劇場版モノノ怪 第二章 火鼠のレビュー・感想・評価
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ひたすらに絵が美しいが、前作を見ていないとついていけないかも。
前作の、唐傘を見ていたので火鼠を観ないわけにはいかなかった。
キャラクターや登場人物の説明がほぼないので前作を見ていない人には内容の把握は苦しいかも。
逆に唐傘を見ていた人にはとてもシンプルでわかりやすくなっていたと思う。
細部までびっしり描き込まれ、日本画の伊藤若冲(だいぶ違うが)のような圧倒的な濃密さと、モチーフが日本的なものにとどまらないデザインセンスは素人ながら素晴らしいと感じた。
火鼠の子供たちは実は、胎児を守っているのだと、気づくと、話が見えてくる。
ただストーリー展開よりも圧倒的な絵が、この一連の作品の素晴らしさの殆どを占めていると思う。
エンディングで水場の壁がいつの間にか大蛇に変わるのもお見事。
あの完全に平面で、濃淡や色味による遠近法のなさに慣れるのに年寄(私)はしばらく時間が必要ではあった。
前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作...
前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作っていること自体がまず偉業。「雨・落下・決別」を主題に、目くるめくメタファーに埋め尽くされた前作と打って変わって、ストーリーはシンプル。シリーズ発表時に予想した「大奥で繰り広げられる女の情念と権謀術数」というイメージに当てはまるのが、まさに本作である。権力に抑圧される女たち、という重い背景だが、薬売りに協力するかしましい女中たちや、門番のツンデレおじさんっぷりなどコメディ要素もあって、バランスが取れている。メインとなる2人の、対照的な女たちが、死地を経て、友情…とまではいかないが戦友めいた絆をはぐくむのは、前作のヒロイン2人とはまた違った趣で、良い(ギャルと委員長の歴史的和解、的な?)。テーマ上、前作よりも艶っぽいシーンは多いが、それ以上に薬売りの人外の魅力がフェティッシュなほど描かれていて感心する。欲を言えば次回最終作へのフックがもうちょっと欲しかったところ。描写を読み解く限りでは、国家の成り立ちに関わるような秘密と向き合うことになりそうだが…。
前作同様
旧モノノ怪に近い感じ。分かりやすく、余計なものがない
前回は完全オリジナルという感じがあり、旧モノノ怪からモノノ怪を知った私からしては疑問を抱くことも多くありました。
旧モノノ怪は形真理がすっきりと解決していく感じだったのですが、唐傘はお水様と唐傘が混在しており、演出に力を入れすぎて逆に目が痛く、言いたいことが伝わりませんでした。また、キャラクターも整理されていない様子がありました。
しかし今回の火鼠は旧モノノ怪に近い感じがありました。旧モノノ怪のように分かりやすく、言いたいことも伝わります。それに演出が前回に比べ控えめで、目も痛くなりません。人物関係もハッキリしており、お水様が介入していないため、ひとつのモノノ怪に集中出来ました。火鼠の怨念も唐傘に比べ汲み取りやすかったです。共感も出来ました。
その分、気になったのは構図です。やはり旧モノノ怪のような神構図や目の痛くならない演出のインパクトは薄いように感じました。
ここまで面白くなったので、次の蛇神にも期待できます!!
【”守るべきは生まれて来る、ややこの命。”今作は旧弊的な身分社会である大奥の中で起きる怪異を描いた、彩色優美な唯一無二な世界観が魅力的な哀しくも美しき女性の強さを描き上げた作品である。】
<Caution!内容に触れています。>
ー このシリーズの第一章は、絵柄の斬新さとその屹立した世界観に惹かれたが、人物相関関係がナカナカ頭に入って来なくて、少し鑑賞中に意識がトンでしまった。
だが、今作、第二章はストーリー展開も分かり易く、且つ大奥の中で天子の寵愛を受けていた下層武士の家の出であるフキが妊娠した後に起きる、彼女を害しようとするものに対する怪異と、その怪異が生れ出た過去の大奥で起きた哀しき出来事との連関性が分かり易く描かれ、更に物語を彩る彩色優美な唯一無二な世界観が面白かったモノである。
冒頭とエンドで流れる、アイナ・ジ・エンドの哀調を帯びた曲も作品の風合に合っており、作品自体の趣を高めていると感じた事も、併せて記す次第である。-
第一章 唐傘と比べるとやや淡白かな。
「火鼠」は本来「かそ」と読む中国の空想生物。火山の中に住んでいる。火の鳥とだいたい同じものです。「竹取物語」で姫が求婚者にいろいろ贈り物を要求するなか、右大臣阿倍御主人(あべのみひと)への注文がこの火鼠の皮衣。白くて火に強い衣です。本来、中国まで取りに行かなきゃならないのを阿倍御主人は偽物で誤魔化そうとしてばれちゃうんだけど。だから、まあ「火鼠」といえば衣の話になるのかなと思ってたけど違いましたね。本作では「火鼠」は「ひねずみ」と読み、天子の子を懐妊したけど事情があって産むことが許されない女臈の情念が形どったもので、怨みを持つ相手を焼き尽くす物の怪として描かれている。
一作目「唐傘」のレビューにも書いたけど、大奥の空間を表現するにあたって、古今東西ありとあらゆる意匠、デザインを取り込んでいてその自由自在なイマジネーションが素晴らしい。私は大好きです。そこのとこは変わらないんだけど「火鼠」は「唐傘」に比べて話が分かりやすい。また薬売りをはじめとして、女官のアサや、御錠口番の坂下など前作からのなじみのメンバーが出ていることで取っつきやすくなっている。
そのために前作ほどの世界観の特殊性というか凄みがない感じがする。要は淡白なんですね。そもそも尺が前作より15分短いし。
次回作、蛇神に期待。
第二章 大奥炎上
待ってました!継続された世界観にスピード感がプラスされた快作!
🐁待ってましたの第二章。公開初日に2回鑑賞。期待に違わずめっちゃ良かった。唐傘の深みのあるお話の方が好みではあるけど、火鼠はストレートでよりわかりやすい話が展開されて、世の中に受け容れられそうな予感(個人的には、ワンテーマでわかり易すぎる部分が☆0.5マイナスの理由っす)。
今回も和紙テクスチャがばっちりぴったり嵌る大奥内で情念の物語が展開される。〝速い〟モノノ怪「火鼠」そのままに、超スピードで一気に描ききっていて、それだけお話がシンプルなので、頭に「?」が浮かぶ場面がほとんどない。情念まみれのお話なのにすっきりさっぱり爽快感さえ感じる。
そして、唐傘での活躍で薬売りが広敷番・坂下の信頼を得ている以外は、火鼠から観始めても問題なくわかる作りになっているのも素晴らしい。もし唐傘を観ていないなら、火鼠を観てから唐傘を観るほうが理解しやすいかもってくらい。
2回じゃ全然確認しきれるわけないくらい、今回も背景や人物たちの表情など遊びはたっぷり。いくつかは確認できてほくそ笑んだけど、元々視野が狭くフシアナなので、気づけないこと、観るたび初めて気づくことがたくさんありそう。
忘れちゃならない、「劇場版モノノ怪」と言えば、エンドロール✕主題歌!昨年観た映画の中で、物語と主題歌のマッチング度合いでは1位(※1)だと思っている唐傘✕Love Sick(アイナ・ジ・エンド)。そこからくる期待値の高さを今回見事に超えてきた!火鼠✕花無双+渇望(アイナ・ジ・エンド)は優勝!物語の世界観を咀嚼して、アニメーターたちの作品づくりの情熱に負けないように取り組むアイナさんの曲作りの情熱に今回もひれ伏している。「渇望」は本人ではなく武藤弘樹さん作詞作曲も、アイナさんサイドのリクエストもかなり入っていそう。そして、その特異な声色と上がり続ける歌の技術があってこそ完成している2曲。この2曲をエンドロールでたっぷり(※2)と聴けるだけで、元が取れます。ありがとう。
※1 一昨年の映画✕主題歌 マッチング1位は 君たちはどう生きるか✕地球儀 です。
ただし、2023年公開日本映画の音楽賞、歌曲賞は「キリエのうた」で確定です。
※2 実は、唐傘の円盤を買ってまして、そこについていた購入者アンケートに、火鼠では総監督の中村監督がエンドロールが一番好きって舞台挨拶で話されていたこともあって、“エンドロールでLove Sickが終わってからの別曲(インスト)の時間が長くて、あれ、Love Sickを2周か3周してくれても良かったのでは?次もぜひアイナ・ジ・エンドさんに主題歌をお願いしてほしいし、次はぜひエンドロール全部をアイナさんの曲にしてください” みたいなことを書いていて、そんな意見が採用されたとはもちろん全然思わないけど、今回、その願望が叶ったことが嬉しくて嬉しくて本当に最高のエンドロールで本編以上に、身を乗り出して観て聴いていましたよ。
次も期待
やや作りに難があるがおすすめ枠か。
今年80本目(合計1,622本目/今月(2025年3月度)14本目)。
※ 子供へのプレゼントのためにドラえもんを見てからになりますが、これら子供向けアニメ作品にはレビュー需要がないと思うので飛ばします。
こちらの作品です。同じアニメでも大人向け、といった趣がありますね。
しいて言えば、登場人物の一人を演じていた戸松遥さん(「ヴァイオレット~」でアイリス役を演じていた方。この方、4月に何故かサメ映画に実写に出られるんだけど、声優役の方が実写に出るのは珍しい?)のファンなので見に行ってきました。
単体で見ても良いですが、VODでも第一章があり、直接的なストーリーの続きではないですが、アニメとして「どんな雰囲気か」ということを知るにはVOD課金も良いかな、と思います。日本でしいていえば江戸時代あたりをテーマに独特な日本の絵巻のような美しさで描かれるアニメですね。ギャグ的な要素はほぼありません。こうした関係で、日本で適法に住む外国人の方の「古典入門」にもおススメです(あまり複雑な用語が出ない)。
しいて言えば、「章立て形式ではないが実質的に章立てで、章立てがバラバラ」という点があげられます。明示的な章立てではないですが、「章立て」といいうるところは映画内では、(日本の屋敷にある)ふすまが閉まって開いて、という形で描かれるので、この観点では20章くらいある感じですが、章立てといってもストーリーが明示的に変わるわけではないので(75分ほどの作品なので、20章くらいだとすると1章あたり3分くらいというくらいに結構章立ては変わる)、この意味で「ややわかりにくい」部分があります。
ただ、日本文化を扱った大人向けの作品という観点ではよい作品ですし、最後まで見ると「第3幕をお楽しみに」という趣旨のものも流れますので(いつの日か第3章が放映されるようです)、そちらも楽しみです。
採点に関してはやや以下まで考慮しました。
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(減点0.2/ボードゲームが何をしているかよくわからない)
作内では「将棋」という扱いで「王様」や「飛車」さらに「七手詰め」といった語などでますが、将棋の駒のようなものは出ない(折り紙の駒のようなものは出る)し、作内ではこれらは出ても実際の駒の動きのようなものの描写がないので、何のゲームかよくわからず(作内では6×6のゲームだが、それで「将棋類」(いわゆる将棋ではないが、将棋の「ような」ゲームをそういう)だとすると「飛車」に相当する駒が極端に強くなりすぎるので、結局何のゲームなのかよくわからなかったりします(この映画の趣旨的に、海外放映も想定できるけど、どう翻訳するんだろう? japanese chess か shogi (japanese chess)かな?)。
ただ、この「よくわからない6×6のゲーム」は結局作内にはあまり関係しないので指摘はしますがこの程度です。
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唐傘の不足感は…
「愛憎渦巻く」の言葉にふさわしい作品
かつて評判を呼んだアニメ『モノノ怪』の
劇場版三部作、その第二作。
この三部作いずれも舞台は大奥。
愛憎込められた異常な空間として描かれている。
ある者は愛、ある者は地位、ある者は名誉、
様々な欲が交差して禍々しい世界観を作り出す。
モノノ怪という作品が特殊なのは
主人公はポスターにも描かれている『薬売り』ではなく、
その都度登場する人間たちだということ。
オムニバスドラマのようなもので
薬売りはあくまで探偵役といっていい。
もしくはいわゆるストーリーテラー的な
立ち位置なのかもしれない。
全体的にとてもよく出来ており、
三部作の中間とはいえ一本の映画として
よくまとまっている。
世界観が魅力的で美しい。
キャラも愛しいキャラは愛しく
醜い人間はしっかり醜く思えるので
感情移入しやすい。
前作『唐傘』より話はわかりやすい。
愛を知り、愛を憎み、愛に涙する作品。
欠点を強いて挙げるとするなら
まとまっているとはいえ三部作なので
前作の予習があった方が話がわかること、
バトルシーンがあまりに激しすぎて目で追えないこと。
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