劇場公開日 2025年4月25日

「良い映画でした。一生のお願いだからみんな観るといいよー。」花まんま ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0良い映画でした。一生のお願いだからみんな観るといいよー。

2025年5月17日
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鑑賞方法:映画館

痛ましい事件の被害者として若くして亡くなった女性の記憶が、主人公の妹の中に幼い頃から存在し、その記憶に惹かれるまま、幼い時分に兄妹は亡くなった女性の家族と出会った。
末っ子の娘を亡くして悲嘆に暮れる父とその家族たちは、娘の記憶も持った幼い少女の存在に驚愕するも、再び愛娘に出逢えたことで生きる希望を見出していく。

しかし兄は、本来の自分の家族を蔑ろにされたと感じて、以後、その家族たちが妹と交流することを禁じて、そして時は流れる。
妹の結婚を機に、ある意味、兄として封印していたこの出来事と正面から向き合う必要が出てきて…。

とあらすじを書いてみたが、この「すこし・ふしぎな」世界設定をしっかり書くと大変なので、以下省略。

本作はとにかく脚本、演出、演技、カメラワーク、センス、どの要素も素晴らしい出来映えで心から楽しめる作品でした! 登場人物の人間像が過不足なく描写されて、耳心地の良い関西弁が人情味に溢れており、家族愛に富む素敵な物語を満喫できました。

冒頭から丁寧な作りだなと実感したのは、仏壇のお水を取り替える際に水の入った器を持っていくだけだったり(持っていくだけで、水を捨てる、水を汲むといった行動を省いてるのが良い)、妹が自転車の鍵を忘れるところなど、細部に渡って登場人物たちの生きている様が感じられる脚本になっているんです。

またカラスと喋れる要素は、本作の設定として突き詰めると重くなりがちな「愛」の描写に対して、からりと気持ちのよい場面展開に使われており、各シーンでのカラス要素の差し込み方が見事でした。

本作は「すこし・ふしぎな」世界設定を入れることで「物語」としていますが、根底にあるのは普遍的な家族が生きていく営みそのものが家族愛、人間愛に満ちた素晴らしい「物語」なんだと思います。終盤、結婚式の兄のスピーチは、「すこし・ふしぎな」世界設定とは関係なく、普遍的なものだからこそ大いに心揺さぶられますから。

本当に良い映画でした。一生のお願いだからみんな観るといいよー。

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ヘマ
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