「心臓バクバク!命懸けで撮った価値ある映像」香港、裏切られた約束 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
心臓バクバク!命懸けで撮った価値ある映像
心臓がバクバクした。ものすごく価値のある映像だ。
私は日本の安保闘争を知らない世代なので、つかこうへいの「飛龍伝」の中の世界が全てだった。
火炎瓶を投げる、機動隊との闘争を演劇で観て、こんな時代があったのかと漠然と客観しつつも妙な心の高まりを感じたものだった。
この映画で、それに近い理工大学での学生運動をリアルに観て、衝撃を受けた。目が釘付けになった。
日本の安保闘争とは時代は違う。5年前のことなので、警察は銃弾だけでなく、放水車での水の攻撃やレーザー光線も使う。
学生側は昔と変わらず火炎瓶を使う。他には傘を刺して攻撃を避ける。そしてスマホで撮影し情報を記録する。
地下鉄は封鎖されて民衆は移動できなくなるが、警察だけが地下鉄を使えるという特殊な状況に身震いした。
よくぞ京都で上映してくださいました。
感謝しきりです。
この映像はもっとたくさんの人に観てほしい。
最後にトークショーの内容のメモ書きを記録に残します。
トークショー
台湾で暮らしたことのある京都大学の先生
コンパッション=共に戦う
姿が描かれている。
ネパールの女性の熱弁も見所。
権力を正義とみなす弱肉強食の世界。
日本と中国の関係について、心ある人達は排外主義者と言葉がシンクロそういう言葉を超えることが普遍的な問題。
パレスチナ問題も捻れた状況。
ドイツがイスラエルに援助するのは何故か。かつてのホロコーストに対する罪の意識からイスラエルを批判しないのは反ユダヤ主義。
そしてイスラエルがやってるのはホロコースト。
なぜ日本人は中国独裁主義を批判しないのか。中国人を批判するのでは無い、中国の独裁主義を批判すべき。
沖縄の問題ももっと批判すべき。
日本社会の中で不正義を許さない状況を作っていかなければならない。日本でもそういった運動が広がるきっかけを作ってくれた映画。
シアン監督
イギリスの難民としてなかなか日本に来られなかった。
今回は数日東京でも上映会をしていた。
今はタブー視されつつある危ない状況のため使命感を抱いている。
日本の皆様の感想を聞きたい。
一般人の質問コーナー
中国人教師
私は中国人として少数派 。中国本土でやっていることを再現したのがこの映画であり香港の状況。
今の中国は
言論の統制、
教育の変更、
真実を失うこと、
未来の若者にこのような真実や香港の状況を伝えることへの意義を感じる。
中国本土では政治、社会運動、自由の話を語り合えない、語ることを怖がっていた。
シアン監督
大人として中国の洗脳教育を受けている子どもたちを目覚めさせるのは難しいが、頑張ってこういった上映を通じて文化を守っていかなければならない。
当時香港にいた女性
編集するにあたって当時から5年ぶりと思うがどんな思いで編集したのか?香港にいる700万人に上映できないのはおかしい話です。いつか上映できることを願っている。
シアン監督
映画の中に理工大学の映像があるが、撮影は怖かった、怖いというのは完成できないことへの恐れではなく捕まったらモザイクをかけていない映像が警察に渡され映っている活動家の人に迷惑をかけるのではないかと思い2021年以降は撮影を止めた。
編集で苦しんだのは、その後継続して起きていることに関心を寄せてはいるものの、その後は撮影できなかったこと。我慢してこれまでに撮った映像を編集しなければならなかった。
上映会に香港から子連れの女性が観にきてくれたのは嬉しかった。