「こんなに下手でしたっけ?」トラップ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに下手でしたっけ?
私にはまったくノレない作品でしたが、極端な酷評の方も少ない様なので、私の感覚がおかしいのでしょう。
ということで、そんな私のレビューです。
監督名以外はほぼ予備知識なしで参戦。
シャマラン作品は過去にも何本か観ていますが、あのブラックなファンタジー観は嫌いではありません。とは言え特別好きな作品があるというワケでもない、といったレベル。
そのファンタジー観は今回極めて少なく、サイコキラーを追い詰める(追い詰められる)サスペンス。
ただ、その追い詰める警察がアホ過ぎる…というか、その描き方が幼稚過ぎて、「シャマランってこんなに下手だっけ?」と疑うほど。
具体的に捜査状況がわかるにしたがって、どんどんゲンナリしていく。
これが警察の「トラップ」だってことは、「何事もないはずのコンサートに誘い込んでおいて、実は『ブッチャー』を捕まえるための大きな罠でした。」じゃないと意味ないのに、入場前から剥き身の銃構えた部隊はいるし、明らかに「普通のコンサート」ではない。
奥さんの仕掛けたトラップは旦那を捕まえて欲しい故の警察に向けてのものだけど、現場にチケットのレシート残しただけであれだけの警察官を動員するってのも変だし、レシートがあればかなり席を絞り込めるはずなのに。
アーティスト側だけじゃなく、販売のスタッフ全員にも捜査の内容説明するのも不用意過ぎ。他のスタッフが出入りできる部屋で部隊に犯人の説明する?事前にやってから来いよ。で、ドアが半開きのまま、モニタリングの指示が外にも漏れてるとか、まったく本気で捕まえる気があるとは思えない。
さらに警察はコンサートのスタッフには絶大な信用を置いているので、「○○以外は通れない」っていう抜け道もちゃんと教えられている。
「プロファイラー」だというおばあちゃんが、あれだけの大規模な実捜査の指揮を執ってるのも飲み込み難い。
一方、ブッチャー本人は絶対目立ちたくないはずなに、一番目立つ行動をとり続けるんだ。
で、娘が(これも無茶なプロセスの末に)選ばれてステージに上げられ、謂わば「中の人」として動ける様になったら、アーティスト「レディ・レイブン」本人を脅迫して逃亡に協力させる。
いやいやいや、レイブンさん。
スマホ越しの見ず知らずの被害者(実在するかも分からない男)の命を人質に取られて、明らかに次は自分が危険になる手助けなんかしないだろ、普通。
と思ってたら、レディ・レイブンは彼の家にまで乗り込んで人質を助けようとするという、私の想像を越えた正義感を披露。
その後の逃げたり追われたりも全然納得いかない展開が続いて、ラストは奥さんの告白でこの捜査は奥さんが仕掛けたものとわかるんだけど、もうこの時点ではそんなんどーでもい感じになってて。
彼の強迫観念は死んだ母親からのしつけに関係するらしいんだけど、その亡霊に苛まれるって演出も古臭い。
もうどこをどう切り取ってもダサい映画だな、と観終わってエンドロールを見てたら「レディ・レイブン役はシャマランの娘?」ってなって、あの急なヒーロー展開だけは飲み込めた。
でも、彼女の音楽は冒頭に車でかかってる曲から全部カッコ良いものが多かったし、演技も良かったから、彼女はちゃんと才能発揮できそうだね。
コンサートシーンの画角も凝ってた。
(どこにエネルギー使ってんだよ)
はい終わり。