劇場公開日 2025年3月14日

「水の次は火」劇場版モノノ怪 第二章 火鼠 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 水の次は火

2025年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

本当に唯一無二の美しく豪華なビジュアル。ずっと見てても飽きない。相変わらずどうやって作ったのかと思わせる、平面的な画面(これが3D背景だというのだから信じられない)に、極彩色の色使い、膨大なカット数を駆使して素早いリズムで展開していく編集もいい。

三部作の一本目『唐笠』は水が主要なモチーフになっていたが2作目『火鼠』はその名の通り、「火」が重要な要素になる。陰謀渦巻く大奥で、恨みの炎を燃やしているのは誰なのか、子宝とか安産の象徴として言われる「鼠」からお世継ぎの出産と権力争いを絡めた物語が展開する。一作目と同様、大奥という舞台を活かした物語だ。
今回は広敷番(ひろしきばん)の坂下がいい味を出している。単なるにぎやかしや狂言回しではなくわりと物語の中心にいて重要な働きをしていた。こういういぶし銀な脇役の活躍は嬉しくなる。一作目の主人公格だったアサ(黒沢ともよ)も出てくる。大奥の人間関係の複雑さと奥深さが一層増して、時間を忘れてあっという間の鑑賞だった。三作目にも期待している。

杉本穂高