねー、遅咲きの開花ですねー。
親代わりの兄貴・鈴木亮平のスピーチで締めて泣かせて、
気持ち良い映画でした。
【"ある女性とその父の思い残しを叶える優しさ。”今作は幼き時から二人で生きて来た兄妹の絆と、妹が抱える秘密を巡る出来事を描いた、深い悲しみに寄り添う人間の心の優しさに満ちた作品なのである。】
■両親を早くに亡くしたトシキ(鈴木亮平)は、妹のフミコ(有村架純)の親代わりとして、高校を中退して東大阪の町工場で働き、金を稼いできた。
フミコは烏研究者のタロウ(鈴木央史)を婚約者として連れて来る。そして、結婚式の日が決まった後にトシキに内緒で彦根に一人で出掛けるのであった。
実は、フミコは若くして無差別殺人に巻き込まれたバスガイドのシゲタキヨミの記憶を幼い頃から持って生まれて来たのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半はコミカルな要素を含んで物語は進む。タロウが烏と意思疎通を図るシーンや、トシキがフミコの婚約を知って不機嫌になって、行きつけのお好み屋でグダグダとコマコ(ファーストサマーウィカ)に”誰が育てて来たと思ってるんだ!”などとクダを巻いて居たり。
けれども、その会話の中でトシキがフミコを如何に大事に思っているかが分かるし、彼が”独りで”妹を育てて来たという気持ちも描かれている。
この映画が上手いのは、コミカルな前半で後半の沁みるシーンのキーになる要素がさり気無く語られている事である。
・幼いトシキがフミコに頼まれて彦根に行くシーン。そこでトシキが見たバスガイドのシゲタキヨミの父(酒向芳)のやせ衰えた姿を偶然見て、近くにいたオバサンに”あの骸骨みたいな人は誰?”と尋ね、シゲタキヨミの死の時に天ぷらうどんを食べていた後悔から、必要最低限以下の食事しか取らなくなった事を知るシーン。
そして、二人がシゲタ家を訪ねた時に出て来たキヨミの姉(キムラ緑子)と兄(六角精児)と父の前でフミコが持って来た弁当箱に詰められた花で一杯の“花まんま”を観た時の驚愕の表情と滂沱の涙を流しながら、それを美味しそうに食べる振りをする父の姿に、まずは涙腺が崩壊しそうになるが、グッと堪える。
・そして、明らかになるフミコは若くして無差別殺人に巻き込まれたバスガイドのシゲタキヨミの記憶を幼い頃から持って生まれて来た事実。
そして、フミコが内緒でシゲタ家を訪れた事を知り、トシキは会社のトラックにタロウを乗せて乗り込み、タロウが京都大の教授になっていたシゲタキヨミの兄とカラスの形をした名刺を渡しているのを横に、”二度とフミコと接触するな!”と啖呵を切り、帰っていくのである。
・だが、フミコからシゲタキヨミが刺殺されたのが結婚式の二日前だった事を知り、トシキはマタマタ結婚式の前日にも関わらずコマコの店で大酒をかっ喰らっているが、コマコから”いい加減にしろ!”とハゲシイビンタを喰らって、翌日早朝に反省のメモを残し再びタロウとシゲタ家に向かうのである。コマコ、良いなあ。
だが、シゲタ家の人々は温泉に行ったと聞き、ガックリするのだが、フミコと同じように兄がスマホを忘れたといって戻って来た時に、トシキはシゲタ家の人々を車に乗せフミコの式場に向かうのである。
■ナカナカ来ない兄を待つ、バージンロードを歩く練習をお好み屋の亭主(オール阪神)とするフミコ。漸く着いたトシキ達。
そして、いよいよ扉が開くとフミコの横には、緊張した表情のシゲタキヨミの父が立っており、フミコはシゲタキヨミの父の手に腕を回してバージンロードを歩くのである。シゲタキヨミとその父の思い残しが叶った瞬間であり、トシキの優しさが読み取れるシーンでもある。このシーンは沁みたなあ。涙が出たよ。
その後のトシキの親族のスピーチも良かったなあ。
”皆さんのお陰で、妹は立派に成長しました。有難うございます。”
前半で”俺が育てた!”と言っていたトシキの成長が分かるし、その言葉を聞いたシゲタ家の人達が涙する姿。
そして、物心ついた時に父が他界していたフミコにとって、シゲタキヨミの父との密かな文通が、とても大切な事だったのが分かるのである。
式場から退出する参列者に一人一人声を掛けるフミコは、シゲタ家の人達に笑顔で“今日はどちらから?”と聞くのである。
思い残しが無くなったシゲタキヨミが天国に召されたという事である。だが、彦根への列車の中、寂しそうにしているシゲタキヨミの父だったが、姉が”引き出物は何だろう?”と言って包みを開けると、そこには弁当箱に詰められた花で一杯の“花まんま”があるのである。
このシーンで、再びシゲタ家の人達と共に涙が出てしまったのである。
フミコのシゲタキヨミの父への感謝が詰まった“花まんま”である。
<今作は幼き時から二人で生きて来た兄妹の絆と、妹が抱える秘密を巡る出来事を描いた、深い悲しみに寄り添う人間の心の優しさに満ちた作品である。
そして、この作品の、影のMVPはシゲタキヨミの父を演じた酒向芳さんではないかな、と年頃の娘を持つ私は思ったのである。>
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