「子煩悩なマイホームパパ、たまに人を切り刻むのが玉に瑕」トラップ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
子煩悩なマイホームパパ、たまに人を切り刻むのが玉に瑕
シリアルキラーがコンサート会場に姿を現すという情報をキャッチしたため警官隊を投入して袋のネズミにしようという作戦が実行される。
どう見てもコンサートの警備とは思えない重装備のSWAT部隊みたいのが大勢いて明らかに不自然。それに通常これだけのお客で混雑するコンサート会場でそんな危険な作戦するかな。一般人を人質にされたらどうするんだろ、なんて野暮なこと考えずにシャマランによるエンタメを楽しむのがベストな映画。映画なんてありえない設定はいくらでもある、そのあり得ない設定をもっともらしく見せてなんぼ。本作はそれがまあまあ出来てるので問題なし、多少のご都合主義も許せるレベル、かな。
コンサート会場内で警備の警官を躱して上手くすり抜けたり立ち回ったりとただのシリアルキラーではない知能犯的な側面も見せるクーパー。普段子煩悩パパと殺人鬼を使い分けてるだけに二重人格的側面も垣間見せる。時折彼の幻覚に現れる母親の姿からして幼少期のトラウマが今の彼を殺人鬼にしたのだろうか。
意外にコンサート会場を脱出した後が長くて少し冗長な感じ。ならばそこで彼の人格をもう少し掘り下げてもよかったかも。
最後まで楽しめたが、残念な点はラスト。クーパーを生き延びさせての続編狙いなのかな、非常に歯切れが悪く感じられた。どこで終わらせるのがベストだったのだろうか。
せっかく大技を決めても着地でしくじれば10.00は難しい。もう少し切りのいいところで終わらせられなかったかな。
個人的にはリムジンでレイブンをさらおうとしたとき群衆からスマホのカメラのライトを照らされた所で警官隊に撃たれてたほうがよかった。コンサートでお父さんあなたを許すわというレイブンのトークに共感した観客がスマホのライトを照らすくだりが伏線としてそこで活かされると思ったけどな。クーパーお父さん、あなたを許しますとね。
映画はラストシーンで作品の締まりが良くなるのでいいタイミングで終わってほしかった。