「色々と粗は目立つが楽しんでしまった」トラップ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
色々と粗は目立つが楽しんでしまった
娘とライブ会場に向かう父親が実は殺人鬼だった。これ、結構なネタバレレベルの話だけど、そんなの関係ない。それくらい序盤にその設定を明かす。この話のメインはそこじゃなくて、厳重な警備体制が敷かれているライブ会場からクーパー(父親)がどうやって逃げ出すかだから。そんな潔さが感じられてよい。
でも違和感が結構あったのも事実。単独ライブの会場で、すでに開演した後にあんなに通路に人が歩いてる?私の感覚ではクーパーが何回も座席から立って会場内をウロウロしていたらそれだけで怪しく見える。グッズ売り場やフード売り場だってライブの最中にあんなに並ぶかね。しかもグッズは後から補充が来るという。段取り悪すぎだろ。
シャマラン監督は音楽のライブを観たことがないのかと思うくらいの違和感だった。これが野球の試合を観ているスタジアムだったら納得できる。試合の時間も長いし、攻守の交代もあるから人がそれなりに動く。もしかしてアーティスト活動をしている娘を出演させるためにライブ会場にしているのかも?なんて邪推してしまう。警察の捜査も色々と解せない。殺人鬼ブッチャーがこのライブ会場に来るという根拠がちょっと薄い。しかもあれだけ動員するわりに捜査が適当だった。クーパーが追いつめられてもう終わりだ!と思っても、簡単にその危機をすり抜ける。危機を脱するシーンが適当だからクーパーが優秀というより、警察がダメだなーと感じてしまう。
なんて粗は結構目立つのだが、それなりに楽しんでしまった。ライブ会場の中だけで終わるのかと思っていたが、その先のシーンもそれなりに尺を取っていて、最後まで飽きさせない。シャマラン監督だから甘くしているわけではない(と思う)。緻密な組み立ての物語を期待しなければ楽しめるはずだ。